gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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エジプト、ムバラク政権正念場 長期独裁の矛盾露呈:日本経済新聞

【カイロ=花房良祐】エジプトで抗議デモが続き、29年間政権の座にあるムバラク大統領が正念場を迎えている。経済政策への批判をきっかけに長期独裁政権の矛盾が一気に露呈した。親米穏健派のエジプトが揺らぎイスラム原理主義勢力が台頭すれば、中東の不安定要因となる。
抗議デモはインターネット上で草の根組織「4月6日運動」などが呼びかけた。28日はイスラム教の休日の金曜日。礼拝のため集まったモスク(イスラム礼拝所)から街頭デモに合流した。
カイロのモスク前では市民がエジプト国旗を掲げ、「ムバラクは去れ」などと要求。あるデモ参加者は「政権は国民から血を吸う吸血鬼だ。ムバラクが去るまでデモを続ける」と話した。市内では警察車両やタイヤが燃やされ、黒煙があちこちで上がっている。治安当局がデモ隊を徹底的に弾圧しており、混乱が広がっている。
国民の怒りの背景には貧富の格差の拡大や若者の高い失業率がある。エジプトは経済自由化路線を進め、ここ数年は5%前後と高い経済成長率を誇る。一方、人口8300万人のうち6割を占める若年層の雇用を吸収しきれず、30歳未満の失業率は約2割に上るとの推計もある。
エジプトは秋に大統領選が予定され、ムバラク大統領か次男ガマル氏の出馬が見込まれている。反体制派はムバラク政権の継続に反発し、民主化を求めている。
ただ反体制派は長く弾圧されてきたため中核となる指導者が不在だ。焦点はエルバラダイ国際原子力機関IAEA)前事務局長。27日に帰国し、支持者とともにデモに駆けつけた。反体制派が同氏の下に結集すれば台風の目となる。
同氏は2005年にノーベル平和賞を受賞するなど国際的な知名度は高く、最近はエジプトの民主化について積極的に発言。ただ海外在住が長く国内での人気はいまひとつ。抗議デモの主導者となれるかは不透明だ。
イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」の動向も注目される。憲法上、宗教政党は禁じられているため同胞団は非合法だが、国内で強固な支持基盤を持つ。同胞団はこれまで政府の弾圧を恐れてデモから一定の距離を保ってきたが、AFP通信によると28日のデモの支持を表明。強力な動員力を武器に政権に立ち向かえば影響力はある。
ムバラク政権の行方は中東の安全保障環境にも直結する。同国は4回の戦争を経て1979年にアラブ諸国で初めてイスラエルを国家承認。同国と安定した関係を築き、中東和平交渉の仲介などで存在感を示す。政権が転覆するとイスラム原理主義勢力が台頭する可能性があり、地域の勢力図が大きく変わる。原油の産出量は湾岸産油国と比べると少ないが、中東地域の不安定要因となれば原油相場にも影響を与えかねない。

http://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C93819691E0EAE2E2E58DE0EAE2E3E0E2E3E39C9CEAE2E2E2;bm=96958A9C9381959FE0EAE2E79A8DE0EAE2E3E0E2E3E39F9FEAE2E2E2

エジプトはスエズという海運の要衝を国内に持ち、比較的安定した政権のお陰で観光地として発達してきた訳だが、長いこと燻ってきた問題が、インターネットで誕生した、国や政権の制御を受け難いコミュニティツールの発達で、革命まで輸入するという、「インターネットと国という既得権力」の関係を象徴するという意味で、大きな事件だと思う。
インターネットが象徴する自由が原因で、アメリカにとって中東・アフリカにおける、数少ない親米国のエジプトが、
「穏健に政権交代すればイスラム原理主義復権で穏健に反米化
「デモでムバラク政権が打倒されればイスラム原理主義復権で過激に反米化
ムバラク政権が武力でデモを解決したら、世界の警察としてムバラク政権を容認できないので、非難せざるを得ず反米化
という、どれに転んでもエジプトが反米化するという涙目な状況であるし、中国は中国で、この「革命の輸出」が中国に飛び火する事を恐れており、折角、中国・北朝鮮からアメリカの視線が外れてくれる状況になっても、諸手を挙げては喜べない。
日本だって、状況を考えれば若者を中心にデモの1つが発生しても不思議ではない位に、国内には失業者と世代格差問題が発生しているのだ。
「インターネットによる革命の輸出」は、世界同時不況後の、不満が蓄積しつつある状況に於いては、どこの国にとっても対岸の火事と楽観できる訳ではない。
日本のように、民間人から武器が綺麗さっぱり隔離されている国の方が珍しいのだから。
もし、中国の不動産バブルが完全に弾けた後だったら、中国にとっては本気で洒落にならない事態になっていた可能性もある。
なんというか、今年も1月から激動ですねぇ…。
関連:中国政権、エジプトデモ「反体制」波及を警戒 : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

【北京=佐伯聡士】中国の胡錦濤政権は、エジプトの反体制デモに神経をとがらせている。
物価上昇などで民衆の不満が高まる中、国内の民主化要求など、共産党一党独裁に対する批判に波及する恐れがあるためだ。北京各紙は29日、エジプト情勢を伝える国営新華社通信の記事を掲載したが、目立つ扱いにはなっていない。メディアを規制する党宣伝部の意向を踏まえているとみられる。
インターネット上でも、エジプトのデモに関する書き込みは制限されている模様で、支持する声は見られない。大手ポータルサイトのマイクロ・ブログで、エジプトと中国語で入力すると、エジプトと中国語で入力すると、「関連法と政策に基づき、検索結果は表示できない」との文字が出てきて、遮断されてしまう。

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110129-OYT1T00883.htm

さすが中国、革命の気配には敏感と言うか、もう一度天安門事件のように戦車で人民を轢き殺せば、諸外国の「遺憾の意」とか、外資の撤退より怖い、今度こそ本格的な内乱の引き金を引きかねないと判って居るからの迅速な対処といえるだろう。