gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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最新鋭F35A、20機追加導入へ…中国に対抗 : 政治 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

政府は、航空自衛隊に配備する最新鋭ステルス戦闘機「F35A」について、追加で約20機を取得する方向で検討に入った。年末にまとめる次期中期防衛力整備計画(中期防、2019〜23年度)に明記する。現行の配備計画分と合わせて約60機態勢を目指す。航空戦力を急速に増強する中国に対抗するのが狙いだ。
複数の政府関係者によると、追加取得は早ければ20年度から始める。約20機は1飛行隊分にあたる。配備候補地は空自の新田原にゅうたばる基地(宮崎県)、百里基地茨城県)などが浮上しており、配備時期は24〜27年度頃を想定している。新田原なら、中国を念頭に置いた南西方面の防衛態勢強化につながる。政府は年末までに候補地を絞り込む。

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20181013-OYT1T50041.html

残存したF4EJの直接代替は40機だけど、元々F4EJ自体は日本で154機生産している。
それが順次減って最終的に40機になった訳で、F15Jにしろ、F2にしろ、それぞれ90機以上の調達*1を経て、今の数字に落ち着いている。
つまり、F35の調達も、前提条件をクリアしたなら、最低90機以上になるのは既定路線なんだな。
で、「前提条件」って何かと言うと、F35Aの調達が決まった第4次FX時点では、F35の開発が成功するか不透明な状況であったことと、F15という怪物戦闘機の寿命が長すぎて、Pre-MSIP機を強化延命して使うと言う選択肢が残っていたので、あえて40機と言う中途半端な数の調達に留めた、という含みがある。
そしてF35開発は順調に進み、また米国でのF15C強化プランが無くなった事で、Pre-MSIP機全数の延命は諦め、代替の一部を、F35Aにしたというのが今回の話。
面白いのが、追加導入が20機…飛行隊単位でやっている所。
一部報道によると、高額になる国内組み立てを止めて、完成品購入にするという予測もある。
これは何を意味するかと言うと、前者は「都度購入なので、次の導入でA型とB型を天秤にかけられる事になった」点。
後者は、F35は、既存の戦闘機と異なり、各部品の世界的なサプライチェーンを持って居るので、全部を国内で製造しなくても潤沢な予備部品供給が得られる事と、FACOが日本に置かれた事で、部品さえ手に入るなら、日本で重整備まで可能になったので、兵站上の問題の多くが取り除かれている。
つまり、完成品を買っても問題ない、と言う判断が出来た事。
日本に落ちる金は減ってしまうが、強欲トランプを黙らせる餌としては悪くない上に、F35の完成品輸入なら買い手優位で値切りができるというメリットも出てくる。
国内組み立てで、40%が国内に落ちるけど1機120億円と、100%アメリカに金が落ちるけど1機80億円なら、後者の方が同じ予算で多くのF35が買えるし。
どっちが、日本政府としては「お得」なのは言うまでもない。
…まあ、その分、金が落ちない国内の軍需産業が割を食うんだけど、代わりに、整備費用は、調達数が増えた分、より多く支払えるので、長い目で見れば悪くは無いだろう。

*1:F15JはPre-MSIP110機、J-MSIP103機、F2は94機