gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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ステルス戦闘機「殲20」配備で「日本がパニック」と中国が報道、その真意とは - 政経ch

中国ネットニュースは、日米をけん制する目的のためか、このごろ急に勇ましくなっている。「殲20の行動半径が明らかに、日本は国を挙げて恐慌」「中国のステルス戦闘機、日本の50年先を行く、鼻を折られた日本の専門家たち」「中国調査船、沖縄沖に神秘の物体を投下、日本はパニックに」といった文字が踊る。
その他「中国の静音原子力潜水艦登場に米国は震撼」「中国に開戦を挑む国家は?」などもある。何らかの不安の裏返しに間違いない。一体中国は何を心配しているのだろうか。殲20関連と、開戦国家の記事を紹介し、不安の正体を探ってみよう。
(中略)
近日、軍事専門家はステルス戦闘機・殲20(J-20)の最大後続距離が5500キロ、最大作戦半径は2000キロであると明らかにした。空中給油なしで2000キロである。この作戦半径の意味は地図を見れば一目瞭然だ。日本列島を完全に覆い、その外海にまで拡がっている。これに対し日本が米国から輸入するF−35の作戦行動半径はたった1150キロに過ぎない。
(中略)
中国の航空エンジン技術は異彩を放ちつつ、殲−20は、驚くべきスピードで就役する。これを最も恐れているのは日本である。
(中略)
香港メディア「明報」は、日本は独自技術により開発した第5世代ステルスの運用を始める、と伝えた。かしこの領域では中国は50年先を行く、としている。
(中略)
50年遅れの根拠は示されていない。とくに新しい情報もなく、殲20の一刻も早い実戦配備は急務である、との国民向け宣伝と見られる。
(中略)
これらの記事から推察されるのは、中国は極端に被害者意識の強いことである。これはアヘン戦争から第二次世界大戦までの、被侵略の歴史の中で遺伝子に書き加えられ、日米欧だけでなく周辺国までその対象は拡がった。

https://zuuonline.com/archives/131615

なんというか、中国の大朝鮮化が著しいなぁ。
こんな妄想記事を連発しなければ、国民を慰撫できない程、何かに追い詰められているのだろうか。
歴史的な被害者意識に関して言うなら、そもそも中国がヘタレで欧米の植民地主義の防波堤どころか、真っ先にやられて先兵として利用される体たらくだったから、東南アジアは植民地として欧米に支配された訳で、その後の日本が無ければ独立だってずっと先の話になっていただろうに。
きちんと歴史を俯瞰すれば、欧米が加害者である点は動かないにしても、中国は被害者どころか加害者側で、しかも内ゲバで混乱してただけで戦争の勝者ですらなく、棚ぼたと米ソ対立のおまけで戦勝国に数えられただけの寄生虫である。
その歴史的事実を受け入れられず、捏造歴史で心を慰めている内に、ねじまがった被害者意識で凝り固まったので、おかしな事になってる。
ついでに言うと、J20がF22に匹敵する本格的なステルス戦闘機だと本気で信じている人は、中国以外では少数派だと思う。
もちろん、軍事は最悪に備える必要があるから、国防に携わる人たちは、そのリスクを最大限に見積もっているだろうし、予算獲得の為には敵が強いほど良いから、脅威は高く見積もるけれど、そういう立場と事情を捨てて客観的にJ20の各情報を総合してみれば、「良くて」ステルス性能も限定的な第4.5世代の大型爆撃機止まりである公算が高い。
何せ、公式発表されている数字が、現実的な物でない。
航続距離にしても戦闘半径にしても、最大搭載状態での距離とはとても思えない数字なのである。
参考までに、機体規模が近いアメリカの傑作爆撃機であるF15Eの最大航続距離と、戦闘半径だが、「フェリー時、コンフォーマルタンクおよび外部増槽3個使用時」で、5750km。
つまり、爆弾とか武装とか無しで、輸送の為に増槽をたんまり付けて、ようやっと5500kmを越える。
そして、その最大航続距離5750kmに対して、戦闘半径は1270km。
大量の爆弾を搭載して、帰り道と爆撃に必要な作戦時間も込みとして考えると、戦闘時間は(フェリー時)最大航続距離の22%程でしかない。
ここ半世紀で、戦闘機用のエンジンの燃費が劇的に改善するような技術革新は特に無いので、F15とJ20のエンジン燃費が極端に違う可能性は低い。*1
だから、中国が主張する「最大後続距離が5500キロ、最大作戦半径は2000キロ」というのは、仮に事実だとしても「武装搭載を前提としていない数字」なのだ。
丸腰で日本まで飛んできて、ナニをするつもりなんだろう。
まあ、F35も大概に航続距離が短く、武装搭載量も現時点ではショボいので、日本が中国本土をF35で攻めに行くなんて事は、そもそも不可能である点は同意できるにしても、だ。*2
更に言えば、中国のジェットエンジン開発は、多大なリソースを割いているだけあって、ロシア製エンジンのコピーが進んでいるが、未だに最大出力に於いて敵わないらしく、離陸時に瞬間的な最大推力が必要とされる艦載機にはロシア製エンジンが不可欠と考えられており、J15艦載戦闘機にはロシア製エンジンが採用される公算が高い。
しかし、ロシアもエンジンだけの輸出には難色を示しており、あくまでも中国が購入したロシア機の予備エンジンとしての数量しか売らない方針なので、J15とJ20で取り合いになる可能性が高い。
結局、ロシア製のエンジンの数が、中国の最新鋭戦闘機の保有上限数を決めている現状が覆らない限り、空母もステルス戦闘機も、脅威としては微妙なのよね…。
だからこそ、中国は必死でロシア製エンジンのコピーに血道を上げて居る訳だが。

*1:戦闘機用のエンジンは、燃費より比推力とか最大出力が重視されるし

*2:というか、日本はそういう疑いが持たれないように、徹底的に中国本土まで進出可能な武器を避け、中国に配慮してきたのだが。でなけりゃ地対空ミサイルにまで最大射程150km以下なんて不利な自主規制はしない