gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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シャルリ・エブド事件後、厳しくなる在仏イスラム教徒の立場

12人が犠牲となり、イスラム教テロリストによるものと事実上判明した、パリの風刺週刊誌シャルリー・エブド社襲撃事件。その後、500万人に及ぶフランスのイスラム教徒はより孤立し、隣人から恐れられることになっているかもしれない。
同誌は2011年にもイスラム教を風刺する漫画を発表して、オフィスに火炎瓶を投げ込まれた。フランスのイスラム教組織はすぐに、同事件を非難する声明を出した。しかしこうした非難は、ただでさえ社会の辺縁に追いやられているイスラム教徒の認知を向上させることにならなかったようだ。
フランスのイスラム教徒はおおむね、「自分たちは2級市民に過ぎないという感覚を持っている。イスラム教コミュニティは、文化や宗教の違いを大げさに言う人々から厳しい目で見られていると感じている」と、パリのグラン・モスクのムスリム学院のダリル・ブバカー(Dalil Boubakeur)校長は、事件の前、フランスのサイト「サイコロジーズ」に語っていた。
「いま現在、イスラム教徒に対する限りない憎悪がある。私はフランスにいたいとは思わない」とパリ在住のユーザーはツイートした。
「これらの攻撃で一番の被害者は誰か。フランスのイスラム教徒だ。われわれは非難され、人々は理由もなくわれわれを恐れる」という書き込みもある。
こうした恐れは正当なものかもしれないが、度を越していると専門家は言う。
「急激な反発は、概ね起きていません。こうした攻撃は改宗者のしわざであることも多いと警察は知っています。金髪の犯人がいても不思議ではないのです」と、西欧における国内テロや政治と宗教の関係に関する著作のあるジッテ・クローセン(Jytte Klausen)ブランディス大教授は言う。
しかし、フランスは、米国では極右しか使わないような嫌イスラム的トーンがメディアの主流を占める国でもある
(後略)

http://jp.ibtimes.com/articles/1388834

フランス人…というか白人の傲慢な性質は横に置いて、実は日本人とフランス人の文化的閉鎖性については、割と類似点がある。
その意味で、フランスの現状は移民政策を解禁した日本の未来として、ある程度の類似を見せる可能性は十分にあるから、この事件は「完全な対岸の火事」という程、遠いものではなかったりする。

(前略)
つまり、フランスにはイスラム教徒がはびこりすぎているという意識が広くあるわけだ。2010年に行われた世論調査では、フランス住民のうち自分はイスラム教徒だという人は実際には8%未満だったのに、人々は国の3分の1近くがイスラム教徒だと考えている。イスラム教徒の存在についての現実と認識の間のこのギャップは、欧州の中でもトップで、これに迫るのはベルギーのみである。
この認知のひずみはイスラム教徒に対する反動的な見方につながっている。「ある国民の中に別の民族がいるというこの状況は混乱と内戦をもたらすだろう。ここフランスには、住んでいるけれどもフランス人的でありたくないという人々が数百万人いる」とゼムール氏は9月、イタリア紙に語った。さらに具体的に聞かれて、作家は、「子どもにフランスの名前を付けることや、一夫一婦制、衣服、食生活(例えばチーズを食べるなど)、カフェでジョークを言うことや女の子を口説くことだ」と説明した。
イスラム教徒が他のフランス人と違うという考え方は、物理的に分離していることでさらに拍車がかかっているのかもしれない。その多くは荒廃した郊外に住み、そうした地域では治安が悪く失業率は高く、生活は貧しい。
(後略)

http://jp.ibtimes.com/articles/1388834

日本において、在日中国人と朝鮮人、ここ15年の駆け込み在日帰化人を合せても、150万人程度。
人口比においては、1.25%程度だが、彼らの「文化に馴染まない」「集団として集まる」性質から、特定の都市では「中国人街」「朝鮮人街」と呼ばれるほどに原住の日本人を追い出して大量の外国人が地域を占拠しているため、その実数より非常に多く感じられるし、その影響力も大きい。
これが、1000万移民なんてのが実施され、人口の1割に達すれば、それこそ国民の体感的には「3人に1人が外国人」という状況になるだろうことは、想像に難くない。
いや、都市部に集まる彼らの性質を考えれば、都市部では日本人より多い、という逆転現象すら起こり得るだろう。
結果として、上記事中のフランスと非常に近い、もしくはより過激な国民感情が形成される可能性は、非常に高いだろう。
つまるところ、戦後の自由主義経済の申し子、多国籍企業が推進してきたヒト・モノ・カネ・情報のグローバリゼーションは、負の現象の方が大きくなっているという事。*1
移民政策とか、多民族国家なんてのは、アメリカやEUのように既に問題を抱えた後ならともかく、その問題を抱える前なら、回避するのが当然だし、妥当という話でFAとなる。
閑話休題(それはさておき)
今回問題となった三流ヘイト誌は、キリスト教相手にも「平等に」ヘイトを撒き散らしているから、イスラームを狙い撃ちした宗教差別はしてないとか、頭の涌いた人達も居るけれど、煽っても切れない本当の一線を理解している相手(キリスト教)と、沸点をよく理解してない上に少し煽れば切れる相手(イスラーム)だと判ってて、「両方煽ってるからヘイトじゃない」なんて、明らかに非対称な話で、それを理解して煽っている以上、戯言だよね。
もし、理解していないで煽って居たと言うなら、「フランス人はアスペ」という結論になるし。
今回の事件は、どうにも「既に問題を抱えた後」に、「わざわざ向こうから手を出してくるように口汚く煽り続け、それに切れて手を出してきたならそれを理由に弾圧する方向へ世論を誘導する」ようなヤリクチにしか思えない。
…ていうかコレ、アメリカ人がネイティブアメリカンを虐殺して荒野に追い払う為の口実を作った時のヤリクチと全く同じだよね
だから今回の件で、「言論の自由を守れ」「報道の自由の侵害だ」「テロリストは消毒だー」と言うのは、筋はわかるけれど、なんか違くねぇ?、と思うのだ。
関連:CNN.co.jp : 風刺か侮辱か シャルリー紙最新号の表紙にイスラム預言者 - (1/2)
わざわざ追加で煽ったり…
関連:「犯人はユーモア失っていた」 仏紙風刺漫画家が会見:朝日新聞デジタル
ヘイトをユーモアだと強弁したり…、まあ何というか、白人は200年前からちっとも成長してない、という結論でよいのだろうか。

*1:TPPもそうだし、エボラのパンデミックも、テロの広域化も負の現象と言える。だから多国籍企業の集団である経団連の言う事を聞いてると国が壊れるってオチ