gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

はてなダイアリーが更新できなくなったので、泣く泣くこちらに移行。使いづらいようなら、別なサービスへの引っ越しも検討する予定。元ダイアリー:http://d.hatena.ne.jp/gayuu_fujina/

【風を読む】論説副委員長・西田令一 反面教師になった日本 - MSN産経ニュース

ずいぶん前だが、ひょんなことから、英国の学者や記者たちと日英政治比較の本を共同執筆するはめになった。主題名は『ターニング・ジャパニーズ?』(日本化する?、1994年刊)だった。
英国は当時、92年総選挙で13年に及ぶ保守党政権がさらに長期化し、自民党政権下の日本のようになるのかといった気分も漂っていた。本はそれを設問に論じたものだ。
「経済一流、政治は二流」の常套(じょうとう)句が人々の口の端に上り、「ジャパン・アズ・ナンバー・ワン」というただの幻想を社会が引きずっていたころである。日本が反面教師になるとすれば、政治だけだった。
あれから20年近くして、「ターニング・ジャパニーズ」が今度は英誌の表紙の大見出しになっているのを目にし、愕然(がくぜん)とさせられた。
和服姿のオバマ米大統領メルケル・ドイツ首相のイラストを表紙にあしらい話題を呼んだエコノミスト誌7月30日〜8月5日号である。横ばい状態の経済成長、突出して巨額の政府債務に苦しむ日本のようになる、と欧米に警告していた。
今や、得意の経済までが国際的な反面教師となったのである。
オバマ大統領が再選をかけた雇用創出法案提案に際し9月8日に議会で行った演説を見てみよう。
大統領は、「中国がより新しい空港やもっと速い鉄道を建設するのを拱手(きょうしゅ)傍観するのか」と述べ、交通インフラ整備の推進を訴えた。
「韓国などでは教師を増やしている」として、一時解雇中の米教師の復職を求め、米韓自由貿易協定(FTA)の利点を説いて韓国自動車大手の起亜と現代に言及した。
あの大惨事の中国高速鉄道まで引き合いに出したのに、日本には一言もなし。反面教師ゆえ、取り上げるべき価値などないのである。
先の英誌の報道を話題にした野田佳彦首相には、厳しい現状認識は多少はおありだろう。それを出発点に巻き返す構想力と決断力となると、いささか心許(もと)ないのである。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/111018/erp11101808170002-n1.htm

いい加減、日本のマスコミはリップサービスポジショントークの区別くらい付けられるようになってから記事を書くようにして欲しいと思うわ。
判ってて煽っているなら、マスコミではなく、悪質なアジテーターに過ぎない。
政治と経済は本来分離できるものではなく、「経済一流、政治は二流」というのは、冷戦構造に上手く乗って経済に注力できた日本の特異な立ち位置と、民間企業の努力の結果に過ぎず、戦術的勝利で戦略的勝利に結びつけたような歪な奇跡に過ぎない。*1
しかし、90年代に入って冷戦構造という、歪な奇跡を支えたブースターが無くなれば、「政治二流」に足を引っ張られて「経済も二流」へと墜ちるのは、必然に過ぎないのだ。
…むしろ、よく20年ももった物だとさえ言える。
閑話休題
つい最近FTAを締結が前進した韓国、そして凋落の兆しがあるとは言え、巨大市場である中国に対して記事を書くなんてのは、経済誌なら当然の話。日本の経済誌で、中国の記事が無い号が最近あるというのだろうか。
また「日本化」という言葉が、「政治に足を引っ張られて凋落する」という意味で使われるようになったのは、「事実」なのだから当然過ぎる話であり、10年以上前から言われ続けている「今更」の話。
最後に、オバマ大統領が日本に言及しなかったのは、日本の首相と違って、一国の首班が口にする言葉は、全てが外交的な意味を持つからである。
中国に対しては重要な、そして気難しい外交相手への配慮であり、韓国に対してはFTA締結に対するご褒美。日本に言及しないのは、TPP交渉に参加しない日本政府対する圧力といった訳である。
なのに、「反面教師だから」なんてトンデモ解釈するのは、なんというか「レベルが低い」と思う。
そもそも、首相が言及する=日本に無茶を言う前振り なんだから、むしろ平和の証拠だと思えとw。

*1:政治は国レベルで、経済は世界レベルだから、世界レベルの構造理由で上手くいく場合があり、日本はその事例に相当する