gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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ブラジルで潜水艦造船所の開所式、原潜1隻含む5隻を建造へ 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News

【12月14日 AFP】ブラジルのジルマ・ルセフ(Dilma Rousseff)大統領とセルソ・アモリン(Celso Amorin)国防相は12日、リオデジャネイロRio de Janeiro)から約70キロ離れたイタグアイ(Itaguai)にある潜水艦造船所の開所式に出席した。
この造船所は同国海軍、ブラジルの建設会社オデブレヒト(Odebrecht)、仏DCNSが共同で建設した。
約8500キロもの海岸線を有するブラジルは、領海のパトロールのため原子力潜水艦1隻を含む潜水艦5隻を建造する計画。ブラジルは憲法核兵器不拡散条約(Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons、NPT)により核兵器の開発と配備が禁じられており、5隻はいずれも通常弾道型の魚雷を装備することになっている。
ブラジルは英国、中国、フランス、ロシア、米国と並ぶ原潜保有国になることを目指している。全長約100メートル、6000トンの原潜は2017年に建造を開始し、2025年に就役する予定。この原潜に搭載する原子炉と濃縮ウラン燃料はブラジルの技術で開発が進められている。
新たに建造される5隻は、1980年代にブラジルがドイツと共同開発した5隻の潜水艦の後継となる予定。新造潜水艦の最初のものは現在、全体の45%が完成している。ブラジルは、フランスと2008年に結んだ取り決めの下で、DCNSが提供する資材と訓練を活用してブラジルが独自の潜水艦造船産業の確立を目指す。(c)AFP

http://www.afpbb.com/articles/-/3034224

2年前のニュースだけど、オージーの潜水艦を受注したフランスは、ブラジルとの共同開発で通常動力潜を開発し始めている。
原潜をベースに通常動力潜へと改造するプランは、一応「前例」はあるようだ。
…んが、最初の4隻は通常動力潜、最後の1隻が原潜の予定で、ブラジル国産の原子炉を搭載した原潜が、2020年就役予定って話だから、時期的に通常動力潜の1隻目が進水してないと計画遅延が疑われる状況と言える。
続報が無いから何とも言えないけど。
しかし、相変わらずフランスは死の商人として有能だな。
明らかに国力に見合わない不要不急の兵器を、貧乏中小国に買わせるんだから。
何故なら、攻撃型原子力潜水艦の現代戦における役割は、大きく二つ。
一つは空母機動艦隊の水中防衛を担う随伴潜水艦として。
もう一つは、単独長駈して敵国海域への侵略攻撃を行う通商破壊を目的とした攻撃潜水艦として。
…である。
どちらも現在のブラジルの求めるドクトリンには合致しないと判るだろう。*1
加えて、広大とは言え、領海内のパトロールに使うなら、原子力潜水艦1隻を長期任務につけるより、同じお値段で7隻は買える通常動力潜水艦で手分けした方が、効率が圧倒的に良い。
NPT加盟国で、核装備の弾道ミサイルを装備できないブラジルにとって、無限の航路を保証されている原子力潜水艦は、明らかにオーバースペックだ。
しかし、何故ブラジルはそんな「高価な兵器」を買ったのか。
実はブラジルは、自前でウランが取れるので、NPTから脱退して世界の核リサイクルからハブにされても、濃縮技術さえ手に入れれば、核燃料の自給が出来る数少ない国だったりする。
そして、フランスがクソ高い原潜をブラジルに買わせる代わりに、原子炉と核燃料濃縮技術をセットで売りつけたというオチが付く。
ブラジルにとっては、エネルギー自給への道が拓くこの商談は、渡りに船という訳である。
しかし、NPTは「核兵器(nuclear weapons)」を「核爆発装置」とは別に言及しており、核技術の兵器転用と技術の拡散を禁止している。
つまり、原潜の輸出や技術を販売するっていうのは、かなりグレーゾーンというか、普通に考えたらアウトなのだ。
だから、この商談は、NPTの意義と言う観点で見ると、国連にフランスを即座に制裁してくれと言いたいレベルだったり。
…何故か、誰も文句言ってないけど。

*1:一応空母保有国だけど、機動艦隊として国外派遣できない…もったいなくて