gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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中国の潜水艦AIP出力は日本の「そうりゅう」の2倍以上らしいw : 大艦巨砲主義!

中国メディアの新浪網は22日付の記事で、中国は潜水艦への非大気依存推進(AIP)システム導入を日本より4年早く行い、出力は日本の「そうりゅう」の2倍以上に達していると主張した。
記事は、自国の通常動力(非原子力)潜水艦として039A型と039B型を取り上げた。039A型1番艦の就役は2005年で、039B型は2013年までには就役を始めたとされる。その上で、中国の潜水艦でAIPを導入したのは039B型が初めてとする見方があったと紹介。ただし、039A型がAIPを採用していたのは確実と主張した。
証拠としたのは、新華社が14日付で掲載した記事だ。同記事は、中国における潜水艦AIPシステムの第一人者として海軍潜水艦学院の肖海生(シャオ・ハイション)教授について、「わが国初のAIP潜水艦が就役して以来、彼は10年以上にわたり、1度の失敗もエラーもしなかった」と紹介している。
新浪網の記事は新華社の記事の「就役して以来」、「10年以上にわたり」の部分に注目し、2005年就役の039A型がAIPシステムを搭載していたのは明らかであると主張した。
新浪網の記事は次に、中国潜水艦のAIPと日本が「そうりゅう」型で採用したAIPとを比較。まず、日中両国とも、最初からAIPを自主開発したのではなく、スウェーデンの4−275型スターリング発電機の技術を導入したと指摘した。
記事はさらに、4−275型スターリング発電機は、出力75キロワットと110キロワットの2種があり、輸出しているのは75キロワット版と紹介。日本は1990年代初頭に75キロワット版をそのまま導入しているとした。
一方の中国は80年代に4−275型スターリング発電機を導入し、さらに自国の711動力研究所が2005年に、改めてスターリング発電機の改良研究に着手したと論じた。
記事は、2015年に人民日報が発表した記事の分析結果として、中国の潜水艦用の新型AIPの出力は163キロワットから239キロワットに達しているとの見方を示した。その上で中国の潜水艦は今後、日本の最新鋭潜水艦の「そうりゅう」型の2.17倍から3.18倍のAIP出力を持つようになると主張した。(翻訳・編集/如月隼人)

http://sp.recordchina.co.jp/newsinfo.php?id=182134

記事にある通り、日中で同時期に同じAIP(スターリング機関)を導入している。
中国が一方的に「改めてスターリング発電機の改良研究に着手」って、どう考えても違法なリバースエンジニアリングの自白であり、日本は知的財産権を遵守して、勝手にバラして改造とかしてないだけという話になる。
ちなみに、そうりゅう型は4V−275R MkIIIスターリング機関を4基搭載しており、連続定格出力は75kWX4基で、300kWとなる。
船体規模が2倍以上あるそうりゅう型で4基搭載が限界である「無駄にデカいAIP」を、船体規模が半分の中国の039A型が搭載する場合、どんなに頑張っても2基が限界だし、スターリング機関自体の効率は改善の余地が殆ど無い為、上限はスウェーデンの110kWタイプ辺りとなる。
だから、中国がリバースエンジニアリングスウェーデンの110kWタイプにまで性能を近づけたとしても、2基合計で220kW前後が限界となる。
そう考えると、記事中の「163キロワットから239キロワット」という数字が捏造でなければ、スターリング機関2基合計の数字である、と考えるのが正しそうだ
すると、4基合計300kWのそうりゅう型に対して、中国の039Aの合計出力は2.17倍どころか、普通に劣っている事が判るし、スターリン機関1基辺りの出力比としても、8%から59%増というべきで、2倍とか3倍なんて数字が出てくる筈も無い。
まあ、船体規模に比して考えれば、重量出力比でそうりゅう型が不利だし、中国の軽量小型な039Aが圧倒的に劣る、と言う事は無いだろうけれど。
しかし、そもそも「そうりゅう型にとって300kW程度では出力が不足しすぎて実用にならん」と結論されたからこその、AIP廃止である。
ぶっちゃけ言って、いくら非大気依存で潜水しっぱなしで居られるとしても、「たった239kW(=324馬力)」では、ろくな活動も出来ないのが実情なのだ。
039Aを例にすれば、2400トンもの巨体を、抵抗の大きい水中で、たった300馬力で動かせ、という話なのだから。*1
結局、AIPの採用で潜水時間は伸びたが、戦闘力の向上には寄与しなかった訳である。
それどころか、それでなくとも狭い艦内が更に圧迫され、小型な029Aは武装搭載量にもしわ寄せが行ってる可能性もある。
AIPで航行日数が伸びようが、艦内の食料などの物資搭載量にも限りがあるのだから、そもそも艦体規模の小さい029Aが無理して潜水し続けても、メリットなんてほとんど無い。
現状、AIP搭載潜水艦が最大限に活躍できる局面は、母国から遠く離れた海での通商破壊とかに限られるので、日本の国情にはあまりマッチしない。
中国にしても、近い南沙諸島に展開するなら、非AIP通常動力潜で必要十分な訳で、普通に「開発失敗案件」なんだよねぇ…。

*1:そうりゅう型はもっと酷い4200トンをたった407馬力で動かしている事になるから…仮に中国の様に1基辺り110kWまで増強しても、598馬力…焼け石に水ェ…