gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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米国の同盟国は大変なことになる。裏切られる予定の日本に起こること - まぐまぐニュース!

(前略)
メルマガ『国際戦略コラム有料版』の著者・津田慶治さんは、アメリカ・ファーストを加速させるトランプ大統領の戦略を分析しつつ、今後日本が迎えるであろう恐ろしい状況を予測しています。
(中略)
トランプ大統領はビジネス取引(ディール)を外交交渉にも持ち込み、経済と安全保障の2つをリンクした取引になり、米国の同盟国は大変なことになる。それを検討しよう。
(中略)
世界から米軍を引き揚げて、世界とは関わらないようにする方向としていたが、国際派の政権幹部を辞任させたことで、一層鮮明になっている。
(中略)
アジアからの米軍撤退をみることになる。大きく、時代が動いている。
(中略)
日本が日米FTAを固辞すると、日米同盟破棄を米国は言い出すことになる。米国は一切、身を切らない一方的な要求になる。
(中略)
トランプ政権の幹部が、全員ナショナリスト達であり、自由貿易という考え方も自由主義圏を守るという考え方もない。米国の鎖国化を進めると脅して、同盟国に経済的な要求を行うだけである。
(中略)
徐々に日本は、米国の代わりにインドやベトナムインドネシアなどと連携して、中国の拡張を抑えることになる。同様に欧州は米軍なしにロシアの膨張を抑える。そして、米軍のシリア撤退が決まり中東地域は米軍撤退の後、ロシアの覇権が確立する。全体的には日欧は連携して、中ロ膨張をけん制するしかない。
(後略)

http://www.mag2.com/p/news/355385

この人の無茶苦茶な論旨だと、日本がアメリカから切られたら欧州に頼って中露に対抗するしかないと考えてるみたいだけど、中露の拡張主義に対して、アメリカの代わりに日本が抵抗するなんて必要は、実は全くないのだ。
日本が中露と絶対に和解できない最大の原因がアメリカである以上、アメリカが日本をパージすれば、日本はインドのように米中露を天秤にかけて交渉ができるようになる。
中露にとって太平洋への玄関口である日本の立地は、喉から手が出るほど欲しいものだから、中国が日本を攻める気を起こせばロシアやインドと協力すれば良く、ロシアが日本を攻める気を起こすなら、中国と欧州と協力する、という対応を取る事になる。
中露が協力して攻めて来る状況にならないよう、日本の外交力が試される事になるだろう。
むしろ、太平洋を挟んでアメリカと日本が敵対する可能性があるというのなら、日本は積極的に中露に接近して世界最大最強の軍事国家アメリカに対抗する必要が生まれるまである。
日本にとって、世界最凶の超軍事国家アメリカと敵対しなくて済む日米同盟は、とてもとても大切で、中露との関係改善より重視されているのは、ただひたすらに、戦争狂いのアメリカと敵対しなくて済む、という理由が大きい。
しかし、これがアメリカにとって片利的かといわれると、そんなことはない。
そもそも、太平洋をアメリカの裏庭として聖域化できている理由が、日米同盟にある。
トランプがどんなにアホでも、太平洋の聖域化が齎しているアメリカの経済的、軍事的利益を考えれば、日米同盟の破棄によって、日本が最低でも中立化、最悪だと中露の側に行ってしまうリスクを米軍から指摘されれば、日米安保を無為に破棄するなんて事は、絶対に出来ない。
仮に、アメリカが鎖国を目指すにしても、中露に対する前方防御陣地である日本が敵に回れば、ハワイという離島で防御する必要が出てくるが、日本の島嶼防衛の困難さより、アメリカ本土より数千キロも離れたハワイの防衛はより困難であり、太平洋方面に展開する艦隊の増強が必須となる。
単純に考えて、今までは日米艦隊で中露艦隊に互すれば良かった戦力が、日中露艦隊に、アメリカ単独で対抗できる戦力を整備する必要があるのだから、単純に国数で見れは現状の3倍、排水量で考えても、最低でも2倍の増強が求められるだろう。
それだけでなく、太平洋越しだと、一発100億円以上と高額なICBMが必要だったのが、中露が太平洋に艦隊を展開できるようなると、一発40億円程度の中距離弾道ミサイルアメリカ本土を直撃できるようになる。
これは、THAADやSM3といった中距離弾道ミサイル迎撃は同盟国とハワイに配備し、アメリカ本土はGBIでICBMだけに対応すればよい、と考えて構築されているアメリカのMDドクトリンが崩壊することを意味する。
これだけの「直接的な損」がある上、国際的にはトランプを唯一支持する先進国であり、韓国のようなコウモリ外交ではなく、アメリカ一筋で協力している日本を、アメリカの一方的な都合で切り捨てるような真似をすれば、アメリカの国際的信用は大きく失墜し、トランプは国際的に孤立する事になる。
つまり、この記事の大前提である「裏切られる(日米安保の破棄)」がありえない以上、以降の自称・考察は単なる妄想・妄言という結論になる。
つーか、日米安保を「履行されない」「破棄される」と主張する人達の論拠が薄すぎる。
この記事だと「公約で言ったから」だけど、トランプが公約していたのは、「片利的なアメリカに不利な同盟の見直し」であって、選挙当時、日米安保に対する理解が薄く、アメリカの一方的な持ち出しの不利な同盟だと勘違いしていた。
実際は、アメリカにとって不可欠な同盟であり、しかもアメリカの同盟国全体を見ても突出してアメリカの負担減のための施策を取っている国だった。
元々がアメリカに有利な同盟なら、そのままにするという話なのだから、日米安保が破棄される謂れは無い。
なのに、言葉尻だけ取って「安保破棄だー」とか騒ぐのは、本当にアホだとしか。