gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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NIKKEI NET(日経ネット):米、公定歩合を年0.5%から0.75%に上げ

【ワシントン=大隅隆】米連邦準備理事会(FRB)は18日、銀行などに貸し出す際の金利である公定歩合を現行の年0.5%から0.75%に引き上げると発表した。19日から適用する。金融危機が一服したため、政策金利の誘導目標(現行年0〜0.25%)との差を広げ、平時に近づける。政策金利の誘導目標は従来通り。FRBは「(公的歩合の引き上げは)金融政策や経済見通しに関する変更を意味するものではない」としている。 (06:47)

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20100219ATFK1900019022010.html

経済ニュースとしては、かなーりインパクトのあるというか、無視できないニュースのはずなのに、扱いが非常に小さいなー。
アメリカの実体経済が回復してないのに、公定歩合を引き上げるという事は、かつて日本が通った失政の道であり、日本は「デフレてんのに利上げすんなヴォケ」という手痛い教訓を得ている。
簡単に説明すると、「ゼロ金利政策」というのは金利をゼロ(近く)にする事で貯蓄のメリットを減らし、お金の流動性を上げる政策。
しかし、「ゼロ金利政策」でも日本人の貯蓄好きと言うか、政府が信用できないので老後資金である貯蓄資産がほとんど動かなかった為、やむなく「量的緩和政策」も実行。
量的緩和政策」とは、簡単に言えば、お金を多めに刷って金融市場に流す事により、無理矢理お金の流動性を生み出す政策。
やりすぎるとインフレになるが、ここまでやってようやく、日本の景気は徐々に回復してきた。
んが。
説明を見ても判るとおり、「ゼロ金利政策」も「量的緩和政策」も、非常の策と言うべきものであり、一種のドーピングなので、日銀はさっさと止めたかった。
なので2000年。当時はITバブルで情報関連の一部と、輸出関連以外はまだまだ底冷えしていたにもかかわらず、「ゼロ金利政策」を解除。
翌年のITバブルの崩壊と相まって、景気は急落し、慌てて「ゼロ金利政策」を復活させている。
経済対策と言うものは、経済という重い岩を転がすに似て、一度転がり出せば、手を放しても転がるが、十分に岩が動かないうちに力を入れるのを止めてしまえば、すぐに岩は止まってしまう。
日銀は、それをやってしまったのである。
お陰で、「ゼロ金利政策」解除によって上向き始めた経済はあっさり止まってしまい、最初から景気対策をやり直す羽目になったという、明らかな日銀の失策だったりする。
今回、アメリカの公的歩合の引き上げは、構図としてはかつての日銀より条件が悪い。かつての日本は日本の「ゼロ金利政策」のお陰で日本から金を借りての海外投資が流行っていた事(流動性の罠…)もあり、世界経済は全体的に好景気だった。
しかし、今は違う。アメリカ経済は深刻な不況のままで、世界中の景気も悪いままである。
「単なる緊急回避的な措置の終了」としているが、ここで公的歩合を引き上げれば、トヨタバッシングなんて悠長な事をやっていられる程度に一息ついたアメリカの経済状況は、通貨流動性の低下で消費の低迷や株価の低迷、通貨安で打撃を受けかねない。
更に、公的歩合引き上げは、海外投資の抑制に繋がる効果がある。(資金が貯蓄されやすくなり、自国に戻る効果があるから)
現在、それでなくても減っている中国への投資が引き揚げられれば、中国は米国債を更に手放して資金調達する必要が出るかもしれない。
米国債の下落が発生すれば…言わずもがなであるが、基準通貨の信用下落となり、米ドルの通貨安は洒落にならなくなる可能性もある。
もちろん、オバマは何らかの対策をした上でこの手段を取ったとは思うのだけれど、一歩間違えば、世界同時不況・第二段の引き金を引きかねない発表なんだけど、平和なもんだネェ…。
まあ、日本は鳩山不況と日銀の無対策ぶりで、不況の出口とは逆方向に歩いている状況だから、アメリカの動きとは関係なく株安傾向なんだけど。

菅直人副総理・財務相は19日の閣議後会見で、米連邦準備制度理事会FRB)が公定歩合の引き上げを決めたことについて、「米では物価上昇が続いている。全体の判断としてそういうことが行われた」との見方を示した。
そのうえで、「結果として円安になっている。そのこと自体が、少なくとも(日本経済に)マイナスになるとは思わない」と述べた。

http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/100219/fnc1002191047008-n1.htm

言っている事自体は正しいんだけど…なら円安が日本にとってマイナスにならず、円高がマイナスになると判ってて、なんで鳩山内閣円高容認発言し続けたんだ?