gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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驚異的な装甲、レーザービームやレールガンで反撃 米国「次世代戦車」開発構想:イザ!

米陸軍が約40年ぶりとなる新型戦車の開発に強い意欲を示した。ロシアの新型戦車「アルマータ」など諸外国が次々と新技術を取り込んだ“新世代”戦車を導入していることを考慮した動きだ。米軍幹部の構想では、主武装に火薬を用いる大砲ではなくレールガンやレーザービームを、防御には敵弾を撃ち落とすアクティブ防御はもちろん、新素材を用いた驚異的な装甲が採用される可能性があり、実現すれば陸戦の概念を覆す新戦車が誕生する。(岡田敏彦)
(中略)
「盾と矛」のバランスは圧倒的に矛が有利だった。
(中略)
この極端な状況を幾分改善したのがM−1や英チャレンジャー、独レオパルト2、日本の90式といった「第3世代戦車」だった。
(中略)
装甲に分厚い一枚板ではなく、薄い特殊装甲を空間を空けて重ねたものや、熱に負けないセラミックを用いるなどの工夫をしてAPFSDS弾(APDS弾の改良型)やHEAT弾を防げるようにしたものだ
(中略)
こうしたなか、別の方法を探ったのがイスラエルやロシアだ。
(中略)
1980年代に爆発反応装甲(リアクティブ・アーマー)を開発、導入した。
(中略)
さらに積極的に敵砲弾を無効化しようとイスラエルが開発したのが「トロフィー」システムだ。レーダーで敵砲弾を探知し、金属の散弾を発射して破壊する。
(中略)
ミリー参謀総長は、こうしたアクティブ防御を新型戦車に採用する必要があると強調。加えて斬新な軽量装甲の必要性にも触れた。
(中略)
一方で主武装には、火薬を用いた大砲に別れを告げる可能性がある。ミリー参謀総長はレーザー光線やレールガンの技術に触れてその優位性を強調した。
(中略)
レーザーとレールガンのいずれもが激しい電力消費を伴うものだけに戦車へ搭載するには発電機でもブレークスルーが必要とみる向きも多いが、こうした新技術が実用化された場合、「次世代の戦車」は、大型輸送機から空中投下され、敵の砲弾が届かない遠距離からレーザーやレールガンで攻撃する。
さらに“天敵”の地上攻撃機をレールガンで迎撃したり、空からのミサイルをレーザーで迎撃するような性能を持つ可能性もあり、将来的に陸戦の様相を一変させるかもしれない。

http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/170816/wor17081609000001-n1.html

現時点では、完璧に夢物語の域を出ない妄想やねぇ…。
まず、この世界は「エネルギー保存則」で動いている事。
ぶっちゃけ、体積または重量当たりのエネルギーが大きい揮発油や火薬より、電力をコンパクトに持ち運べない以上、レーザーもレールガンも、現有火砲を代替する事なんて不可能なのだ。*1
次に、記事中にもある通り、盾に対して矛が圧倒的に優勢であり、複合装甲も爆発反応装甲も、万能薬には程遠いし、アクティブ防御にしても、同様である。
結局は、それらの防御手段を組み合わせ、相手の選択肢を削っていくしかなく、そうして出来上がった高性能だが高価な戦車を揃えるより、そこそこの性能で数を投入できた方がコスパが良かった、なんて事にもなりかねないのが現状なのである。
その点で、ロシアが開発を進めているアルマータ戦闘プラットフォームをベースにした無人戦車構想は、とても筋が良いように思える。
何故なら、中に人と言う脆弱な部品を載せなくて良いのなら、人の搭乗スペースを設ける必要も無く、装甲を貫通してきた鉄片(侵徹体)が中を跳ね回る事もなく、燃料や弾薬に被弾でもしない限り、戦車全体が完全に動けなくなる事も無いだろうからだ。
戦車の頑強さは、今までの比ではなくなるだろう。
対して、アメリカ軍の偉い人がぶち上げる次世代戦車構想は、世界最大の軍事費を食いつぶす超軍事国家アメリカらしい、金満で非効率にすら見える。
もちろん、完全な無人兵器なんて、戦場で役に立たない、と言う可能性はまだまだ高い。
しかし、既に航空機、特に損耗の高い偵察の分野では、無人化の流れが加速している。
そして、外部からの遠隔操作による無人化なら、ハードルはかなり低くできる。
かつての大戦で、列強諸国に劣る戦力を覆す為、積極的に新技術の導入に勤しみ、空母と艦載機による航空攻撃と言う新境地を拓いた日本の様に、中露と言った「劣る側」が積極的に新技術、新戦術を生み出そうとしているのかもしれない。

*1:船舶は、巨大な発電機と蓄電設備を搭載可能だからレールガンに必要な電力を賄える。機載レーザーは化学レーザーだから電力は多少で済むけど、その分威力が小さく、飛翔物や軽装甲相手でも長時間の照射が必要。対戦車はむーりぃ