gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

はてなダイアリーが更新できなくなったので、泣く泣くこちらに移行。使いづらいようなら、別なサービスへの引っ越しも検討する予定。元ダイアリー:http://d.hatena.ne.jp/gayuu_fujina/

無印吉澤(※新エントリはhatenablogに掲載中) - プライバシー侵害の幇助者 / Winny特別調査員2

ニュースを見てこんなに腹が立ったのは久しぶりです。このソフトは、明らかな害悪だと思います。
以前からOne Point WallなどのWinny対策製品を販売しているネットエージェント社が、「Winny特別調査員2」という製品を発表しました。以下は、ネットエージェント社のサイトに掲載されている、この製品の特徴です。
Winny特別調査員2(ネットエージェント)
http://www.netagent.co.jp/winny_check2.html
Winny特別調査員2は、「調査員CD」を会社が従業員に配布し、従業員が自宅のPCにCD-ROMをセットすることで、会社関係のファイルを自動的に見つけ出し、ファイル回収専用サーバにそのファイルをアップロードします。また、自宅PCからはファイル復旧ソフトを使っても、ファイルが復活されないよう完全に削除します。
上記ページによると、この「Winny特別調査員2」のCDを自宅のPCにセットすると、オートランで以下の動作を開始するようです。
メール、オフィスドキュメント等をスキャンし、勤務先企業が指定したキーワードを含むファイルをリストアップ
リストに挙がったファイルを、勤務先企業が設置したファイル回収サーバに自動アップロード
リストに挙がったファイルを、復元不可能な形で完全消去
どうですか? 会社のPCならともかく、個人所有のPCに入ってるファイルを無断でアップロードかつ削除するって……。しかも、ウィルスに感染したソフトだけを検査するわけではなく、特定のキーワードが含まれるかどうかという単純な条件で、ファイルをリストアップするようです。
こんなことを、もし会社が社員に「強制」した場合、明らかに個人のプライバシー侵害になりそうな気がします。

…キーワード検索でファイルの強制アップロードと削除…。
これって、自宅に会社のファイルを持ち込まず、Winny等のP2Pやってなくても、不愉快な目に合いそうな可能性を否定できない危険なツールである。
何が危険って、「キーワード検索」と「強制アップロード・削除」という点。
キーワード検索という事は、社内文書には必ず特定の文字列が入る(会社名など)、というルールがあれば良いが、実際には書類の書式なんて結構ルーズであり、いきおい検索語も「ゆるい絞り」にならざるを得ない。
結果、慎重に検索語設定しないと、「山のように関係ないファイルヒットする」事になる。
比較的多い例として考えられるのは、個人のメールで友人に会社の愚痴などを書いていた場合である。
会社が設定したキーワードが不適切で、社員の個人ファイルが会社のサーバに強制アップロードされて削除されてしまった場合、誰がその被害を補償してくれるのか?
「ファイル回収専用サーバにバックアップがあるから、それを返せば問題ありません」と考えているのかもしれないが、そもそも「そういう手間を社員に掛ける」という時点で大変迷惑な話である。
それだけではなく「会社へ流出した個人ファイルを会社が悪用しない」という根拠も無いのである。*1
関連抜粋:ネットエージェント、情報漏えい問題に従業員のプライバシー無視ソリューションを提案 - スポンサー広告ネットとセキュリティ プライバシー

あー、もう突っ込みどころが多すぎで嫌になってきた。もう結論を言ってしまえば、誤検出によるプライバシー侵害を助長するようなサービスを提供しつつ、その誤検出に対してあまりに無責任な態度をとるネットエージェントはクソだということ。確実に持ち出し禁止のファイルをリストできるというならともかく、単純なキーワードによるスキャンという、全く無関係なファイルを大量に引っ掛ける可能性が高いやり方を持ちいているわけで。それを無断でアップロードだの、削除だのあまりに不愉快な話だし、それは個々人の財産にも関わる話になりかねない。

http://peer2peer.blog79.fc2.com/blog-entry-518.html

いやはやまったく激しく同意。
本来、水際で防止するからこそ意味のある情報セキュリティを、河口付近でやるからこーいう事になる。
まともな情報セキュリティ担当の居る会社なら、こんなソフト導入する訳が無いけれど、頭の悪そうなソフト名に騙されて、導入する会社が多発しそうな悪寒。
…役所で導入したら、なんか凄い事になりそうだけどな。

*1:これは、社員の宣誓が信用できないから、こうしたソフトによる検査を強制させるという思考と対になるものであり、こうしたソフトを強制する以上会社は、この疑惑に対し、同程度のリスク負った上で説明義務を持つべきである