gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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経費が1800万円!? 人気漫画家が原稿料と印税を暴露! 未来検索ガジェット通信

長いから引用しないけれど、個人営業者に過ぎない漫画家は、クライアントである出版社に対して、どうしても立場が弱い。
本来ならば、漫画家同士が協力して組合のような仕組みを作るべきなのに、そういう気運どころか、「空いた枠に枠に入れたら…」と足を引っ張り合う状況では、それも無理と言うか。
日本が欧米に比べて原稿料が低く抑えられているのは「組合が無いから」という話もある。
組合を通じて平均的な相場や、契約書の問題を良く知らない日本の漫画家は、出版社の用意した「出版社に有利な契約書」に唯々諾々とサインするしか無いからだ。(契約書なし、口約束のみと言う所も多いらしい)
ただし、日本の出版社が全て悪かと言うと、そういう訳でもない。
日本の場合、印税は「出版した数」で計算されるが、再販制度の無い欧米では「売れた数」で一定期間毎に計算される。
つまり、売れ残った場合のリスクを出版社が丸抱えしているのである。*1
マイナーで売れない作家の本でも、本が出れは一定の収入が保証される日本の出版に対して、欧米では売れない本を書いても金が入らないのだ。
問題は、そうしたリスクを把握した上で、漫画家(や小説家)と出版社が、双方納得した契約を交わせれば良いのだが、日本では出版社が有利すぎて、そうした下地が無い。
そして、その立場の有利さを勘違いした編集者に拠るクリエイター軽視が、昨今噴出している漫画家と編集部の対立問題に繋がっているのでは無いだろうか。
漫画・小説ファンとしては、出版社じゃなくて漫画家(小説家)にお金を払っているつもりなんだけれど…。
この再販制度及び出版社優位の環境は、マイナー作家や挑戦的な意欲作の生まれる環境を保護している、としているが正直、「10年前ならそのりつくはただしかった」と思う。
既に、ネットと言う安価で世界中に情報発信できる環境が整っている現在、非プロのクリエイターがWeb上で漫画や小説を発表し、そこからプロデビューするという流れが誕生している。(ヘタリアやSAO等)
つまり、代替基盤が生まれており、出版社がそれらを利用しているにもかかわらず、既存の権益を主張するには、説得力に欠ける状況なのである。
そろそろ、再販制度を止めて、逆にネットを利用したクリエイター育成環境とそうしたクリエイターと読者を結びつきやすくするインフラを整備した方が、斜陽に差し掛かっている出版を救うんじゃないかと思うんだけど。
まあ、既得権益をがっちり掴んでいる大手ほど動きが鈍いもの。
海外でそうした動きが本格化した時、気がついたら日本のクリエイターが全部、海外に食われてました。なんて結末を迎えないことを祈るばかりである。
参考:佐藤秀峰 on Web

*1:だから、新人から育てる場合、出版社は基本的に損を出しているらしい。不文律としてデビューから数年は他社で書かせないように縛ったりする根拠である。まあ、その分、原稿料は安く印税率は低くなっているので、本当に大損しているわけではないと思うが