gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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あかほりさとるいわく「ライトノベル業界そのものが危ない」Half Moon Diary

他所様の感想で、本を批評する事ほど危うい事は無いので、あくまでもエントリーに書かれている範囲で言うならば、「元々ライトノベルを読者層とする人間は決して多くないし、増えてない」にもかかわらず「ライトノベルの作品数は増え、新規参入の出版社も増えた」という視点だけで、現状のライトノベルの利益減少問題は説明できる。
メディアミックスで、本来読書しない人もある程度呼び込んでいるが、そういう人たちは継続してラノベを買わないから、(毎月何冊もラノベを買うような)コア読者は「増えてない」のだ。
結局、ラノベはかなり前からずっと「限られたパイの争奪戦」状態であり、「SF化」とか「新本格化」とか、全く関係ない。(元々、読書好き100人の内、80人くらいはラノベを読まずに馬鹿にしているとか思ってるしw)
ライトなSFがラノベに合流したのも事実だが、ラノベの中には本格的なファンタジーや推理作品だってあるし、芥川賞*1直木賞作家だって出ちゃう「ごった煮」状態なのがラノベなのだから、数が増えれば細分化、先鋭化はある意味必然。
それが問題だとしたら、ラノベというジャンル自体の構造問題になってしまう。(つまり解決不能)
個人的に、ラノベの問題は、「作品(及びガジェット)を使い捨てにしている」という出版・流通の問題だと思っている。
常に新しい商品を用意して、客を飽きさせない努力、というのは必要だと思う。
しかし、同時に過去の作品に対しても、読者と結びつける努力をしてリサイクルしなければ、限りある資源(アイディアや才能)は枯渇してしまうのだ。(過去を知らなければ、先へ向かう未来は生まれず、何度も同じ所を回り続ける可能性もある)
ラノベは、ごく一部の大人気作品を除けば、初版のみ、と言う本が非常に多い。
単純に売れてないから、という話でもあるのだけれど、5年以上前の少し古い作品を探そうとすると、もう絶版で古本しか無い、という例が非常に多い。(Amazonでも手に入らない作品も結構ある)
少し古い作品でも、今の読者が楽しめそうな作品は、かなりあるのだけれど、流通してないから話題にもならない。しかし、ネットと言う広い年齢層が同居する空間では、「○○って××のパクリじゃね?」みたいな話だけはしっかり広がるのだから、今のラノベ作家さんは非常に大変と思われる。
その意味で、ぐぐるさんの「絶版書籍の電子化」というのは、良い話だと思うんだけど、既得権益を確保していたい書店や、権利を侵害されているように感じる作家達が反対して日本ではなかなか動き出しそうに無いのが残念。
一応、携帯で読めるラノベもあるけれど、数が限られている上に、携帯電話と言う脆弱なインフラでしか利用できないコンテンツ(しかも機種変したら再ダウンロード)では、利便性に薄い上に高い。(紙媒体が4〜600円なのに、単なる電子データ配信で1冊315円とか暴利過ぎる)
ああ、なんだか話が大幅にずれてしまったが。
言いたい事は1つだけ。
おまえがいうな
と。
メディアミックスの名の下に、ひっどい書き捨て作品を多発し、ラノベを再読に耐えない消費財と印象づけた戦犯の一人に業界を憂われてもなぁ…。(で、自分はちゃっかり他所に逃げたし)

*1:ブコメのご指摘により訂正します