gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

はてなダイアリーが更新できなくなったので、泣く泣くこちらに移行。使いづらいようなら、別なサービスへの引っ越しも検討する予定。元ダイアリー:http://d.hatena.ne.jp/gayuu_fujina/

「税金で高齢者を支えている」と思ったら大間違い。実は勤労世代も5人に2人は逆に社会に支えられている|みんなの介護ニュース

(前略)
わかりにくいマクロ経済や国家財政の話を抜きにして、国民一人ひとりが納税した金額と、実際に受けられる市民サービスの一人当たりの単価を見比べれば、その人が納めた税金で社会が本当に回せているのかがわかります。
そして、結論から先に言うならば、我が国の労働世代の5人に2人は、働いて税金を納めることで社会に対して貢献するどころか、稼ぎが悪くて社会のお荷物になっているという図式になっていることがわかります。
(後略)

http://www.minnanokaigo.com/news/yamamoto/lesson2/

この手の詭弁にコロリと騙されるのは、数字という物が切り口によって如何様にも解釈できる事を理解でき無い人に多い。
「結論から先に」とか言うお話は、そもそも「結論ありき」である。
これ、豆ね。
まず、国民の国への貢献は、所得税や消費税の納税額だけで計れるものではない点。
何故なら、働いて居ればそれだけで法人活動の原動力となり、法人税を生み出す源泉となる。
消費活動をすればそれだけでGDP増加の原動力となり、通貨流動性を生み出す源泉となる。
「社会に富を与える生産」というものは、個人の納税額だけで決まるモノではないのだ。
少なくとも、働いている人は、法人税の一部も「担税力」に加算される筈なのに、そうした視点を無視しているこの論理展開は、明らかに「おかしい」。
大体、これだけ高度に組織化された現代社会に於いて、一つの会社が単独で生み出せるものは、殆ど無い。
ある会社が売り上げを立てる為には、その下に何社もの下請けやメーカー、一次生産者が居て、相互に支え合っている。
一流企業の支払う法人税と、一流企業の高額な年収を支えているのは、金額でみると一流企業に劣る賃金や利益で働いている無数の会社や社員が居てこそであり、そうした人達を「担税力」が無いと切り捨ててしまえば、「担税力」が高い上澄みだって存在しなくなるのだ。
…という視点が無い時点で、「このお話が結論ありきの詭弁である」という証明になる。
つか、この理屈で行くと、ワタミユニクロのようなブラック企業の社長は社会に大きく貢献しているが、その下で低賃金で働く大多数の社員は、社会のお荷物になってしまう。
おかしいよね?
そもそもの話、国の再配分システムが機能不全を起こしていて、将来の富を生む若者ではなく、老人保障にばかり費やされて、少子高齢化が止まらないのは、詭弁ではなくて人口統計にも経済指標にも表れている厳然たる冷たい現実である。
詭弁で老人に耳触りのいいOHANASIを書いて、金を貰う仕事なのは判るが、もう少しがんばりましょう。