gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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学園アニメの校章を無断複製の疑いで男を逮捕 岡山県警 (KSB瀬戸内海放送) - Yahoo!ニュース

アニメ作品のイラストを無断で複製、インターネットオークションで販売した男を岡山県警著作権法違反の疑いで逮しました。
倉敷警察署と岡山県警のサイバー犯罪対策課のサイバーパトロールで発覚したものです。
逮捕されたのは石川県小松市の会社員、森一樹容疑者(33)です。
調べによりますと森容疑者はバンダイビジュアル著作権をもつ学園アニメ「ガールズ&パンツァー」に登場する架空の「校章」を無断で複製したステッカーを作ってオークションサイトに出品し販売した疑いです。
森容疑者は容疑を認めています。
出品したステッカーは今年5月から7月にかけて1枚500円で2枚落札されていて、警察は余罪を調べています。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171115-00010000-ksbv-l33

この手の犯罪は昔から無くならないもんだけど、足が付きやすいインターネットオークションで販売ってのは、もうヤフオクが本人確認を必須にして以降、やる奴が馬鹿ってレベルなんじゃが。
たった1000円のはした金で、前科付になって、会社も解雇だろうし…。
唯一の救いは、今は売り手市場だから、前歴を隠せば再就職は十分間に合うって所だろうけれど、こんなバカは、ほっといても別の犯罪を繰り返して身を持ち崩しそう。
ちなみに、ヤフーは2001年に有料化、2004年からIDに住所確認を導入していて、その辺りから数年かけて違法出品を大幅に駆逐している。*1
ちなみに、2015年には秋葉原の路上で、同様に勝手に複製したゲーム画像のステッカーを路上販売していたアホが逮捕されているが、逮捕されるまで3年間も細々と商売を続け、200万円程売り上げていたと言う。
ちなみに、秋葉原海賊版の路上販売と言う物は、案外歴史が古く、90年代には違法コピーされたビジネスソフトを売り捌く中国人が居たが、あの手の商売は地回りに金を払うか、相応のバックが無いと警察より先にヤクザに潰されるので、中国人バイヤーは多分、中華マフィア当たりの息が掛かっていたものと思われ。
今となっては、向こうの方が景気が良いので、めっきり怪しい中国人バイヤーは居なくなった印象。
ああ、話がそれた。
閑話休題(それはさておき)
この事件の場合、デザインとして直接保護されている「校章」を無断複製したから、即アウトだったけれど、実はキャラクターは著作権法違反を問う事が難しいと言うか、ミッキーマウス保護法と呼ばれる極端な法を敷いているアメリカを除く普通の国では、意匠登録されていないキャラクターは著作物として扱われない。
あるイラストに描かれたキャラクターをトレースしたり、機械複製したりした場合は、元絵に対する複製権の侵害に当たるが、その絵を見て新しく描き起こされた別人の絵は、その別人の著作物であり、著作権法違反を問うなら、明確に「(元絵に対する)著作物としての同一性」を立証できないといけなくて、しかも立証義務は侵害を訴えた側がしなければならない。
髪型はもちろん、巫女とかセーラー服とか、実在する衣服をモチーフにしている場合、「同一のモチーフから描いたから偶然似通った」という反論を許してしまうので、キャラクター(デザイン)だけで著作権法違反を立証する事は、割と難しい。*2
だいたい、緑髪のツインテ美少女を描いたら初音ミクのパクリじゃーと怒られては、早晩にキャラクターデザインも出来なくなってしまうだろうから、あんまり厳しくすることも難しい。*3
同人誌がグレーかつ、法的措置が難しい最大の問題であり、本当なら「2次元と3次元では、3次元の方が圧倒的に情報量が多い」ので、立体物はもっと立証が難しい話なんだけど、ワンフェスの一日版権と言うルール施行以降は、権利者の意見が強く通る「慣例」が出来てしまった為、同人誌や同人ポスター、タペストリーは頒布OKでも、アクリルフィギュアは頒布NGとか、出版社差し止めが発生したりするようになっていたりする。
明文法が無ければ、慣例が優先されるから、仕方ないね。
個人的に、コミケが非営利の団体による運営であるが故に、自由を確保したのに対して、ワンフェスの当日版権システムが、参加者の為では無く、純粋に主催者の企業としての都合で定められ、結果としてファン創作に強い縛りが出来た事は、当日版権システムの数多くのメリットを理解した上で、やはりゼネラルプロダクツはクソだな、と思っている。*4
その意味で、企業主催ではないが故に、無版権イベントで居られたクリエイターズカーニバルは貴重だったのだけれど、当日版権システムが「版元の過剰に強い権利」を「当たり前」にしてしまった現在となっては、「(版元の)既得権の侵害となる」ので、無理に開催しても叩き潰されかねないので、自然消滅は幸福な終わり方だったように思う。

*1:尤も、2007年頃には有料化が効いて個人出品が減り、高額商品は業者だらけとなり、今ではほとんどストア出品ばかりになってしまったが…

*2:とはいえ、同人誌の多くは、名前や性格、周辺設定なども元の作品から利用するので、十分に立証は出来る、と考えられている

*3:黒丸三つでミッキーマウスだーが通じてしまうと揶揄されるアメリカが極端なだけだが…

*4:尤も、ゼネプロは後にガイナックスとなり、自社コンテンツを持って儲ける側に回ってメリットを得る側に立っている。だから当日版権システムを作った事を自画自賛して居そうではある