gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

はてなダイアリーが更新できなくなったので、泣く泣くこちらに移行。使いづらいようなら、別なサービスへの引っ越しも検討する予定。元ダイアリー:http://d.hatena.ne.jp/gayuu_fujina/

シャドーバンキングの中誠信託、巨額デフォルト回避へ - WSJ.com

【北京】中国の中誠信託は、不良債権化の危機に直面していた30億元(約510億円)の貸付信託の償還方法を見いだしたもようだ。規制の緩いシャドーバンキング(影の銀行)業界を揺るがしかねない巨額損失を回避できる可能性が浮上した。
中誠信託は27日、炭鉱運営会社の山西振富能源集団に貸し付けた信託金をめぐり、債権を株式に転換する形での債務再編計画を発表した。
その一方で、ある投資家が山西振富能源に出資し、約700人の信託委託者が手にする株式を買い取るという。中誠信託は山西振富能源を救済する投資家の名や具体的な出資額を伏せている。ウォール・ストリート・ジャーナルが話を聞いた2人の委託者によると、元本は償還されるものの、分配金の支払いはない。
中誠信託は先に、1月31日に期限を迎える償還金を支払えない可能性があると発表した。こうした事態になれば、シャドーバンキング業界の中核的な投資家が初めて損失を被り、中国の金融システム全体の健全性に疑問を投げかける結果になると懸念されている。この信託商品を販売した際には中国首位の資産額を誇る国営銀行、中国工商銀行(ICBC)が窓口を務めたが、同行は投資損失に責任を負わないと述べている。
アナリストらは今回の対応について、債権者の損失を政府などの第三者が肩代わりする「ベイルアウト」を意味し、無謀な貸し付けを助長するだけだとの見方を示した。バンクオブアメリカ・メリルリンチの中国ストラテジスト、デービッド・ツェイ氏は「モラルハザード(倫理の欠如)が強まる」と述べた。
野村ホールディングスの中国エコノミスト、チャン・チウェイ氏は「規制当局の時間稼ぎの意味合いが強い」とし、「(当局は)金融ショックが起きた場合に対応するための枠組みを用意しつつある」と話した。
中誠信託は先週、信託委託者への償還を実施するために出資者を「積極的に」探しており、関心を示している「複数の」投資家と協議に入っていることを明らかにした。アナリストの間では、山西振富能源の炭鉱での生産再開が新たな出資者探しに一役買うとみられていた。
中誠信託の運用資産額は12年末時点で116億元(約1965億円)と、中国の信託会社としては最大手の一角を占める。

http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304461804579347241367283558.html

コレは凄い。
何が凄いって、日本は、かつてのバブル崩壊後の不良債権処理に関して、公的資金を使った金融機関に対する資金注入で延命しつつ、不良債権を自前で処分させるという「正道」を取った。
結果として、銀行は貸し渋りが横行し、新規事業の縮小、黒字倒産が発生し、失われた20年を甘受した。
しかし、中国では、突如、謎の投資家が登場して、不良債権を買い取った。めでたしめでたしwww
…んな馬鹿な!!
記事にあるとおり、誰も「謎の投資家」が「中国共産党」である事を疑っていないから、「モラルハザード(倫理の欠如)が強まる」と懸念している訳で。
今回は「たったの」500億円規模だから、中国がこっそり輪転機を回して市場に資金を垂れ流したのだとしても、影響は小さい。
しかし、これから連鎖的に増え続ける不良債権処理を、同様の手法で切り抜けて行った場合、悪性インフレが始まり、どこかで通貨不安が発生する。
一度通貨不安が発生してしまえば、それを止める事は誰にも出来ない。
さて…中国はどこまで「嘘」で世界と自分を騙し続ける事ができるのか、楽しみである。