gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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デビュー作の表紙が不気味な新人ラノベ作家「初版部数が少なすぎて危機的状況にある」 - Togetter

デビュー作の表紙が不気味な新人ラノベ作家「初版部数が少なすぎて危機的状況にある」 - Togetter
内容が面白ければ、イラストが「不気味」でも売れるって、三〇年近く前にスレイヤーズが証明してるしなぁ。
ちなみに、スレイヤーズがブレイクする前にハマって、友人に勧めまくったが、口を揃えて「絵が気持ち悪い」「手に持って表紙絵に触るのも嫌」と突っ返された思い出ェ…。
あのイラストも、巻が進むにつれて初期の不気味さが徐々に改善されて、アニメ化された頃には「超人気絵師」扱いだったのは今でも苦笑するしかないけど。*1
閑話休題(それはさておき)
新書だと3000部辺りが最低ラインになる。
これは、新書なので定価が高く(1500円以上)、初版部数が少なくても利益が出るのと、殆ど図書館で買われる数字(約2000冊)が全てと言う数字なので、在庫リスクが殆ど無いからだ。
対して、定価が安い文庫は、新書の数倍を売らないと、同じ利益が出ない。
最近、単行本の高額化が進む早川文庫(文庫で1冊800円以上、千円越えもある)とかはともかく、標準的なライトノベルの価格…税込600円台だと、2.5倍は売れないとペイしない。
つまり、初版部数の最低ラインは、8000部辺りになる。
この数字は、「全国書店に配本する場合の最低必要数」でもある。
作者が「本当に棚に並ぶのか、という問題が出てきてしまった」と言うからには、これを大幅に割っている可能性が高く、恐らくは5000部とかそのへん。
税抜価格が660円の本らしいので、5000部の印税率8%*2なら、26万4千円。(税抜前)
これが、一昔前の所謂デビュー作家に対する御祝儀部数だと、当然のように1万部以上は発行するし、印税率は初版だろうが10%だし、宣伝なんかも色々と金を掛けてくれるのが普通だった…そう、過去形である。
かつての農家的な作品を育てる出版は遠くに去り、既に生えている作品に、適当にイラストを付けて売り捌き、当たれば儲けもの、みたいな漁師的な売り方にシフトしている出版社は、モラルハザードが急速に進んだ結果、初版はリスク云々と理由を付けて減額した上、宣伝すら作者に丸投げするようになり、宣伝商材(書きおろし短編やサイン本)を無料で書かせて、その分の対価は払わない、と言う状況になった。
ただし、今回の件は、表紙を作者が望んで「不気味」にした訳で、出版社は作者に対して、かなり譲歩している事例だと思う。
ただ、出版社側には「爆死する」という統計データを元にした確信があり、赤字を少しでも小さくする為に、初版部数を大幅に絞った、と言う話のように思える。
実際、表紙を見ても、あらすじを読んでも、ビタイチ読みたい、と言う気持ちにはならなかったし…。
あ、そういえば今月末は、理想ヒモの12巻発売日じゃん。
忘れず買わないとな。(既にこの件に興味が無い)

*1:なお、絵を理由に読むのを断った友人も、ブレイク後に普通にハマッた

*2:最近は初版は10%貰えないらしい。酷い出版社だと実売印税といって売れた分しか印税を払わないらしい