gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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【プレスリリース】水中光無線通信による100m超の20Mbps双方向通信に成功 〜水中光Wi-Fiの構築及び水中観測機器のIoT化へ大きく前進〜 | 日本の研究.com

1.概要
国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 平 朝彦)海洋工学センター海洋戦略技術研究開発部の澤隆雄主任技術研究員らは、株式会社島津製作所及びエス・エー・エス株式会社と共同で、水中光無線通信装置(図1)と海域基礎データ取得装置(図2)を搭載した無人探査機「かいこう」のランチャーとビークル間で通信試験を行い(図3)、通信距離120mで20Mbps速度のデータ伝送、また、通信距離100mではLAN通信を水中無線ネットワーク(以下「水中光Wi-Fi」という。)で確立し、リモートデスクトップ接続をすることに成功しました。
従来、水中での無線通信には音響通信技術が用いられてきましたが、通信速度が10kbps程度と遅く、動画等の多量なデータの送受信やLAN通信を行うことができませんでした。また、複数の通信を同時に行うことも難しく、データの送受信を同時に行うこと等に制限がありました。
そこで本研究グループでは、高速双方向無線通信が可能な光通信に着目し、水中光無線通信装置を試作しました。この装置は水中での伝搬減衰が少ない青、緑、赤色の光を高出力レーザーダイオード(※1)から放射し、その光を点滅させることによって情報を伝達します。また、受信には高感度の光電子増倍管(※2)を用いました。これらを用いて双方向通信試験を行った結果、100m以上離れた通信光がわずかしか届かない距離でのLAN通信に成功し、移動体に搭載した状態で実用的な速度が出せることを確認しました。
本成果は、100m以上離れた移動体同士で行われた世界初の実用的な水中光無線通信です。LAN通信が可能となったことから、将来的に可視光による水中光Wi-Fiの構築や、すべての海洋観測装置をインターネットへ接続する「IoT」が可能となることを示しており、今後の海底資源開発やダイビング、港湾土木作業を含めた水中活動全般に広く活用・貢献できる成果と考えています。 本研究の一部は、「防衛装備庁安全保障技術研究推進制度」の支援を受けて実施しました。
(後略)

https://research-er.jp/articles/view/63470

…これ、むしろ兵器転用したら捗る系の技術じゃねーの?
潮流発電と合わせて、恒常的な無線水中探査ネットワーク形成が、無線なので比較的ローコストで達成できそうなんじゃが。
ついでに、潜水艦とも通信できるようになれば、深海に潜んだままの潜水艦に、ほぼリアルタイムな高速通信ができるようになりそうと言うか。
あと、光を使っているなら、例の量子通信でもイケるんじゃないの?
と言う訳で、一次ソースや関連記事を当たってみると、2014年には50mで最大50MbpsというLEDを利用した水中光無線通信が検証試験されており、そこからの発展と思われる。
また、光と言う指向性の高い媒質を利用した通信なので、固定対象に対する通信しか出来ないのかと思ったら、「100m以上離れた移動体同士」での実験成功であり、ここにはとても大きい意義がある。
次世代型巡航探査機(AUV)なんかに留まる技術じゃないと言うか。
現状技術である「遠く(900m)まで届くけど遅い(80kBps)音響通信」と、新しい「近く(100m)しか通信できないけど早い(20Mbps)水中光無線通信」を組み合わせれば、移動体通信のようなメッシュネットワークの構築を、通信範囲内で自動で構築するようなソノブイシステムとか、作れそう。
潮流発電などで、電源の問題さえ解決すれば、ノードが故障するまで使い続ける事が出来る、恒常的なセンサーネットワークすら構築できるだろう。
いやマジで夢広がりング。
海洋国家なのに、こーいうのに、さくっと予算付けて秘密裏に実用化まで持っていけない所に、日本の間抜けさがあると思う。
なお、対抗策を考えるなら、光通信なので、水を極度に濁らせれば通信できなくなる。
海底に魚雷を撃って海底の泥を巻き上げる事で、ネットワークを寸断する事は出来るだろうけれど、メッシュネットワークなら、経路が一本でも残れば通信できるし、時間経過と共に回復するから、根本対策にはなり得ない。
筋も良さそうじゃね?
ただまあ、海の広大さに比して、100mという通信距離は、決して「長くない」というのも冷たい現実。
使うにしても、要所は面として、大部分は線として使うのが現実的だろうけれど。