gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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軍事より怖い、中国が世界一の金保有国になる日 着々と進める金塊生産と金輸入、狙いは米国に代わる基軸通貨国:JBpress(日本ビジネスプレス)

有力産金業界団体のワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の統計によると、中国本土の宝飾品・投資需要は2013年に前年比32%増の1065.8トンと過去最高を記録、インドを追い抜き世界最大の金需要国となった。
(中略)
中国の金需要が急増した要因は金価格急落だ。
(中略)
金価格の急落でアジアでは熱狂的な金買いが起こり、中国本土の主な金輸入先のシンガポールや香港などでは延べ棒や金貨が店頭で品切れ状態となった。
(中略)
中国の金生産は1990年までは年間100トン以下であったが、中国政府による金の埋蔵調査や金鉱開発で90年代に入ると100トンを超えた。さらに、2000年以降になると民間投資も増え、2007年に南アフリカ共和国を抜いて世界最大の金生産国となった後も、他の生産国との差を広げ、ここ20年間で生産量は4倍に跳ね上がった。
2013年まで7年連続で世界一の座を維持、世界の金生産の15%を占めるまでになっている。鉱山開発は一朝一夕にはできない。国策による金需要爆発に備えての鉱山開発が功を奏したのだ。
しかし、それでも旺盛な国内需要を満たすことはできなかった。中国黄金協会(CGA)によると、2013年の中国の金の消費量は前年比41%増の1176.40トンと生産量を大幅に上回った。その結果、不足分を海外から大量に輸入することになったのだ。
(中略)
中国政府が2004年から金市場発展策を推し進め、国民に金購入を奨励する一方、政府自体も秘密裏に金準備高拡大を進めていると思われている狙いは何か。
世界唯一の超大国である米国に金融・経済・軍事面で対抗する国家となるためというのが筆者の推論である。
歴史上覇権国家と呼ばれた英国、そして米国は世界を圧倒する金準備を誇っていた。WGCの統計によると、米国の公的金準備高は2014年8月時点で8133.5トンと世界第1位であるのに対し、中国は世界第7位となる1054.1トンにとどまっている。
中国人民銀行が今後、金準備高を公表し、市場関係者の予測通りに現在の水準より数千トンレベルで増えていれば、米国に次ぐ世界第2位の金準備国になっていることは確実。
また、中国は共産国家であり、銀行や国民が退蔵している金を国庫に吸い上げれば、米国を凌ぐ世界最大の金準備国になることも可能であり、中国が世界の覇権を握る1つの方策が、国を挙げての金買い集めなのだ。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41736

全然怖くないんだが…。
金は普遍的価値を持つ希少金属の一つであり、工業的にも価値が高い為、資産としての価値は高い。
しかし、アメリカが保有する、「たった8133.5トン」の金価格は、1トロイオンス(31.1グラム)辺り1224.50米ドル。
1ドル108.45円で計算すると、1グラム4270円だから、約34.73兆円相当
一方で、米国債の債務残高は2014年で185270.1億ドル*1…つまり、2009兆円を越える
国債の総量ってのは、それだけの米ドルが国際金融市場で取引されていると、という事であり、アメリカがここ数年ずっと金融緩和して通貨流通量を増やし続けなければ米ドルの高騰が止まらなかったように、金の保有量なんてものは、米ドル、ひいてはアメリカと言う国が持つ「信用力」の、ごく一部を担保しているに過ぎず、アメリカも日本政府と同様に、国債に対して、資産も十分にあって、バランスシート上では問題ないからこその「基軸通貨国」なのである。
米ドル、ユーロに次ぐ「信用力」を持った「世界三大通貨」の一つである日本円を通貨とする日本政府が、1000兆円を超える国債を発行し、米国に比べて圧倒的に少ない765トン程度の金保有量にも拘らず、日本円が暴落しないのは、国としてそれだけの国際的信用を半世紀以上積み上げた結果なのだ。
余談だが、EUは欧州中央銀行として502トン保有している他、各国が外貨準備として金を個別に保有していて、ドイツ・イタリア・フランスの3か国だけでアメリカの保有量を越える8282.7トンを保有しているが、ドイツのマルク、イタリアのリラ、フランスのフランが、ユーロに通貨統合されるまで、国威相応に信用の高い通貨ではあったが、基軸通貨として通用するなんて、全く考えられる状況ではなかった。(だからこそユーロに通貨統合された訳で)
仮に、中国がこっそり7000トンの金を保有していたとしても、それで担保されるのはたった30兆円程度であり、その程度の「信用力」で基軸通貨国を目指すなんてのは、片腹痛い。
基軸通貨を目指すなら国際通貨であるべきだし、国際通貨を名乗りたければ、固定相場制を止めて、変動相場制の洗礼を受け、国際金融市場が公正で開かれたものである事が必須である。
もし、通貨バスケット制を維持し、金融市場が閉鎖的なまま、更には法が法として機能して居ない国のまま「人民元は国際通貨だ、基軸通貨国を目指すぞ」と気炎を吐いたら、先進国全てから生暖かい目で馬鹿にされるだけだと思うわ。