gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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長い停滞の入り口に立った中国 破綻寸前の地方政府、深刻な景気悪化はすぐ目の前 -JBpress(日本ビジネスプレス)-

(前略)
今後、中国経済はどのような展開を見せるのだろうか。ここでは、少々大胆であるが、私なりの予測を述べてみたい。
(中略)
中国の株式市場の時価総額は2012年の年末時点で366兆円(1ドル100円換算)であり、中国のGDPの45%に相当する。一方、中国の地価総額の推定は難しいが、筆者は昨年265.7兆元と推定した(拙著『データで読み解く中国経済』、東洋経済新報社、2012年、204ページ参照)。1元を16円として計算すると4251兆円になり、株式時価総額の11.6倍にもなっている。
筆者の推定が正しいと強く主張するつもりはないが、地価総額が株式時価総額を大きく上回っていることは事実であろう。
(中略)
中国でも地方政府が倒産の危機に瀕して、それが大きな問題に発展することがあるのであろうか。マスコミで語られる「7月危機」とはそんな状況を言っているのかもしれないが、「7月危機」が発生することはない。
中国で「住専国会」が開かれることはない。日本の国会に当たるものは人民代表大会だが、それは議論をする場ではない。党の決定を人々に知らしめる場だ。そして、中国の中央銀行も民間銀行も共産党の指導の下にある。日本でバブル処理が大変になったのは、処理のために税金を投入するのには国会に関連法案を可決してもらう必要があったためだ。
しかし、中国ではそのような手続きは必要ではない。共産党常務委員である7人が話し合った結果、必要ならば、いくらでも資金を投入することができる。そして、その議事録が公表されることはない。共産党は好きな時に好きなだけ、秘密裏に公的資金を投入することができる。そう考えれば、「7月危機」など起こりようがない。
(中略)
共産党の手に負えない景気悪化が迫り来る
それでは、中国はバブルが崩壊しても成長を続けるのであろうか。答えはノーである。崩壊しそうになった地方政府に際限なく公的資金を投入すれば崩壊は防げるのかもしれないが、インフレが加速されよう。デフレに苦しむ日本とは異なり、中国の民衆はインフレに苦しんでいる。そのために、インフレ率の上昇は政情不安につながることになる。
だから、一気にバブル処理を行うことはできない。中央政府は地方政府にそれなりの罰を与えながら、少しずつ不良債権の処理を進めるつもりだろう。もちろんそれは秘密裏に行われる。
大量の不良債権を作った高官は汚職を理由に処罰される。中国の高官は大なり小なり汚職を行っているから、粛清しようと思えばいくらでも材料を見つけることができる。経済運営に失敗したのであれば共産党にも責任があるが、汚職であれば個人の責任だ。このような手続きによって、表向きは平静を保ちながら、少しずつ不良債権処理を進めようと考えているのだと思う。
だが、地方政府が派手な投資を行わなくなれば、中国景気は一気に冷え込む。ここ20年ほど、中国のGDPの約半分は投資から生じていた。そして、その多くは地方政府が行ってきたのだ。中央政府のさじ加減にもよるが、地方政府の投資が委縮すれば景気は一気に悪化する。
(中略)
今後、景気後退がこれまで以上に鮮明化する。バブルが大きかっただけに、その回復には長い時間を要しよう。ちょっとやそっとの対策ではどうにもならない。
(後略)

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38144

前提となる情報と知識は間違っていないと思うんだけど、この人は、中国が既にグローバル経済という急流にどっぷり浸かりこんだ、鈍重な巨亀であることを理解していないんじゃないかな…。
幸か不幸か、日本がバブル崩壊を体験した90年代は、インターネットによる世界の縮小が本格化する以前であったにもかかわらず、日本政府が国債を大量発行してまで執行した莫大な公共投資は、グローバル経済がもたらした流動性の罠によって海外に流れ、日本の不景気を尻目に、世界経済は絶好調になったという経緯がある。*1
あれから20年以上が過ぎ、グローバル経済における資金流動の速度は、更に超加速している。
特に、中国はその恩恵を一身に受け、日本が半世紀掛けて駆け抜けた経済成長を、その半分以下の時間で急成長させた寵児でもある一方、流入する莫大な外貨を成長の動力源としていたから、グローバル経済のデメリットも全力で食らわざるを得ない生贄の羊でもあるのだ。
90年代当時の日本は、グローバル経済が生まれる前に自己資本で成長し、既に国内に巨大な内需を生み出していたし、国民の所得・貯蓄も膨大であったから、バブル崩壊後の日本から外資が逃げ散っても、致命的なダメージを受けなかった。
しかし、自己資本では無く膨大な外貨で急成長し、土地バブルに浮かれて内需の育成に失敗し、一党独裁で貧富の差が激しい中国では、バブル崩壊に端を発する外貨流出に耐える体力がどこにも無い。
記事にあるように、際限なく人民元を刷って、地方政府に投入すると、事実上のドルペッグ制が崩壊して、急速に人民元が通貨安になり、食料・資源の純輸入国である中国では、悪性のインフレが一気に進行する。
人民元が安くなれば、安い中国製品が売れる…という、一般解は世界的不況かつ中国の生産過剰で製品が余っている現在には適用できない。
一歩間違えばハイパーインフレという危機的な状況では、のんびり時間を掛けて債権処理なんてやってる余裕がないから、中国は極端な政策を打ち出さざるを得ない。
例えば、みせしめに汚職官僚(という名の政争敗北者)を処刑して財産没収して損失穴埋めに使ったり、事実上の徳政令(デフォルト)したり…とまあ、過去の大陸王朝の末期みたいな状況になる可能性がかなり高いと思っている。
特に、汚職官僚の処刑なんかを始めると、地方軍閥が中央の頸木から逃れて独自路線を歩み始めるのは、大陸の歴史を考えれば、もうほとんど「公理」みたいものである。
バブル崩壊の傷を回復とか言う前に、内乱になるか、内乱を回避する為に強大な外圧を設定する(強烈な日米敵視政策)か、絶対勝てる相手、台湾とか東南アジアの小国(フィリピン・ベトナム等)に戦争を吹っかけてくるんじゃないかな。
オラ、ワクワクしてきたぞw

*1:これは野党勢力の圧力と日銀の非協力により、本来は同時に行うべきだった金融緩和を殆どしなかった上、景気回復中に消費税UPとかやらかして、デフレを維持したという経済政策の失敗もあるので、グローバル経済が全部悪いとかでは無い