gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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独裁政権の裏をかくハッカーたちの頭脳戦 | ビジネス | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

先週、エジプト政府が国内のインターネット網を遮断してから数時間後、意外な連中が状況打開に乗り出した。世界の「ハッカー」たちだ。
すべての始まりは、アメリカの起業家シャービン・ピシェバーがネットが遮断直後にツイッターに書き込んだメッセージ。エジプトにある普通のノートパソコンをインターネットルーターに転換するソフトウェアを現地に送りたい、そのために力を貸してほしいというものだ。このソフトを使って、パソコンからパソコンへメッセージを順次送っていく形の通信網「メッシュネットワーク」を作ろうというのだ。
世界の技術者たちはこのメッセージを次々に広め、「オープン・メッシュ・プロジェクト」への協力を申し出た。ルーター機能を生かせば近くの人との通信は可能になる。もしネットワーク内の1台がダメになっても、別のパソコンを通じたルートを探してメッセージを伝達できる。「携帯型の臨時ネットワークは作れる」とピシェバーは言う。「最低でもエジプトの人々は連絡を取り合って団結することができる」
さらに、ネットワーク内の誰かが外部との通信手段を得られれば、それをネットワーク内の人たちと共有することもできる。
グーグルやツイッターの技術者たちも、多くの人たちとエジプトのための取り組みをスタート。ネットの代わりに電話でメッセージを残すと、その音声が文字に変換されてツイッターに投稿されるようになった。
■農村部でのネット接続が発想の原点
エジプトのプロバイダー「ヌール」はネット遮断後も例外的に営業を続けていたが、1月31日についに停止。その後もネットに接続する方法はいくつかあった。固定電話を使ったダイアルアップのモデムで国外のプロバイダーを通じてネット接続する人もいれば、衛星回線を使う人もいた。
いち早くピシェバーの呼びかけに応えたのは、米ミシガン州でIT企業を経営するゲーリー・ジェイ・ブルックスだ。彼はすぐにウェブサイトを開設し、世界の技術者からのメッセージをとりまとめ始めた。エジプト国内のワイアレス技術の専門家たちにも連絡を取り、メッシュネットワークのソフトを広く流通させ、インストールを促す協力者を募った。
アメリカの技術者たちがバラバラに持っていたソフトの「部品やかけら」を組み合わせれば、誰でも簡単にソフトをインストールして使用できるようになると、ブルックスは語った。「48時間以内にプログラムを組み立てて、CDかUSBメモリの形で流通させられる」
メッシュネットワークという概念は以前からあった。「すべての子供に1台ずつノートパソコンを」という理念を掲げるNPO団体OLPC(One Laptop Per Child)が独自開発した格安の携帯型端末には、メッシュネットワーク機能が内蔵されている。確かなネット接続方法がない農村地域の子供たちが対象だからだ。この端末を使えば、子供たちは少なくとも地域内では連絡を取り合える。さらに地域内に1人でもネット接続できる者がいれば、全員でそれを共有できる。
■カナダチームの携帯型ルーター
OLPCはエジプトにもこのパソコンを送ったことがあるが、今回のような状況下で使う予定はないという。
もっとも、パソコンにこの機能が内臓されていなくても、メッシュネットワークを作る手だてはある。ピシェバーに連絡してきたカナダの技術者チームは、メッシュネットワークのソフトを内蔵した、レンガほどの大きさの小型ルーターを開発したという。「リュックや車でこうしたルーターを何台も持ち歩き、街中や山、屋根の上にセットして回る。そうすれば遮断できないインターネットを作り出せる」と、ピシェバーは言う。
3〜4カ月以内にこうしたルーターの供給を始めるには、100万ドルの資金が必要になる。名前は伏せているものの、ピシェバーはすでにあるベンチャー投資家から融資の約束を取り付けているという。
おそらくエジプトのネット接続は、携帯型ルーターが完成する前に回復するだろう。それでもピシェバーが完成を望んでいるのは、抑圧的な政府を持つ他の国々でも活用したいと考えているからだ。イランやシリア、イエメンなどがエジプトと同じ事態に陥らないようにすることが彼の目標だ。
幸いピシェバーには、世界中に数千、数万のオタクやハッカーや技術者という味方がいる。

http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2011/02/post-1951.php

ちょっと面白い話。
無線通信機能を持った端末の相互通信経路を使ってネットワークを形成する事で、政府機関による通信インフラ・インターネット遮断状態でも、ネットワーク内に1個でもインターネットと繋がる端末があれば、ネットワーク内の全ての端末がインターネット接続状態となるとか。
インターネットに繋がらなくとも、ネットワーク内の通信は可能だから、電話回線が潰されていても、情報のやり取りが出来る。
ここで言う「無線通信機能を持った端末」は、無線LANだけではない、無線LANと通信できる機器も、ルーター機能を持たせるソフトウェアで通信できるようにすれば、立派に機能する。
具体的には、携帯電話にノートPC、PSPやPS3もだ。(無論、各機器に応じたソフトが居るが…)
メッシュネットワークと言うらしいが、当然だが、回線が細いし、レスポンスも悪い。技術上の問題もあって、大規模化が難しい。
日本の場合はプロバイダの規約上、第三者の利用を認めていないから、インターネットに繋いだままメッシュネットワークに参加するだけでアウトという問題もある。
しかし、基盤のインフラが奪われても、個々人のリソースを持ち寄って、大規模なネットワークを形成できるというのは、なかなか面白い技術だと思う。
問題は、これが「犯罪」に利用された場合だろうか。