gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

はてなダイアリーが更新できなくなったので、泣く泣くこちらに移行。使いづらいようなら、別なサービスへの引っ越しも検討する予定。元ダイアリー:http://d.hatena.ne.jp/gayuu_fujina/

装甲悪鬼村正 限定生産版

装甲悪鬼村正 限定生産版
ゲームが佳境に突入して止まらなくなり、出かける予定をブッチしてクリア。
以下、ネタバレ。
「これは英雄の物語ではない。」
というコピーは、一寸も違いも無く事実であり、湊斗景明は「英雄」でないが故に悪を殺すたびに、愛する人を、尊敬する人、罪無き人を手にかけ、最後の最後まで苦しみ抜く事になる。
そもそも、各ヒロインの個別ルートですら判り易い幸福(救い)は無い。
綾弥一条ルートでは互いに信念を賭けて殺し合い、景明死亡。一条が不本意ながら村正を継いで最悪な内戦状態の大和で不本意な正義を貫いていく事になる。
大鳥香奈枝ルートでは、自らを許せないが故に正統な復讐者である香奈枝に殺される事こそ唯一の救いと信じる景明だが、生粋の殺人狂であるはずの香奈枝は、共に過ごす内に景明を殺せないという自己否定に繋がる感情を身に抱えるようになり、あえて自らの正体を隠して景明の養父を殺した謎の武者として景明と殺し合い、合い果てる。
足利茶々丸ルートでは、銀星号の精神汚染を受け入れ、銀星号を神へと昇華させる計画に加担し、その成功を見届けて終了。
TRUE ENDルートで光が求めた理想を考える限り、その後に迎えるのは人類全てが殺し合う世界大戦の開始であり、幸せになれる要素は微塵も無い。
TRUE ENDに於いても、ヒロインの一人である茶々丸は死亡、最後の家族である銀星号(=光)を殺し、大鳥香奈枝と綾弥一条とは完全に道を違えて別れ、悪鬼村正として、傭兵王国を建国。
誰の味方にでもなる代わり、殺した敵と同数の無辜の民を殺し、この世に戦争の悪を伝える存在として生きる事を決意するのだ。
ヒロインである村正と添い遂げられるだけ、他のルートよりはマシかもしれんけど。
とまあ、基本的に「めでたし、めでたし」という終わり方は1つも無い。
何故なら湊斗景明は、自らの行為を正義と信じ、その行為の過程で生まれる犠牲を全て「必要な犠牲」だったと割り切ることが出来る「英雄」ではないから。
殺さねば、殺される。殺さねば、大切なものを守れない。という極限状態にあっても、「殺人は悪である」という真実は揺るがない、という視点で描かれた本作は、表層的には平和ボケの理想論に見えるこの言葉を、単純な殺人の否定と受け取るより、悪は悪を以ってしか対処できないが故に、安易な殺人を強く戒めると共に、必要なら悪を以って悪を止める事もまた必要であるという話だと受け止めるべき話のように思う。
しかし、惜しむらくは…。
折角、義妹なのに光ルートが存在しない点(爆)
ただ、本作のヒロインは全て「景明が幸福である限り絶対出会うはずの無かった女性たち」であるから、もし景明が幸福であったなら、自然と結ばれていたはずの光はヒロインの資格が無いという事なのかも…。
検索用:装甲悪鬼村正