gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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NEC、次世代スパコン撤退…巨額の開発費負担を削減 : 経済ニュース : マネー・経済 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

NECは13日、政府主導の次世代スーパーコンピュータースパコン)開発計画から、事実上、撤退する方針を明らかにした。
巨額の開発費負担を削減するためで、週内にも発表する。ただ、最先端の開発から手を引くことで、スパコン事業全体の展開に大きな影響を及ぼすのは必至とみられ、将来的には事業の大幅縮小や完全撤退につながる可能性がある。
政府は約1150億円を投じ、毎秒1京(1兆の1万倍)回という世界最速の計算速度を持つ次世代機を開発する計画だ。独立行政法人理化学研究所とNEC、富士通日立製作所が官民共同で開発、2010年度末の稼働を目指している。
計画は現在、設計・開発にめどがつき、製造段階に移りつつある。製造段階では、NECの費用負担が100億円を超える見込みとなっていた。NECは、景気の悪化で業績が落ち込む中、短期の利益に結びつきにくい事業を縮小する必要に迫られていた。
スパコンは各国政府が威信をかけて開発競争にしのぎを削っている。日本政府は「技術立国・日本」を世界に示す象徴的な事業と位置づけており、NECの離脱後も計画を進める方針だ。
NECのスパコンは、1990年代後半に日米通商摩擦の象徴的な存在となるほどの国際競争力を持っていた。海洋研究開発機構保有する同社製スパコン地球シミュレータ」は02〜04年の間、世界最速の座を保ち、地球温暖化の予測などに威力を発揮した。
(2009年5月14日03時06分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090514-OYT1T00141.htm

技術立国ニッポンを考えれば、なんとも先行きの悪いニュースである。
スーパーコンピューターの開発技術は、ハードウェアについて物理的、電磁気学的限界が見え始める勢いであり、CPU等の個々のハードウェアの高性能化より、「超並列化」技術等の処理分散化とか、処理すべき問題や課題に専門化したソフトウェア開発(理論)の方が重要な局面になっているらしい。
こうした最先端技術をこそ、民間に任せきりにせず、国が支援してでも保護し、流出防止を含めた技術蓄積が必要なのに。
どんな技術でもそうだが、一度失われてしまえば、再度その技術を得るためには、ほとんど一からやり直しに近い時間と費用を必要とする。
例えば、日本は戦前には40センチを越える大口径砲や300ミリ以上の厚い装甲板を開発、製造、加工する技術を持っていたが、既にそれらの技術は失われ、再現できないといわれている。(不要になった、という事もあるが)
最近の例で言えば、アメリカの大陸間弾道ミサイルの核弾頭寿命を延ばそうとしたら、必要な部品の製造技術が生産設備ごと失われて、再開発が必要になったなんて話もある。*1
一方、中国では「国策」としてそうした先端技術開発…というかアメリカから盗んだ技術利用だけど…を行い、アジア最高速のスーパーコンピューター開発に成功している。*2

富士通が世界最速CPU開発 日本メーカー、10年ぶり記録更新
富士通は13日、1秒間に1280億回の計算ができる世界最速のCPU(中央演算処理装置)を開発し試作品を公開した。日本メーカー製の世界最速達成は1999年に同社が開発したCPU以来10年ぶり。次世代スーパーコンピューターのほか、自動車衝突実験や新薬開発など企業の開発現場で使う高性能コンピューターの基幹部品になると期待している。
新CPUは回路線幅が45ナノ(ナノは10億分の1)メートルの微細加工技術で開発した。回路の性能を高めたほか、チップ上に集積する回路を8個に倍増し高速化を達成した。計算速度は現在最速の米インテル製CPUの約2.5倍で消費電力は3分の1。
ナノテクノロジー(超微細技術)やライフサイエンスの研究に使う目的で2010年度末の稼働を目指す理化学研究所の次世代スーパーコンピューターに数万個が組み込まれる見込み。富士通は高性能で小型な利点を生かし、航空機や自動車、医薬など企業の開発現場などで使う高性能コンピューターへの搭載も目指す。(13日 20:49)

http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20090514AT1D130AW13052009.html

という明るいニュースの直後にコレというのは、なんというか、日本の政治を「文系(日本の場合、政治家は法学部卒が非常に多い)」にやらせて技術者や開発者を冷遇している限り、日本の技術立国なんて永遠に不可能だと思う。
つか、在日(とヤクザ)に使われている年間1兆5000億円もの生活保護費を削れよ。そしたら楽勝だろうに。
閑話休題
ちなみに、中国のスパコンCPUはAMDの市販CPUであり、高速化はアメリカから盗んだ超並列化技術とソフトウェアで行っている。
つまり、この富士通の明るいニュースも、スーパーコンピューターの高性能化、と言う点ではあんまり大きなウェイトを占めていなかったりする。(むしろ記事中にあるように高性能コンピューターの小型化と省電力化という意味合いが大きい)
ま、この富士通のCPU技術も中国に流出して、劣化版が作られるのは時間の問題だと思うよ。

*1:http://d.hatena.ne.jp/gayuu_fujina/20090324/p8

*2:中国は現在世界10位、その上は全部アメリカ。2009/05現在 http://www.top500.org/list/2008/11/100 日本はぐぐっと落ちて27位 日立、29位 NECと続く