gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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驚愕の量子コンピュータ - [量子コンピュータ1]突然商用化した夢のマシン:ITpro

実現は遠い未来のことだと考えられていた「量子コンピュータ」。それが突然、従来とは異なる方式で実現した。カナダD-Wave Systemsが開発し、米グーグルや米航空宇宙局(NASA)が導入した量子コンピュータ「D-Wave」だ。
D-Waveが期待通りの性能を出すことができれば、現在のビッグデータ活用が子供の遊びに思えてくるほどの、計り知れないビジネス上のインパクトがもたらされる。そんなD-Waveに、日本の研究や技術が大きく寄与していたことを知っているだろうか。
それだけではない。現在、日本の国立情報学研究所(NII)が、D-Waveのさらに上を行く日本独自の量子コンピュータの開発を進めている。
次なるIT革命の中心地は、実は日本だ。知られざる量子コンピュータの真の姿に迫る。
(後略)

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20140514/556564/

どうにもこの手の記事は、きちんと科学的リテラシーがある記者が書いている場合が非常に少なく、センセーショナルな記事であればあるほどに、ある程度情報を集めて、自分なりに噛み砕かないと、見当外れな認識になってしまいがちである。
例えば、この記事だと従来型の量子ゲートを用いた量子コンピュータと「比較」しているが、そもそもこのコンピューターは「量子アニーリング」を使っている。
従来型の量子コンピュータは量子の「重ね合わせ」状態を用いて超並列計算する事により、古典的コンピューターに比べて圧倒的な計算力を発揮する…とされている。
量子アニーリングは、「量子焼きなまし法」と呼ばれ、最適化問題を解くのに優れた、量子トンネル効果を用いたアルゴリズムらしい。(このあたりの理解はかなり怪しい)
つまり、全くの「別物」であって、これを従来型の量子コンピュータの延長のようなイメージで語ることは、誤解の元にしかならない。
凄い凄くないで言えば、凄い話なのだが、これでSFじみた夢の量子コンピューターが実現している、と勘違いするのは早計だし、この技術が革命的に汎用的な物かと言われれば、そうでもない。
応用にしても、派生研究にしても、まだまだ先は長いし。
ただ、基礎研究も、基幹部品の開発も日本が先行していたのに、商用化は海外の方が早い、という辺りに、日本政府の学術支援における欠陥が浮き彫りになっているような気がするね。