gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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中国の庇護の下、独裁制に転落するカンボジア  WEDGE Infinity(ウェッジ)

最近カンボジアのフン・セン首相が野党やメディアの弾圧に乗り出していることについて、英フィナンシャル・タイムズ紙が、中国の庇護の下に権威主義的な専横が進む状況に憂慮を表明する社説を9月8日付けで掲載しています。要旨は次の通りです。
カンボジアの新聞「Cambodia Daily」の最後の紙面(9月4日)の見出しは「露骨な独裁制への転落」というものであった。そこには3日の夜中に逮捕されることとなる最大野党の党首の写真があった。
「Cambodia Daily」は1993年に創刊された独立系の英字紙であるが、政権による自由の抑圧を報道したがためにフン・セン首相によって廃刊に追い込まれた。
最大野党救国党の党首ケム・ソカの逮捕は抑圧を強化するもので、フン・センは明年7月の選挙を前にして、彼の不安感を露わにすることとなった。彼は「カラー革命」が起こる心配を口にし、野党の地滑り的勝利が30年の政権掌握に終わりを告げることを怖れている。彼はあと少なくとも10年は政権にとどまると言い、全ての段階の選挙に与党人民党が勝つのでなければ、国は内戦に逆戻りすると脅かしているが、クメール・ルージュの司令官だった経歴を考えるとあながちこけおどしとはいい切れまい。
過去何十年もの間、フン・センの権威主義的な傾向はガバナンスと民主主義の紐が付いた西側諸国の援助によって抑制されて来た。しかし、近年、中国の国策としての多額の投資によって彼の本当の政治的傾向の赴くままに行動することが可能となった。
9月5日、ケム・ソカを反逆罪で起訴するに当たり、救国党は米国の支持と助言を得ていると同氏が支持者に語る2013年のビデオが証拠として提出された。この演説のために同氏は「外国人と共謀している」と告発され、最長30年の懲役を科せられる立場におかれることとなった(注:9月9日に5カ月の懲役となった)。「外国人の傀儡」と戦うとフン・センは言うが、彼自身が中国を頼っており、カンボジアは事実上中国の属国なのだから、お笑い種である。国際的な非難をよそに中国だけがフン・センの「国家の安全と安定を維持するための努力」に支持を表明したことが、このことを雄弁に物語っている。
西側諸国、特に米国にはカンボジアにおける民主主義と人権の後退に責任がある。これは民主主義的な国造りの失敗例である。カンボジアは忘れられた。壊れた国の民主主義的制度造りは善意ではあるがリソースに乏しいNGO任せとされて来た。米国は中東に気を取られ、アジアにおける利益を屡々無視した。その結果、カンボジアは聖人ぶった西側を離れて中国に擦り寄った東南アジアの国の最も衝撃的な例となった。他の例としては、フィリピン、マレーシア、タイがあるが、いずれの国も中国の意を迎えることに精を出し、米国を公に拒絶することが必要と考えている。
フン・セン政権のような腐敗した芳しくない政権を支持することに凝り固まった中国のやり方は短期的には有効かも知れない。しかし、いずれ裏目に出よう。アジアで最も長く政権にあるフン・センといえども何時までも支配出来るわけではない。長くその地位にとどまる程、彼と彼の中国のパトロンに対する怒りは大きくなる。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10802

欧米に限らず、地域における発言力を強化する為に、自国に親しい権力者を擁立したがるのは、歴史の常である。
しかし、普段から口だけとは言え、綺麗事を理由にド汚い手を使う欧米に対して、貧しく綺麗事を実践する余裕の無い中小国の独裁が入った指導者は、強い不信感を持って居る。
対して、図体だけは特大にデカいのに、思考回路は傲慢な独裁者そのものである中国という国は、そうした貧しい中小国にとって「判りやすい」相手に見えて、「同じ穴の貉だから、わかるだろう?」という共犯者意識まである。
中国のやり方は、「短期的には有効」どころか、これから乱世を迎えるなら、むしろ「絶対的に有効」な策である。
そもそも中国自体が、自国を含めて、低劣な独裁国家微塵も信用していないのだから、必要な時だけ自分の望む方向に煽って追い立てられるなら、問題ないと割り切っている。
貧すれば鈍する。
これは、国も同じであり、アメリカに代わる覇権国家として、現体制の崩壊を望む中国は、低劣な独裁国家が増える事を非公式に歓迎している。
問題は、そんな独裁者を抱えた中小国をイチイチ殴って更生するようなリソースはどこにも無いから、中国の思惑通り、世界はどんどん不安定な方向に進んでいくのを止める事が出来ない。
まあ、平和を維持するのは大変だが、壊すのは簡単って話だな。