gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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中日新聞:ほぼ全社がグーグル電子書籍承認 印刷本から急速シフト:経済(CHUNICHI Web)

【ニューヨーク共同】米インターネット検索大手グーグルが進める書籍の電子化を、米国のほぼすべての出版社が承認していることが9日分かった。電子化を承認した上でグーグルが展開している電子書籍の販売促進活動に参加を決めた著者や出版社の数は、同日までに2万5千を突破した。共同通信の取材に対し、グーグルが明らかにした。
参加を決めた出版社などが扱う書籍数は200万点に達する。グーグルは6月下旬にもネットを通じた電子書籍の販売を始める計画だが、著作権が切れた書籍も含めると取り扱う書籍数は400万点に上り、世界最大の「バーチャル(仮想)書店」が誕生する。
大手から中小まで出版社の足並みがそろったことで、米国の書籍は今後、ほぼ例外なく電子化の対象となる。印刷本からデジタル本へのシフトが急速に進むことになる。
米ネット小売り大手のアマゾン・コムや米電子機器大手アップルなどの参入で急成長を続けている米電子書籍市場は、グーグルによる巨大書店の登場で拡大に拍車がかかりそうだ。
グーグルは販促活動への参加者について、詳細の説明は避けたが「ほとんどすべての米出版社を含む」と明言した。

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2010051001000155.html

そりゃ、普通に考えれば出版社にとって電子化はメリットが大きい話だし。
元々が印刷・流通コストが高すぎな上、在庫リスクがある紙の書籍に対して、電子出版なら印刷・流通コストが激減、在庫リスクはゼロになる。
日本のように、出版社がこぞって電子化反対を叫ぶなんてほうが「異常」。
この「異常」の理由は、単純である。
流通や印刷業との兼ね合いもあるが、一番大きいのは電子出版は最終的に「出版社」の役割が小さくなる事を意味する点だ。
日本の場合、印刷・流通コストを負担し、在庫リスクまで丸抱えしている分、印税率が低く抑えられている。
結果、100万部を越えるようなベストセラーが出ると出版社は「本を刷るのが、お金を刷るのと変わらない」なんてウハウハ状態になるので、人気作家の獲得に血道を上げたりもしていた訳で、その莫大な利益が編集者や出版社の高給を支えていた。
しかし、電子出版ならば流通インフラを押さえたGoogleへ多少の手数料を支払い、自前で装丁やイラストの発注が出来れば、同人誌程度の手間で全国、いや全世界に本を売る事ができるようになる。
つまり、小説家や漫画家から原稿を預かって印刷するだけの出版社は、用済みとなってしまうのだ。
かつて、総合商社がコネクションだけを武器として「物流・金融」だけで食っていたのに対し、インターネットの普及で生産元と小売・エンドユーザが繋がりやすくなった結果、「商品企画・マーケティング」へと軸足を移さざるを得なくなったように、小説家や漫画家をプロデュースして売るような「新しい価値を生み出せる出版社」以外は、どんどん淘汰されていくと思う。
個人的に、紙媒体に愛着はあるし、本が今すぐに無くなるとは思わない。
しかし、携帯性、検索性、環境負荷、出版・流通コスト、在庫リスク、紙の書籍には出来ない表現など、時代の趨勢は電子書籍化の方向へ確実に歩みだしているのに、既得権益にしがみつくばかりに取り残されるのは、愚かな行為だと思う。