gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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「ゲノム編集で双子女児誕生」中国の研究者主張 : 科学・IT : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

【上海=吉永亜希子】AP通信は26日、中国南部広東省深センにある南方科技大学の賀建奎フォージエンクイ博士らが、遺伝子を効率良く改変できる「ゲノム編集」技術を受精卵に使い、双子の女児を誕生させたと報じた。事実であれば、ゲノム編集した受精卵を使って赤ちゃんが生まれたのは初めてとなるが、専門家からは倫理、技術の両面で問題が指摘されている。
AP通信によると、賀氏らは、体外受精で作った受精卵を使って、エイズウイルス(HIV)に感染しにくくなるよう遺伝子をゲノム編集で改変したと主張している。実験には7組の夫婦が参加し、うち1組から今月、双子の女児が誕生したという。夫はいずれもHIVに感染していた。
賀氏らは、論文も含めて詳しいデータは公開していない。一方、中国版ツイッター・微博ウェイボーで26日、科学者122人が、厳格な倫理や安全性の審査を経ていない人体のゲノム編集の試みに断固として反対すると表明した。同大学も、今回の実験は規範に違反しており、大学への報告もなかったとする声明を発表した。調査委員会を設置し、事実関係を調査するという。

https://www.yomiuri.co.jp/science/20181126-OYT1T50095.html

思ったより成果が出るのが早かった。
…という感想。
1996年にクローン羊「ドリー」が誕生した時点で、ヒトかヒツジかの差を除けばクローン生物を生み出す技術が証明済みで、技術的な理論だけなら更に昔まで遡れる。
2007年には、動物とヒト遺伝子をかけあわせて、動物から人の臓器を生成する技術の端緒とも言える成果がアメリカで出来上がり、この辺りからクローンに関する先進国…というかキリスト教圏の圧力が高まって、ヒトクローンに関するヤバイ研究はこぞって中国に移転して、今年の頭に「中国・上海で霊長類(サル)でクローンに成功」というニュースが報道されたばかり。
今回の「ゲノム編集」はクローンより難易度はずっと落ちるものの、実用例は家畜や農作物、疾患モデル用の実験動物などに限られており、ヒトは2016年にイギリスで受精卵に初めて編集を行う政府許可が下りたが、その編集された受精卵を、子宮に戻す事は禁じられていたもの。
今回の中国の事例は、子宮に戻して実際に出産まで至っただけでなく、生存しているという事で、成果としては間違いなく歴史に残る物と言える。
…ただし、悪い意味で。
大学(引いては党)の許可無しにやっちゃダメだろう…。
研究内容自体は、党幹部の子息を「強化人間」に出来る可能性に満ちた物だけに、研究が止められる事は無いと思うけど。*1

*1:この辺の感情より利を取る合理性は、宗教的禁忌の無い中国人の方が思い切りが良い