gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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100歳の実父殺害 壮絶な介護実態 : 宮崎 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

宮崎市の自宅で100歳の実父を殺害したとして殺人罪に問われている同市吉村町、無職佐藤智子被告(71)の初公判が1日、宮崎地裁(高原正良裁判長)であり、佐藤被告は起訴事実を認めた。検察側は冒頭陳述で、壮絶な介護の実態を明らかにしつつ、懲役5年を求刑。弁護側は「遺族に処罰を求める声はない。6000人近い嘆願書も集まっている」と執行猶予付きの判決を求め、即日結審した。
起訴状によると、佐藤被告は昨年12月24日、自宅で就寝中だった父の正行さんの腹や首などを包丁で刺し、失血死させた。その後自殺を図り、帰宅した夫に見つかって一命を取り留めた。
冒頭陳述などによると、佐藤被告は35年前から父の世話を始めたが、父は10年ほど前から認知症の症状が出て、叱責(しっせき)したり、つえを振りかぶったりするようになった。叱責は毎日のように続き、被告は昨年4月、うつ病と診断された。父は深夜に大声を出し続け、徘徊(はいかい)する行為や部屋の窓ガラスの損壊も。実の娘を他人と思い込んで、「取ったものを返せ」とののしったこともあった。
一人で日常生活を送ることは困難になり、自宅に客を招くことさえできなくなった。家族で話し合い、同年12月25日に介護施設への入所を決めた。ところが、24日午前、父は自宅を施設と誤解して「施設には入らん。死んだ方がまし」と激しく抵抗。被告は入所が無理と思い、自殺も考えたが、「父親を残せば、夫や妹にも迷惑をかける」と考えて無理心中を思い付いたという。
佐藤被告は別の時期にも自殺を考えたが、踏みとどまっており、犯行後は夫に「ごめん、死なせてちょうだい」と語ったという。被告人質問で「殺すしか手段はなかったのか」と問われ、被告は消え入るような声で「今考えてもよく分かりません」と供述した。
検察側は論告で「今後、被告のような家庭が急増すると予想されるが、安易に寛大な刑は高齢者の命を軽んずる風潮につながりかねない。負担を強いられたのは事実だが、動機は自己中心的」と指摘した。一方、弁護側は長年介護を続けた被告自身も病を患い、無理心中を図った事情へ理解を求めた。判決は26日に言い渡される。(甲斐也智)

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyazaki/news/20081201-OYT8T00907.htm

なんとも難しい話だ。
心情的には、この被告が実父を殺すに至った経緯を考えれば、同情しか浮かばないのだが、裁判所の「安易に寛大な刑は高齢者の命を軽んずる風潮につながりかねない。」という判断も理解できる。
この殺された実父だって、まともな判断力があれば、娘に尊属殺人を犯させるような状況を望んだはずが無いのだろうし、せめて認知症が悪化する前に、尊厳死できる仕組みがあれば、とも思うが、やはり「合法的な殺人」を抜け穴にした犯罪を考えると、実施も難しい。