gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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中国主導のアジアインフラ投資銀行に加盟希望国が続出 英国が表明 迫られる日本の判断 : 大艦巨砲主義!

中国主導で今年末にスタートするアジアインフラ投資銀行(AIIB)に英国が参加することになった。主要7カ国(G7)で参加するのは初めて。これにより国際金融機関として信認が高まることになる。この結果、発行債券などの格付けが上がり、低金利での資金調達が可能となる。イタリアはじめとする他の欧州諸国やカナダやオーストラリア、韓国なども追随する可能性がある。
(中略)
出資比率はGDP国内総生産)に基づいて決まるため、参加国中最大の経済大国、中国が半分以上の出資比率を確保、大きな発言権を握ることになる。総裁に中国の金立群・AIIB設立準備委員長が就任する見通しだ
この投資銀行には、東南アジア10カ国、インドをはじめ27カ国の参加が既に決まっており、英国で28カ国目。先進国ではニュージーランドが参加。南シナ海で中国と対立するフィリピン、ベトナムも加わっている。アジア専門家によると、深刻な投資資金不足にあえぐアジア諸国にとって、立ち遅れたインフラ整備を支援するという、中国の提案を拒否する理由は見当たらないという。
(中略)
AIIBと役割が似た国際機関としては、世界銀行アジア開発銀行(ADB)がある。それぞれ米国と日本の発言力が強く、歴代総裁ポストは世銀が米国人、ADBは日本人が就任する。中国をはじめとする新興国が発言権の増大(出資分担金増)を求めるIMF改革は米議会が承認せず実現していない。現状に不満を抱くブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国(BRICS)は14年7月、「BRICS開発銀行」の設立でも合意に至った。AIIB、BRICS開銀に加えて、習近平国家主席は14年11月、400億ドル(約4兆8000億円)を拠出して、シルクロード沿いの各国のインフラ整備などを支援する基金創設を表明した。
(中略)
中国はAIIBへの参加を日本、米国にも要請。「日本はアジアの重要な国であり、日本もアジアの発展に向けてAIIBで重要な役割を担ってほしい」と伝えてきたという。日米両国はAIIBが既存のアジア開発銀行(ADB)と業務が重複し、組織運営も不透明だと指摘して慎重な姿勢を示してきた。
(中略)
英国に続いてドイツ、イタリア、フランスなどの欧州諸国やカナダ、オーストラリア、韓国なども追随する可能性がある。
(中略)
新たな対応を迫られているのは日米の側」(日本の有力大教授)との指摘もある。中国主導の構想にあえて関与し、「内側から日本の立場を反映すべきだ」との意見もあり、日本は難しい選択を迫られそうだ。(八牧浩行)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150314-00000014-rcdc-cn

いや、全然全く
元々、アジア開発銀行(ADB)なんて、明言はしてないけど日本の戦後賠償の一環として、日本の財布でアジアの開発融資をしてきた話を、ODAとか直接融資にして日本のアジア地域での発言力が伸びるのを嫌ったアメリカが「俺も一緒にやるから、国際機関で」となった話でしかない。
日本がADBで大きな発言権を持っているからと言って、中国や韓国が日本に対して好き放題やらかしていても、制裁がある訳でもないし、融資が偏った訳でもないので、アジアインフラ投資銀行(AIIB)のように発言力を金で買うようなシステムではなく、ごく公平な融資銀行だった事は明白なのだ。
ただ、公平な融資銀行だったからこそ、使用目的や審査などか厳しく、金と権力で横車を押す事に慣れた民主的ではない国々にとっては「使いにくかった」面もある
実際、中国は発言権増大を狙って、ADBへの出資比率増大を狙った事もあるぐらい。
…が、中国はそもそもADBから膨大な資金を借りている「借入国」でもあるのだ。
当然だけど、出資する金があるなら、まず借金返せよ、と言われてしまう訳で。
これは、記事にもある通り、日米が阻止して、中国の発言権増大はできなかった。*1
なのでBRICS銀行なんて中国、インド、ロシアと言った社会主義国中心で、最大融資国に強い発言権を持たせた、政治性の高い開発銀行が作られた。
これは、世界開発銀行やADBからの資金調達がやりにくいと感じた国々が、当て馬として設立したという一面があるのだ。
AIIBも同様で、中国の紐付きとはいえ、中国を立てれば好きに使える金が出てくるなら、そりゃ中小国は喜んで参加するし、国の利害に反しない範囲で尻尾だって振って見せるのは当然だろう。
イギリスも、参加したのは所詮は中国への「貸し」作りでしかなく、本気でアジア諸国に融資なんてする気はサラサラ無いと思う。
この件は、アジアへの影響力拡大に利用していたアメリカはともかく、日本はADBを、外交に積極利用していなかったので、失っても痛手は無い*2
アジアの国々がADBじゃなくて、AIIBから金を借りるので、ADBは不要だ、と言うなら喜んで「アジア開発銀行は役目を終えた」として畳み、日本は手を引いてしまえば良い。
日本もアメリカも、余計な支出が減って喜ぶくらいの話*3
賭けても良いけれど、そんな事態になって困るのは、アジアの国々の方になる。
中国の紐付きの資金しか選択できなくなるから、中国と利害対立した場合、譲歩して諦めるか、対立して融資を失うかの2択になってしまうからだ。
更には、明らかに中国が「持出し」でやってる「金のばらまき」外交なのだから、中国の経済が失速すれば、あっという間に金が無くなる。
日米が財布だったADBと異なり、AIIBの財布は中国しかないからだ。
ADBはアメリカも参画する話だから、日本が不景気になっても資金拠出量は変わらなかったけれど、AIIBは中国が外交政策として行っている政治色が強い銀行なので、資金の分配も中国が恣意的に行う事は明らかなので、中国以外の国による出資自体、積極的に行われるとは思えない。中国が抜ければ誰も金なんて出す筈も無いだろう。
そうなれば、アジア諸国のインフラへ融資してくれる国際銀行自体が無くなる訳で。*4
アジアの中小国が中国に擦り寄るのは良いんだけど、朝鮮と一緒で、何でも2又外交やれば儲かるって話じゃないんだけどなぁ。
中国と領土問題を抱えているフィリピンとかベトナム、インドがしれっと参加している辺りに、中国のやり手ぶりを褒めるべきか、フィリピンとかベトナム、インドの利益の為ならどこまでも節操なく行動できる、迷いなさを褒めるべきか、迷うわ。
まあ、何にせよ、日本の立場としては、国際的公平性が全く無いAIIBへの参加は不要だし、ADBも役目を終えたなら債権を回収してさっさと畳んでしまえばいい。(困るのは借入額1位2位のインドと中国www)
中国の「金のばらまき」による国際影響力の増大なんてものは、長く続けられるものでもないので、長期的には遅るるに足りないし、短期的には、これ以外の場所で挽回すればいいんだし。

*1:実際、中国は同様の事をIMF対しても行っている。それが思うようにいかないから、IMFは閉鎖的だとか批判しだした。韓国も似たようなことを考えてIMFへの出資枠増大をした事がある

*2:中国の発言力増大自体がデメリットではあるが、それはADBを存続したとしても阻止できないので、存続するだけ無駄になる

*3:IMFとか世界銀行には金を出しているので、ADBを畳んだ後にAIIBに金を出さなくても、文句を言われる筋合いが無い。もし必要だったなら、ADBで間に合っていたのだから

*4:黙ってIMF世界銀行へ行け…となる。IMF世界銀行も、ADBより融資条件が厳しい