gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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量産型はダテじゃない!5 (富士見ファンタジア文庫)

量産型はダテじゃない!5 (富士見ファンタジア文庫)
古本屋で未入手の4、5巻が揃っていたので購入。
タイトルからして量産型を、作中では根性と気合を連呼していたけれど、実は特殊装備付でした、と言うオチがついて、アイゼンティティを打ち砕かれたナンブが素で頑張る話。
以下、ネタバレ。
かなり辛口なので、本作品のファンは回避推奨。
総評。落選寸前の佳作。
…一応、新規開拓で3巻まで読んだ話だから完結まで付き合ったけれど、1巻で示したテーマをあえてぶち壊してまで語りたかった話が、勝算の無い特攻と自己犠牲と言うのでは、主題劣化としか思えない。
あとがきで作者が「根性と気合だけじゃだめ」という話にしたと言っているが、ならば何故、グロリアス(唯一の勝算)を持たずに敵地に突入したのか、アンリミテッド鉱石を無効化する特殊能力(唯一の特技)を使うという作戦があったわけでもないのに、高性能なザドリュート軍のUDが捨て駒になって、ナンブがラスボスと対峙したのか。
やるなら逆に、序盤で素のナンブが戦力外である事を自覚させるべきだったと思う。(格納庫の戦闘はザコ相手すら勝てない、という事を自覚させるのにうってつけだったのに)
その上で、戦う意思は戦力の優劣じゃない、という強さを見せて、勝つ為にあらゆる努力を惜しまない、どんな状態でも最終的に勝利条件を満たせば勝ち、という話なら理解できたんだけど。
精神論と秘めたる力という安易で判りやすい、続編を考えてない投稿作品(1巻)から無理やり話を膨らませる為には、仕方が無かったと思うのだけれど、このような主題変更をするなら2巻でタネを撒いておくべきだったと思う。
2巻、3巻と1巻の主題を続けていたのに、いきなり4巻と5巻で主題をひっくり返そうとしても、無理がある。
そもそも、1巻のタイトルを「量産型はダテじゃない」にした時点で、道を誤ったんじゃないかと。
とはいえ、無理やり広げた話を、大きな破綻無く纏めた点は評価できる。
今の出版状況と、この5巻が某書店の(富士見新刊唯一の)ランキング外と言う売り上げから見て、この作者が次のシリーズを書ける可能性はかなり低い気もするけれど、頑張って欲しい。