gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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ケモノガリ (ガガガ文庫)

ケモノガリ (ガガガ文庫)
あやかしびとと弾丸執事のシナリオの人の新作。
正直、弾丸執事のスピンオフを書いてくれた方が嬉しいんだけど…。
某菌糸類が絶賛しているけれど、確かに、禁書とか型月系の作品とかが好みなら、イケるとおもう。
以下、ネタバレ。
これは良い中二病。(注:褒めてる)
あんまり取り柄の無い空想がちな少年が、学生時代に一度は妄想したであろう、物語の具現化。
マンハントという趣味を行う為の上流社会の住人達で構成された「クラブ」の「生贄」として選ばれた主人公たちのクラスはバスごと全員が誘拐され、主人公が目を覚ましたときには、主人公達を除いて全て殺され、トロフィーとして無残な死体を晒されている状態からスタート。
何の伏線もなく、麻酔薬の効果をねじ伏せて覚醒した主人公は、まるで歴戦の暗殺者のように状況も分からぬまま、心の中の生存本能に従って「敵」を殺し、脅し、奪い、残された仲間達を「狩場」の外へと逃がす一方で、世界的な組織である「クラブ」の魔手から仲間、いや恋人を生き残らせる為に、ただ「ヒト狩りのケモノを狩るケモノ」として覚醒した主人公が殺して殺して殺しまくるという、実に不謹慎かつ不健全な内容である。
主人公は、別に特別な血筋に生まれた訳でも、幼い頃に殺し屋の訓練を受けた訳でもなければ、サバイバルに興味のあるようなアウトドアな人間でもない。
しかし、生まれついての才能が「人殺し」。という理由だけで、職業的殺し屋やら銃で武装した兵士集団やらを一人で殺しまくり、「クラブ」の会員リストを手に世界中の会員を殺して回る旅に出るとか、なんというか潔いまでの中二っぷり。
フィクションをフィクションとして楽しめない向きには嫌われそうな話だが、この馬鹿馬鹿しいまでのB級感に溢れた作品は、「そういうの」が大好きなヒトにはたまらない読後感が得られる良作といえるだろう。
楽しめるヒトには星4つ、合わない人には星1つという極端に好みが分かれる作品だと思う。
そして、前者は読者中の3割、後者が7割くらいと見た(爆)
問題は、この作品を本来の読者層である中高生に読ませるのはアレかなぁ、と思わなくもない事と、個人的には、この人には弾丸執事の世界観で話を広げて欲しいなぁと思っているところ。
あれ、きちんと料理すれば割と真面目なファンタジーになれると思うんだがなぁ…。
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