gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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韓国軍 高高度防衛ミサイルシステム導入を検討 -聯合ニュース-

【ソウル聯合ニュース】韓国軍当局がミサイル防衛(MD)システム構築のため、高高度防衛ミサイル(THAAD)システムの導入を検討していることが分かった。
韓国型ミサイル防衛(KAMD)の迎撃能力向上を目的として、海軍イージス艦から発射する海上配備型迎撃ミサイル(SM3、高度500キロ)と、地上に砲台を構築するTHAAD(高度40〜150キロ)の二つをめぐる腐心の末、米軍のミサイル防衛システム編入に際し問題の少ないTHAADを導入する方針であるとされる。
軍消息筋は15日、「多層ミサイル防御システムの構築を検討しているが、SM3は検討対象ではない」と明かした上で、空軍が近いうちにTHAAD導入のための所要能力を要請する予定であると伝えた。
国防部も14日、国会国防委員会で委員長を務める与党セヌリ党の劉承ミン(ユ・スンミン)議員に報告した資料で、ミサイル防衛システムに関連し、「SM3と地上配備型迎撃ミサイル(GBI)は、最終段階の迎撃システムとして大気圏外でのミサイル迎撃が可能。THAADと地対空誘導弾パトリオット(PAC3)は最終段階の上層および下層防衛迎撃を担当する武器体系で、SM3とGBIとは相互運用概念や性能が異なる」と説明した。
すなわち、SM3よりはTHAADがKAMDにふさわしいと指摘した。ミサイル防衛は「上昇−中間−最終段階」から成る。
韓国軍が運用するPAC3およびTHAADと米軍が運用するSM3とGBIを相互補完的に運営すれば、ミサイル防衛能力を向上させることができるというのが軍当局の構想とされる。
国防部は2020年代初めまでにKAMD構築のため、現在のPAC2をPAC3に改良する事業を推進しているが、軍内部からはPAC3では迎撃能力に限界があるという主張が提起されてきた。
軍関係者は、PAC3の迎撃高度は30キロ以下であるため迎撃のチャンスが1度しかなく、化学兵器や核を搭載したミサイルの場合、迎撃しても被害が生じる可能性があると指摘する。その上で「THAADは迎撃高度が40〜150キロであるため、PAC3と相互運用すれば迎撃のチャンスが2回になるほか、上層で迎撃すれば被害も減らせる」と説明した。
THAADは米国のMDで中・上層高度で敵のミサイルをTHAAD弾で迎撃できる。一つの砲台を導入するのに約1兆ウォン(922億円)の費用がかかる。
大気圏の外でミサイルを迎撃するSM3を導入するのに比べ、米国のMD編入をめぐる反発が少ないと軍当局は判断したが、THAADもMDの中核装備であることから、KAMDとMDの境界線があいまいになるという指摘が出る可能性がある。

http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2013/10/15/0200000000AJP20131015001200882.HTML

SM3を除外したのは重畳。
韓国としても、日本の技術が使われたSM3は嫌だろうし、日本としても、韓国経由で中国に機密情報を流されても困るし。
閑話休題
ところで、韓国陸軍が装備しているのは、PAC3じゃなくて、ドイツから中古で買ったPAC2の筈なのだが。
と、調べてみたら、来年以降の購入だそうで。
泥縄にも程があるな、と思ったら、韓国政府は在韓米軍がPAC3を持ってるから要らないとか考えていたらしい。
PAC3の防御領域は、15〜20km。*1
PAC3というのは、ミサイル防衛における最終防衛線であり、狭い範囲の拠点防衛が目的の兵器なのだ。
日本の場合、PAC3を都内要所に複数配置して、都内の広い範囲をカバーできるようにしている。*2
在韓米軍だって、当然自分達の基地を中心に守っている訳で、韓国軍が期待していたような韓国の要所をPAC3で在韓米軍が守ってくれる、なんてのは幻想以前の妄想なんだけど…誰も突っ込まなかったのかな?
THAADは、SM3と異なり、PAC3と同様の終末フェイズ迎撃用のミサイルで、PAC3と違うのは迎撃高度になる。
簡単に言えば、日本のSM3+PAC3は、中間フェイズでワンチャン、終末フェイズでもうワンチャンの2段防衛なのに対して、韓国のTHAAD+PAC3は、終末フェイズで2回チャンスの2段防衛になる。
当然だけど、終末フェイズは落ちてくるところだから、速度は増す一方であり、迎撃できるタイミングがかなり限られる。(1分くらい)
THAADで失敗したから、PAC3で再攻撃を判断する時間的余裕は、ほとんど無い筈で、その辺りはどーすんだろ。
命中率を犠牲にして、早めにTHAADをぶっぱして、可能な限り上層での迎撃を行い、外れたらすかさずPAC3をぶっぱ。
…これを1分以内。
この辺りの判断は、人間を介してたら間に合わない気がする。*3

*1:発射母機の正面が最も広く、左右後ろ側は狭くなるから

*2:当然だけど、都内全域をくまなくカバーなんてのは不可能

*3:日本のSM3からPAC3コンボでも、判断の余裕は数分くらい。この数分を捻出したのが、韓国の5倍以上も費やした日本のMD予算である。万が一政治屋が寝言で迎撃の判断を遅らせたら、1秒辺り50億円くらい払って貰いたいよなぁ