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ロシア大統領が新型核兵器を誇示、戦略指針変更の米国けん制 | ロイター

[モスクワ 1日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は1日の演説で、実戦配備済みないし配備態勢が整った一連の新型核兵器を公表した。世界中どこでも攻撃可能で、米国製のミサイル防衛システムをかいくぐることができると説明した上で、ロシアの同盟国への核攻撃は同国自体への攻撃とみなし、即座に反撃すると強調した。
18日の大統領選を前にした今回の演説は、近年では最も好戦的な内容。プーチン氏がシリアなど特定の同盟国を念頭に置いたのかどうかは不明だが、最近新たな「核態勢見直し(NPR)」を打ち出して核戦略を見直したばかりの米国に対し、戦術レベルでの核兵器使用を控えるよう警告したとみられる。
ただ米政府内では、ロシアの核兵器が既に米国の軍や情報機関が知っている水準を上回る能力を獲得したかどうかは疑わしいとの見方が広がっている。
国防総省ダナ・ホワイト報道官は「われわれはずっとロシアを監視しており、何も驚いていない。話題になっているこれらの兵器は非常に長期間開発段階にあった」と語った。ジョン・ルード国防次官は、ロシア軍の能力に関する米側の情報を明らかにすることは拒否したが、ワシントンにおけるフォーラムでプーチン氏の説明について「これまでロシア当局が話してきた内容とおおむね一致する」と述べ、特に重大な懸念はないとの見方を示した。
プーチン氏が披露した新兵器の目玉は、北極や南極を経由して攻撃でき、いかなるミサイル防衛システムも擦り抜けられる新型の大陸間弾道ミサイル。小型の核動力エンジンにも言及し、これは低空で機動性の高い巡航ミサイルの射程距離も無制限化可能だと指摘した。そのほかに水中を進む核動力のドローン、超音速兵器、レーザー兵器なども誇示した。
プーチン氏は「こうした新兵器は世界に存在しない。将来的には恐らく(他の地域で)登場するだろうが、それまでにわれわれは別の兵器を考え出すだろう」と発言した。
ロシアのショイグ国防相プーチン氏の演説後に、今回公表した新兵器はポーランドルーマニア、米アラスカ州に設置されている北大西洋条約機構NATO)のミサイル防衛システム、また韓国と日本が導入を計画している同システムをまるで「穴だらけの傘」に変えてしまうと豪語し、日本や韓国がそうしたシステムを今買おうとしているのか理解できないと付け加えた。
一方米国はかねてから、ミサイル防衛システムはロシアや中国の長距離核兵器の大規模攻撃を止める力はなく、同システムは北朝鮮やイランなど「ならず者国家」が対象だと明言している。
国防総省のホワイト報道官によると、ロシアの核兵器近代化への米国の対応は、自国の核戦力を抑止に使えるように強化することに向けられているという。

https://jp.reuters.com/article/putin-new-nuclear-weapon-idJPKCN1GE07N

どうでも良いけど、「核動力エンジン」でミサイル飛ばすとかマジやめれ。着弾地点が放射能汚染されるって、核兵器と変わらんじゃろが!!
閑話休題(それはさておき)
元々、ロシアが核弾頭の多弾頭(MIRV)化をいち早く実現したように、射程を犠牲に弾道軌道を大きく変更して、MDによる迎撃が困難な極超音速飛翔体(hypersonic glide vehicle)の子弾頭を搭載したのが、今回のRS−28 サルマットになる。
しかし、アメリカが極超音速飛翔体を、非核兵器として使う目算だったのを、ロシアが核兵器として使ってしまったので、弾道ミサイル極超音速飛翔体も、使えば核戦争を誘発する危険な兵器になった訳だ…南無。
ちなみに、去年の末に、中国も全く同じことを実験しており、中国も同様の子弾頭を配備するだろう。
あと、弾道ミサイルってのは、高く、遠くに飛ばす、最も効率の良い「通常軌道」で飛ばす方法と、射程は短くなるが、より高く飛ばす事で、終端速度を高める「ロフテッド軌道」がある。
ロフテッド軌道は、通常のMDによる迎撃高度より高くまで打ち上げる事で、迎撃可能時間を短くする効果があり、更には終端速度が上がる為、PAC3等の地対空ミサイルでの迎撃も難しくなるという奴で、北朝鮮のミサイルがロフテッド軌道で打ち上げてニュースになったから、聞いた事のある人も多いだろう。
しかし、もう一つ「ディプレスト軌道」と言う物がある。
おそらく、ロシアが実現した「MDを無効化する軌道」という奴がコレと思われる。
これは、より高く飛ばすロフテッド軌道とは逆に、通常軌道より低い高度を飛ばす軌道で、ロフテッド軌道と同様に、通常軌道より高いエネルギーが必要な軌道だから、射程は当然短くなるが、飛行時間は短くなるし、この軌道でMD迎撃用のミサイルが持つ「最低射高」を割り込めれば、迎撃される可能性はゼロに出来るのだ。
これは、プーチンが豪語するように、一つの「ゲームチェンジャー」と言える成果なんだけど…当然、大気の濃い低空を飛ばす以上、弾道ミサイルの様に迎撃が困難な極超音速を出すのが難しい。
ロフテッド軌道だと、終端速度はマッハ20近くなるが、ディプレスト軌道だと、プーチンが言うように、マッハ7から10程度と、普通の弾道ミサイルと同じ終端速度しか得られない。
高度も精々25kmから50kmと言う事だし、レールガンとか、超高速発射弾(hyper velocity projectile)辺りで迎撃するようになるんじゃないかな…。
一発2桁から3桁億円の弾道ミサイルと違って、レールガンなら1発十数万、超高速発射弾でも1発数百万らしいので、数撃って迎撃する手が使えるし。
多分、極超音速飛翔体に対する迎撃の主流になるんじゃないかな…。