gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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CNN.co.jp : 安保理、北朝鮮制裁決議を全会一致で採択 石油輸出に上限

(CNN) 国連安全保障理事会は11日、北朝鮮に対する米国主導の新たな制裁決議を全会一致で採択した。
交渉の過程に詳しい米当局者によると、決議は北朝鮮への石油輸出に上限を設け、北朝鮮からの繊維製品の輸出を禁止する内容。さらに北朝鮮が外国へ派遣する労働者の新規契約禁止、密輸取り締まりの強化、外国との共同事業の禁止などが盛り込まれた。
米国は当初、石油の全面禁輸や金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の資産凍結、渡航禁止を含む厳しい制裁を提案していた。しかしその後示した修正案ではこれらを除外し、北朝鮮労働者の雇用などについても表現を緩めた。
当初案に対しては、常任理事国として拒否権を持つロシアと中国が難色を示していた。ロイター通信は同日、外交筋の話として、制裁案は中ロへの配慮から緩和されたと伝えた。
北朝鮮安保理の採決に先立ち、厳しい制裁が採択されれば米国は「相応の代償」を払うことになると警告していた。

https://www.cnn.co.jp/world/35107112.html

このニュースを見て思ったのが、「アメリカの外交手腕が凄い」と言う感嘆と、それでもなお原油の全面禁輸から、上限付き禁輸まで妥協させた中国の交渉力もまた、凄まじいと言う事だ。
かつて日本が原油の禁輸で開戦まで追い込まれたように、現代社会に於いて原油の禁輸と言うのは、戦わずして相手の体力を奪う毒の様な「継続ダメージ攻撃」であり、この手を使われた時点で、開戦するか、降伏するかの2択を突き付けられるのと同義である。
なので、これを国際社会の合意として突き付けられる事は、真っ当な国にとっては、死刑宣告に等しい。
一方で、中国は「実」を取った。
今までも、中国は国際社会の目を盗んで北朝鮮へとヒトモノカネを供給し、支援し続けてきた。
特に原油に関しては、中国から独占的に供給されており、中国が貿易統計に乗らない手法で北朝鮮に渡している事は確実視されており、「完全停止」なら、誤魔化しようも無いが、「貿易上限」なら、いくらでも誤魔化して輸出する事が出来るからこその、「合意」な訳である。
この制裁によって、北朝鮮は一層苦しい立場になった事は間違いないが、少なくとも原油の供給に関して、制裁の内容よりはずっとマシな条件で維持が出来るだろう事もまた、間違いない。
大国同士の化かし合い、ここに極まれり、である。
かつての日本にも、こっそり石油を密輸してくれる大国が後ろにいたなら、あんな無謀な戦争に追い込まれる事も無かったかも知れない。
…まあ、当時の列強の一つに数えられた80年前の日本と、世界屈指の失敗国家な北朝鮮とでは、消費する原油の桁が違うので、無理だったろうけど。