gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

はてなダイアリーが更新できなくなったので、泣く泣くこちらに移行。使いづらいようなら、別なサービスへの引っ越しも検討する予定。元ダイアリー:http://d.hatena.ne.jp/gayuu_fujina/

21人が死亡…日本全国に広がる“殺人ダニ”に注意(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース

これまでに21人が死亡しています。死に至るウイルスを持ったダニが全国各地で見つかり、これから春に向けて注意が必要です。
SFTSウイルスはマダニを媒介して感染し、西日本でこれまで53人が感染し、発熱や出血などの症状を訴え、21人が死亡しました。
田村厚生労働大臣:「草木の多い所に入る時は、肌をなるべく出さないようにして」
感染者が見つかったのはいずれも西日本でしたが、国立感染症研究所の調査で、このウイルスを持ったマダニが北海道から九州まで23道府県で見つかりました。このウイルスに有効なワクチンはなく、厚生労働省が注意を呼び掛けています。

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20140225-00000027-ann-soci

「殺人ダニ」とかセンセーショナルな名前で、ただ危機感を煽るだけの報道は、最低だと思う。
きちんと見つかった「23道府県」までを報道して、最低限のニュースとして機能するだろうに。
関連:<速報>重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスの国内分布調査結果(第一報)

(前略)
2005年から現在までに計39名の患者が九州・四国・中国・近畿地方の13県(兵庫、島根、岡山、広島、山口、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、宮崎及び鹿児島県)から報告されており、同地域にはSFTSウイルス(SFTSV)が分布していることが明らかである(http://www.nih.go.jp/niid/ja/sfts/3143-sfts.html)。
(中略)
本年5月から開始された厚生労働科学研究「SFTSの制圧に向けた総合的研究(研究代表者 倉田毅)」において、マダニからのSFTSV遺伝子検出法及び動物のSFTSV抗体測定法が開発された。
(中略)
1)マダニについて:中国、四国、近畿及び中部地方(9自治体)内のいくつかの地点について調査したところ、採取されたマダニ11種のうち、複数のマダニ種(フタトゲチマダニ、ヒゲナガチマダニ、オオトゲチマダニ、キチマダニ及びタカサゴキララマダニ)から、SFTSV遺伝子が検出された。また、これらのSFTSV保有マダニは、既に患者が確認されている地域(島根、山口、徳島、高知、兵庫県)だけではなく、患者が報告されていない地域(近畿:和歌山県、中部:福井、山梨、静岡県)においても確認された。
(中略)
2)動物のSFTSV抗体保有状況について:
(中略)
シカでは、検体が得られた地域(19自治体)のうち、九州(福岡、熊本、宮崎、鹿児島県)、四国(愛媛県)、中国(島根、広島、山口県)、近畿(和歌山県)及び中部(長野県)地方でSFTSV抗体陽性動物が確認されたが、その他の地域(北海道、岩手、栃木、千葉、静岡、兵庫、徳島、高知、大分県)では陽性のシカは見つからなかった。
(中略)
イノシシでは、検体が得られた地域(15自治体)のうち、九州(熊本、鹿児島県)、四国(徳島、香川、愛媛、高知県)及び中国(広島県)地方で抗体陽性動物が確認されたが、その抗体陽性率は、シカの抗体陽性率に比較して低かった。また、その他の地域(千葉、長野、静岡、三重、兵庫、島根、大分、宮崎県)では抗体保有イノシシは見つからなかった。
(中略)
猟犬では、検体が得られた地域(16自治体)のうち、九州(熊本、宮崎、鹿児島県)、四国(香川、高知県)地方以外に、患者が報告されていない地域(近畿:三重県、中部:富山、岐阜県)でも抗体保有動物が存在した。(後略)

http://www.nih.go.jp/niid/ja/sfts/sfts-iasrs/3864-pr4043.html

上記の報告をまとめると、現時点で感染の可能性がある県は

◆九州
 福岡
 佐賀
 長崎
 熊本
 宮崎
 鹿児島
◆四国
 徳島
 香川
 愛媛
 高知
◆中国
 島根
 岡山
 広島
 山口
◆関西
 三重
 兵庫
 和歌山
◆近畿
 富山
 福井
 山梨
 長野
 岐阜
 静岡

…となる。
2011年に「中国」で発見されてから、渡航暦のある人を中心に2012年までの発症報告例は8例に過ぎなかったが、2013年の1月に国内感染者が見つかると、1年の間に40名もの感染者と13名の死亡者が出ている。数字を見れば、急速に感染が拡大している事がわかる。*1
発症月で一番数が多いのが5月、次いで8月。秋から冬にかけては少ない。

(前略)
感染すると6日〜2週間の潜伏期を経て、発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が多くの症例で認められ、その他頭痛、筋肉痛、意識障害や失語などの神経症状、リンパ節腫脹、皮下出血や下血などの出血症状などを起こす。
(後略)

http://www.nih.go.jp/niid/ja/sfts/

上記の症状が出たら、さっさと病院に行くのが吉…なんだけど

(前略)
治療は対症的な方法しかなく、有効な薬剤やワクチンはない。
(後略)

http://www.nih.go.jp/niid/ja/sfts/

ので、注意。
記事では、感染53名中21名が死亡し、高い死亡率を強調しているが、この死亡率にはカラクリがあって、感染した40名の平均年齢は…73歳。
40名中、90代が3名、80代が11名、70代が12名で、どうみても体力の無い老人に感染し、発症したからこそ死亡率が高い、とみられる事。(40代以下の感染例はわずか1例)
実際、感染例の多い中国での最新の報告では、死亡率は6%程度と言われている。
だから、これから感染地域が拡大するにしても、この危機感を煽るだけの最低のニュースに踊らされて過度にビクビクする必要は、あんまり無いと思われる。
ただ、山に入る時は

(前略)
長袖・長ズボン(シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる、または登山用スパッツを着用する)、足を完全に覆う靴(サンダル等は避ける)、帽子、手袋を着用し、首にタオルを巻く等、肌の露出を少なくすることが大事です。
(後略)

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/sfts_qa.html

という注意を守り、猟師とか林業従事者とか、山に入る仕事をしている人で、高齢の方は、注意を促すべきだろう。
…ここまで総括してこその報道だと思うんだよね、わし。