gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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世界初、商用スケール「垂直農場」がシンガポールに誕生 « WIRED.jp

何段にも積み重ねられたスカイグリーンファームの野菜の鉢植え。
シンガポールに世界初の商用垂直農場がオープンした。国土が狭く人口密度が高い同国では、この垂直農場を活用して、食料自給率の向上を目指すという。
マレー半島の先端に位置するシンガポールは、国土の面積がわずか約700キロ平方メートル。しかも、都市部がほぼ全体を占めており、農業に利用できる土地はほとんどない。そのため同国の野菜の自給率はわずか7%で、他国からの輸入に頼らざるを得ない状況だ。
スカイグリーンファームという企業がつくったこの垂直農場は、内部に高さ約9メートルのアルミ製棚120台が並んでいる。同農場では3種類の野菜を1日あたり約450kg以上生産可能で、これらはシンガポール国内のスーパー「FairPrice Finest」で販売される。
これらの野菜は輸入ものより少し割高だが、現地の消費者たちには大人気で、しばしば売り切れになっているという。このため、同社は1日あたりの生産量を2トンまで拡大できるよう、現在投資家らに資金提供を呼びかけている。野菜の供給量が増えれば、規模の経済によって価格を引き下げることも可能になる。
同国の通商産業省、国家開発省の大臣であるリー・イー・シャンは、「われわれは常に食料供給源を増やすための方法を求めている」と話す。「シンガポール国内で食料を生産できれば、地元の需要を満たす助けにもなるだろう」(リー・イー・シャン)

http://wired.jp/2012/11/05/vertical-farm-in-singapore/

まず、「垂直農場」というのは、「高層建築物の階層、及び高層の傾斜面を使用して垂直的に農作業、動物の育成を行う方法」を指すもので、「植物工場」とイコールではない点を押さえておかないと、「世界初」という装飾子に混乱させられる事になる。
植物工場自体は、とっくの昔に実用化・商用化されているのだが、光源から全て人工物である「完全人工光型植物工場」から、太陽光を利用した半人工環境で農業する「太陽光型植物工場」まであり、後者は広義だと「ただのビニールハウス(温室)」すら含まれてしまう為、「植物工場」という語義自体がまだあやふやであったりする…。
閑話休題(それはさておき)
この記事にあるスカイグリーンファームは、公式サイトによると、9mの高さの4本のアルミフレームによって縦長のO字を形成しており、O字に沿って38層の葉桶を並べ、観覧車の様にアルミフレームに沿って回転させる事で、全ての葉桶に均一に太陽光が当たるようになっている。
ちなみに、回転に使われる動力は、水の位置エネルギーを利用した油圧駆動で、アルミフレームの塔毎に40W程度の消費電力で済むらしい。
また、水もロスが多いスプリンクラーを利用せず、下に降りてきた葉桶に水を供給する方式で、水の浪費も少ないんだとか。
採取も下に降りてきた葉桶から順に行う事で、高所作業が不要になり、安全な収穫が可能になるらしい。
これらは、「垂直農場」を効率的に運用する為の仕組みで合って、農作物に対する管理とは異なるから、「植物工場」と言うより、写真を見る限り温室の垂直利用といった仕組みに近いように思う。
日本の場合、島国なのでメガフロートを利用すれば「平地」自体は用意できるから、コスト面で敷居の高い「垂直農場」より、完全人工環境による安定的な「植物工場」を確立して、世界中に輸出した方が儲かると思う。