gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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【大阪から世界を読む】制約なしの移動式洋上基地「メガフロート」、日本の技術が軍事戦略を塗り替える - MSN産経west

脱原発」発言が注目される小泉純一郎元首相だが、実はそれだけではない。それは、米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の移設問題を抱える沖縄の負担軽減策をめぐる発言だ。平成25年11月に開かれた記者会見で、小泉氏は将来的にメガフロートの移動基地を考えるべきだと表明した。メガフロートは日本国内で研究と実証実験がすでに行われており、日本の技術が軍事戦略を大きく変える可能性がある。
(中略)
沿岸部を埋め立てる必要がないことから環境破壊への影響が少ない。陸上基地なら周辺住民の苦情にさらされるが、洋上に設置されるため騒音問題もクリアできる。メガフロートは海上空港、物流拠点、テーマパークなどに活用できるとされている。
(中略)
現在、普天間移設に関する日米合意は名護市辺野古沿岸部を埋め立ててV字型の滑走路を建設するというものだが、この合意に至るまでメガフロートが候補の一つになったことがある。この時はメガフロートを建設できるのが大手の造船業界などに限られ、地元・沖縄の業界には利益が回らないことなどから採用が見送られた。
(中略)
このメガフロートを曳航(えいこう)、あるいは自力での航行が可能な推進装置をつけると洋上での移動が可能になる。この点に着目して軍事的なメリットをさらに突き詰めてみようという動きが米軍にある。
(中略)
米軍内では外国領土に駐留したり、そこを通過する必要がない軍の運用を研究しており、それはシー・べーシング構想といわれている。この構想は、米軍を投入する目的の地点に近い沿岸部から40〜160キロの沖合に大規模な作戦基地を10日以内に設置しようというものだ。これだと外国政府の許可は不要になり、米軍の行動は制約されない。
(後略)

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140114/waf14011407010000-n1.htm

日本の場合、お役所が管轄(利権)を巡って争っている上に、メガフロート基部は造船業、しかし上に載せる建築物は建設業、と複数の業種に跨った巨代利権という事もあり、各業界からの圧力まであると言う地獄っぷり。
技術的な問題でも、経済的な問題でもなく、利権関係者の綱引きで暗礁に乗り上げたという鬼子だし。
土地が少ない日本としては、バブル崩壊前に実用化していれば色々と捗っていただろう事は間違いないし、原発なんかもメガフロートに載せて東京沿岸で発電していれば、もっとラクに処理できていただろう。(そもそも地震津波被害を受けないから、事故にもならなかった可能性が高いけど)
とはいえ、万能無敵な夢の技術と言う訳でも無い。
まず、軍用として致命的なのが、記事にもある通りの攻撃に対する脆弱性
沖縄の普天間で最終的に米軍がNO判断をしたのは、経済的な理由ではなく、この脆弱性が理由だし。
良くも悪くも船だから、沈む。
的がでかいから、魚雷でも爆弾でもボカスカ食らう。
爆弾が落ちて穴が開いても、土を持って来て埋めれば平らになる地面と異なり、破壊されたメガフロートの修理は、船の修理と同じで簡単には行かない。
頑丈に作れば、メガフロートの建造費用は軍艦同様に高騰し、地権者との摩擦を金で解決する今までのやり方の方が安く済む、なんて事にもなる。*1
中国辺りがブラジルで建設中の海底油田プラットフォーム近くに建造する予定のメガフロートを指して、日本の軍拡ガーとか言い出だしたのを真に受けたのかもしれんけど、現時点で民生用の実績もロクに無いメガフロートを軍用とか、夢物語にも程がある。

*1:そもそもメガフロートの建設・維持コストを考えると、非軍事目的の面積辺りのコストだけでも、坪単価30から45万円と地方中核都市の駅チカの土地並だし、船と同様に付着物対策の維持費用が高額だから