gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

はてなダイアリーが更新できなくなったので、泣く泣くこちらに移行。使いづらいようなら、別なサービスへの引っ越しも検討する予定。元ダイアリー:http://d.hatena.ne.jp/gayuu_fujina/

北朝鮮、韓国が迎撃できない地対艦弾道ミサイル開発中か -Chosun Online | 朝鮮日報-

現在の韓国軍の能力では迎撃できない、最大射程300キロの地対艦弾道ミサイル北朝鮮が開発中だという情報が入り、韓国軍当局が対策の整備に苦心していることが分かった。
韓国軍の消息筋は11日「北朝鮮は、KN02地対地弾道ミサイル(射程140キロ)を改良した射程200−300キロの地対艦弾道ミサイルを開発しているとみられる。最近、これに対する追跡確認作業を展開している」と語った。
北朝鮮は、KN01(射程160キロ)、シルクワーム(射程100キロ)などの地対艦巡航ミサイルを既に保有しているが、対艦弾道ミサイル巡航ミサイルよりはるかに高速で飛ぶため、脅威となる。
北朝鮮の対艦巡航ミサイルは飛行速度が音速以下で、イージス艦などに搭載されているSM2艦対空ミサイルや近接防空システム(CIWS)で迎撃できる。しかし対艦弾道ミサイルは最高速度が音速の4−5倍にもなり、現在の韓国海軍の兵器では迎撃できない。
米国が数年前から中国の大きな軍事的脅威の一つと考えている「空母キラー」ことDF21Dミサイル(射程1500キロ以上)も、対艦弾道ミサイルだ。北朝鮮が対艦弾道ミサイルの開発に成功した場合、有事の際には韓国海軍の艦艇だけでなく、大規模な上陸作戦を支援する米空母打撃群にとっても脅威になると評されている。
韓国軍当局は、核・ミサイル開発の分野で北朝鮮と極めて密接な関係にあるイランが、2011年に「射程300キロの対艦弾道ミサイルのテストに成功した」と公式発表している点に特に注目している。消息筋は「北朝鮮とイランの関係を考えると、イランが北朝鮮の対艦弾道ミサイル開発を支援する可能性はある」と語った。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/10/12/2013101200773.html

これはひどい…。
おそらくは、MD導入に向けて、理由付けのつもりなんだろうけれど、弾道ミサイルと対艦ミサイルってのは、基本的に性質がミスマッチなのだ。*1
中国が空母キラーを自称する、ちっとも現物が見えてこない対艦弾道ミサイルは論外としても、イラン軍で実用化された対艦弾道ミサイルは、誘導は赤外線画像方式で、誘導させる為に終末速度を犠牲にして、マッハ3程度というシロモノ
北朝鮮が、イランより高度な技術力を保有しているとは寡聞にして聞かないし、改造ベースと目されているKN02地対地弾道ミサイルの半数必中界は100−200m。
当然、移動する艦艇にぶち当てるには全然足りないスペックだ。
なので、最終誘導は必須であり、もし実現してもイランと同程度以下の性能になるだろう。
シースキマーでマッハ3なら深刻な脅威だが、弾道軌道でのんびりマッハ3程度の鈍足で飛んでくるようなミサイルなら、1世代前のSM2で十分迎撃可能だし、下手すると機載のAAMで撃墜できるんちゃうかというレベル。
これを「現在の韓国海軍の兵器では迎撃できない」のなら、どんだけ韓国軍のレベルが低いんだよ、という話になる。
なお、韓国空軍はAMRAAMを、海軍はSM2を装備しているので、当然上記の低スペックな対艦弾道ミサイルなら、スペック的には撃墜可能な模様。(朝鮮人の兵器運用能力は横に置く)
ま、何が言いたいかと言うと、無理筋の予算を通す為の嘘記事乙。という奴である。

*1:弾道ミサイルは、軌道が読みやすいけれど超音速で迎撃時間を短くし、命中率の悪さを核兵器などの範囲兵器で補う。対艦ミサイルは、レーダーの死角である海面低空を這うように進み航跡を隠しながら接近、迎撃されなければほぼ必中する。速度はあまり出ないものが多い