gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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情通機構、50kg超小型衛星を利用した量子通信の実証に成功 | 科学技術・大学 ニュース | 日刊工業新聞 電子版

情報通信研究機構は50キログラムの超小型衛星を利用した量子通信の実証実験に成功した。高度600キロメートルを秒速7キロメートルで高速移動する超小型衛星「SOCRATES」(ソクラテス)と地上局との間において、量子通信が可能であることを示した。
低コストの超小型衛星を利用し、長距離で秘匿性の高い衛星通信網の構築が期待される。さらに探査衛星との深宇宙光通信の高速化が期待できる。
ソクラテスに搭載した小型光通信機器から光の信号を毎秒10メガビット(メガは100万)で、東京都小金井市にある情通機構の地上局へ送信。地上局に設置した口径1メートルの望遠鏡で衛星からの信号を受信後量子受信機まで導き、情報を復元した。
近年、多くの小型衛星を連携させ、地球全域をカバーする通信網や高解像度の観測網を形成する「衛星コンステレーション」の構築に向けた取り組みが活発化している。そこでは短時間で大量の情報を地上に送信する技術が必要で、レーザーを用いた衛星光通信が衛星通信網を支える重要技術として期待されている。成果は11日、英科学誌ネイチャー・フォトニクス電子版に掲載される。

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00435289

中国が去年8月に打ち上げた、量子通信衛星墨子号」と異なり、衛星・地上局間での時刻同期及び偏光軸整合に専用の機器を必要とせず、微弱な光子検出信号から直接取得できる為、衛星の小型化につながったとされている。
面白いのは、ソクラテス自体は、量子通信専用の実験衛星と言う訳でなく、超小型衛星の標準バスの一環として設計されたものであり、光通信機器以外にも、小型カメラによる地球撮像、地球センサによる地球観測など、複数のモジュールが搭載され、それらの試験が可能になっている点。
…しかしまあ、中国の潤沢な軍事予算を背景に、専用の大型実験衛星をガンガン打ち上げられる中国に対して、打ち上げはピギーバック方式のマイクロサットで、更に他の実験モジュールと相乗りしないと先端実験もままならない現状を考えると、暗澹とした気持ちになる。
そりゃ、掛けてる金が2〜3桁も違えば、追い抜かれて当然だよ、と。