gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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金子氏がP2Pをテーマに講演「従量制にしたらP2Pは潰れる」~ICPFセミナー

http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200609140007a.nwc
の記事でも触れられているとおり、現在先進国でも稀な「安価な常時接続サービス」を提供している日本は、増大するネットワークトラフィックに対する必要な設備投資を、安価な価格設定ゆえに賄い切れ無い状態になりつつある。
実際のところ、この話は最近出た話、と言うわけではなく、ソフトバンク自らWinnyの簡単設定方法を解説する本を販売したりしていた頃から言われていた。
当時は急激に増加するWinnyネットワークによるトラフィック増大に対し、多くのISP業者が悲鳴をあげながら設備更新を重ね、それでも間に合わない。
一部のISP業者は、転送上限を設けたりして対応していたものの、この手の話に興味のある人たちにとっては、破局は時間の問題と思われていたものである。
しかし、47氏*1逮捕、という公権力の介入によって、一気に利用者が減少。
関連サイトも連鎖的に閉鎖され、Winnyユーザの増加が止まった事により破局は回避された。
この逮捕劇が、特定圧力団体辺りから警察に要請が行って起きた、見せしめ逮捕だったんちゃう?とか、個人的にこの逮捕ってば不当だよなーとか思っていることについては横に置いておくとして、この逮捕によるWinnyネットワークの拡大停止と縮小が、ネットワークリソースの圧迫を止め、逮捕直後は「(Winnyが減ってトラフィックが)最盛期の2割にまで減った」と言われるほどのネットリソースの余裕を生むのである。
無論、時間経過と共に、一旦は止めていたWinnyユーザが復帰したり、増加したりはしたであろうが、所詮アングラでしかなく、既に投資済みで増強された設備にとって、それは問題なく受け止められる程度のものでしかなかった。
しかし、ここ最近は YouTube に代表される動画コンテンツの利用が「一般的」になった事により、再びネットワークリソースが枯渇し始めたのである。
ここで重要なのは「一般的」ということである。
プロードバンドユーザーで、一度も YouTube動画 を見たことが無い人は、既に少数派になっているし、ブログをはじめとする様々なコンテンツに引用され、とても多くの人々に参照されるようになっている。
これは、数の少ないアングラユーザによる不当な帯域占拠とは異なり、規制する訳には行かない。
かと言って、なんらかの対策を取らなければ、これから増加の一途を辿るであろう動画配信による通信量増大は、ISPの設備更新速度を上回ってしまう。
これが現在の状況である。
金子氏が言うように、料金を従量制にする事が、最も簡単な通信量規制で、ついでにWinnyも撲滅できる一石二鳥な方法であろうが、結果として 今飛躍的に伸びている YouTube 等の動画や音声によるWeb2.0(双方向性のあるWebコンテンツ利用と読み替えてもOK)は、一気に廃れる事になる。
少なくとも、ヤフオクが有料化で出品数が激減したように、量が減少する事だけは間違いないだろう。
個人的な観点から言えば、従量制化は支払額が増えてしまうだろうし、反対である。
とはいえ、これは過渡期としては仕方が無い事ではないかと思う一面もある。
このブログも含めたネットに存在する無価値な情報に対して、自分が支払う回線使用料に見合った内容なのか、ユーザ側が考える機会になるのではないか、と思うからである。
…とはいえ、その辺がはっきり見えているはずの携帯電話によるネット接続でも、どーでもいい感じなデータが大量に飛び交っている事を考えれば、案外杞憂なんじゃないかとも思ったりもしないでもないのだが。

*1:金子氏