gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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被害者の実名はどうして報道されなくなったのか? | プリンストン発 新潮流アメリカ | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

今回のアルジェリアでの人質事件で犠牲になった日本人被害者の方々の実名を報道するかどうかという問題が議論になっています。
政府としては、今後の危機管理への取り組みにリアリティーを出すためには、改めて多くの犠牲という事実に対して、社会が向き合ってゆくべきであり、そのためには、犠牲者の「死」という事実には社会性があるという立場なのだと思います。実名の公表の背景にあるのは、そのような考え方であると思われます。
一方で、遺族の方々の中には「静かにしておいて欲しい」という率直な声があり、政府や日揮としては、その間で様々な苦慮があったのであると拝察されます。
この問題に関しては、現在の日本の世論としては、無名の個人にもようやく自己決定権やプライバシー保護という権利が認められたのであって、その「人権」を守るためには、いわゆる個人情報は保護されるべきという意見が大勢であるようです。
(中略)
今回の事件を契機に、それでは昔の日本、あるいはアメリカでは現在も被害者の実名報道が一般的であるということとの対比を考えてみることも必要のように思うのです。
(中略)
テロ被害者の遺族に対しては「故人は金融のエリートだったから遺族はカネには困らないだろう」などということを言う人はいなかったわけです。遺族に対する義捐金も、社会の広範な層から集まりました。
これに対して、ここ10数年の日本では、事件被害者の遺族に対する嫌がらせや無言電話などの行為が絶えないわけです。この問題が、こうした事件における実名報道を困難にしているのだと思います。
(中略)
事件被害者の遺族が、嫌がらせ行為などのターゲットになる本当の原因はもっと深いところにあるように思います。それは「社会の広範な同情を集めている」ような「有名な事件の遺族」と比較して、「無名」の自分はもっと不幸であり、もっと強い被害感を持っているという感覚です。
匿名の悪意や、一見すると「もっともらしい」イデオロギーに名を借りた「第3世界で搾取をしていた企業は政官と癒着」などという遺族には身を切られるような中傷が横行する背景には、こうした強い被害感というものがあるように思います。
(中略)
この問題を意識しつつ、現象として出てくる具体的な嫌がらせ行為などについては、徹底的に抑え込んで遺族を守ることが必要と思います。

http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2013/01/post-522.php

一見、マトモっぽい理由付けに見えるのだが、「犯罪 被害者 嫌がらせ」等のキーワードで調べても、日本で近年、犯罪被害者対する嫌がらせ事例が増加しているなんてニュースや情報はビタイチひっかからないんだけど、この人はいったい何処の日本の話をしているのだろうか?
どうにも、「被害者の実名を報道するのが当然」という前提があって、むりやり理由をこじつけている様に見える。
ネットで偏った意見や中傷、心無い発言が出てくるのはある程度仕方が無い。
これはネットの発達で誰しもが情報発信者になれるから表出してきただけで、昔からあったものだ。*1
が、そうした小さな悪意を、わざわざ犯罪被害者の所に行ってぶつけようと言う無駄な行動力を発揮する人の話なんて、聞いた事が無い。
善意と違って悪意は、よほどじゃないと行動にまで結びつかないものなのだ。*2
「若者の○○離れ」と同じもっともらしいけど根拠が無い、「○○は、昔に比べて…」という文脈を使ってるだけで、中身の無い話だと思う。
むしろ、氏名公表によって発生する、マスコミによるストーカーじみた強引な取材に、傷をえぐるような心無いインタビューの方が、よっぽど「事件被害者の遺族に対する嫌がらせ」に該当していると思うのは、気のせいなのだろうか。

*1:田舎の口コミネットワークで流れる酷い誹謗中傷を知ってれば、ネットの悪意がここ10年の話だなんて口が裂けても言えないだろうに…

*2:容疑者に対する私刑じみた嫌がらせの事例は、残念ながら存在しているが、これも昔からある話である。正義は中毒になるから