gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

はてなダイアリーが更新できなくなったので、泣く泣くこちらに移行。使いづらいようなら、別なサービスへの引っ越しも検討する予定。元ダイアリー:http://d.hatena.ne.jp/gayuu_fujina/

破壊された組織文化、探査成功のためには再生が必須:日経ビジネスオンライン

現在、宇宙航空研究開発機構JAXA)には、宇宙探査を担当する「月・惑星プログラムグループ(JSPEC)」と宇宙科学を担当する「宇宙科学研究所ISAS)」が存在する。
(中略)
宇宙戦略室・宇宙政策委員会がまとめた宇宙基本計画案(pdfファイル)には、両組織の統合を匂わせる文面が入っている。が、JSPECが組織されるにあたっては相応の理由があった。
ISASは1970年代以降、Mロケットを擁し、理学と工学の緊密な連携で世界的成果を上げてきた。それが、2003年の宇宙3機関統合と前後して、1)計画巨大化に伴う計画管理システムの破綻、2)予算減額、3)Mロケット廃止とそれに伴う工学セクションの衰退――が起こり次々と失敗、計画中止を繰り返すようになってしまった。
(中略)
これらの問題を解決するべく、2008年に組織されたのがJSPECだった。
(中略)
JSPECは現状で予算が十分に回っておらず、組織としては必ずしも成功していない。しかし、過去四半世紀以上に渡るISASの華々しい成功を可能にした緊密な理工連携は、3機関統合とMロケット廃止で崩壊してしまった。
今、宇宙基本計画案にあるように、「ISASを中心として大学を始めとする各研究機関と連携した効率的な科学研究マネジメント」に戻すなら、日本の宇宙科学も太陽系探査も、失敗を繰り返すことになるだろう。
理工連携が失われた今、必要なのは、JSPECのような組織を生かしJAXAの総力を挙げての宇宙科学と太陽系探査を実施する体制である。
(中略)
この現状を、宇宙基本計画案は「ISASを中心として大学を始めとする各研究機関と連携した効率的な科学研究マネジメントの体制を有している」と記述している。これは宇宙政策委員会が現実を直視せずに、「そうであったらいいな」という願望で物事を進めていることを意味する。
宇宙戦略室は、宇宙科学も探査も文科省に与える捨て扶持に押し込むことだけを考えている。文科省と科学コミュニティーは組織防衛に走るあまりに、理学工学の連携という過去の栄光にすがり、現実を見ていない。宇宙政策委員会は、宇宙基本計画案でそのような状況を漫然と追認している。
これは大変危険な状態だ。厳冬の道端でマッチを擦って幻影を見ていれば、待っているのは凍死の末路である。(中略)
組織はそこに在籍する人が担う組織文化と一体だ。いくら霞が関の文書に「ISASを中心とする理学・工学双方の学術コミュニティーの英知を集結し、本コミュニティーによるボトムアップの活力をそぐこと無く実施できるように、JAXA内で緊密に連携する」と書いても、破壊された組織文化は元には戻らない。
できることは、新たな文化を再建することだけだ。新しい文化には、新たな枠組みが必要である。私は、それはJSPECとISASを両輪として、全JAXAの能力を科学と探査に振り向けることができる体制だと考える。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20121225/241498/

これに関しては、ミンスレンホーではなく、ジミンが情報収集衛星の予算をJAXAに押し付けて、事実上の宇宙開発予算削減したのと、複数の省に跨っていた宇宙開発をJAXAに統合する際に、組織再編に伴う利権争いで、組織文化の良い部分を崩壊させたバ官僚が原因なので、全ては目先の予算カットで票を稼ごうとした二世議員どもと、技術軽視の財務官僚が組織上層部に巣食ったのを改善しない限り、ダメなんじゃないかな。