gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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台湾の蔡総統、潜水艦の独自建造計画を発表 写真10枚 国際ニュース:AFPBB News

3月21日 AFP】台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統は21日、中国の軍事的脅威が増大するのを受けて、初となる潜水艦の自主建造に着手すると表明した。
先週、台湾政府は中国の軍事的リスクが増大していることについて懸念を示し、対抗措置として軍事力の強化を明言していた。
今回のプロジェクトは、海軍をはじめ、造船会社の「CSBC」、国家中山科学研究院(National Chung-Shan Institute Of Science And Technology)が共同で進めることになっている。
高雄(Kaohsiung)市の海軍基地で行われたプロジェクトの調印式典で蔡総統は、潜水艦の建造に乗り出すことについて「歴史的な瞬間」であると語った。
また、蔡総統は完成までには8年ほどかかると明らかにし、潜水艦が台湾による「自主防衛政策」の一端を担うと説明。「私が皆さんにお伝えしたいのは台湾人は常に勇敢さを持って困難に挑み、そしてそれを乗り越えてきたということだ」と語った。(c)AFP

http://www.afpbb.com/articles/-/3122198

8年、という数字はかなり控えめに言っても「楽観的」な数字だろう。
台湾の最新鋭潜水艦は、海龍級と呼ばれるオランダ海軍のズヴァールトフィス級改良型を購入した*1ものであり、その前級が海獅級…アメリカのテンチ級で艦齢60年を超える骨董品である。
つまりは、台湾に潜水艦を建造した経験はゼロであり、最新と言われる海龍級ですら、そうりゅう型の4級前に当たるうずしお型潜水艦世代の旧式艦にあたる。
仮に8年かけて海龍級をコピーしたとしても、その時点で40年遅れの旧式艦であり、戦力としては微妙なのだ。*2
かと言って、アメリカが保有する通常動力潜の技術もその辺りの世代で止まっており、輸出潜水艦を作っているフランスやドイツも、蜜月関係にある中国政府の前では技術供与を口に出せる筈も無い。
日本にしても、国民レベルでは友好的でも、政府レベルでは反日で領土問題まで抱えた台湾政府に、虎の子の潜水艦技術を供与できる筈も無いから、台湾が最新の潜水艦技術を手に入れる当てがない。
結論として、台湾の潜水艦独自開発は、苦難の道のりが約束されている訳である。
金があるなら、中国の様に湯水のように金を費やして試作艦を建造しトライアンドエラーで技術を磨く手もあるけれど、台湾には金も無い。*3
対米非対称戦を見据えて、昔から潜水艦を大量配備していた中国に対して、台湾が潜水艦で対抗ってのも無理だった事もあり、その辺はアメリカに任せて、台湾は航空優勢の確保で空軍の方に力を入れていたしね…是非も無し。
つか実際、中国と台湾の距離だと、潜水艦戦を展開する必要も無いし、空母が無くても陸上機で行ける場所だから、それに中国の空母艦載機が加わったところで、1000機来襲が1150機来襲になる程度の差しかない状況で、空母をワンチャン狙える程度の役にしか経たない潜水艦を調達する目的がイマイチ見えない。

*1:6隻購入予定だったが、中国の圧力にオランダが折れて、2隻調達したところで買えなくなった

*2:世代的にはロシアのキロ級よりも古い。中国で旧式扱いされている改キロ級と比べるのも可哀想ってレベル

*3:開発費は論外なレベルで、100億円に満たないとか…そうりゅう型の建造費が5-600億円である事を考えれば、どれだけ無謀な額かは知れよう。ていうかベトナムがロシアから買った改キロ級だって1隻300億円だったのに…