gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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ロシアで相次ぐ衛星打ち上げ失敗、人材流出や高齢化が影響 - MSN産経ニュース

【モスクワ=佐々木正明】ソ連時代に世界の宇宙開発をリードしてきたロシアで、人工衛星の打ち上げ失敗が相次いでいる。8月上旬の打ち上げ失敗により、ここ1年半で軌道上に乗せることができなかった衛星は計10基となった。衛星ビジネスは、日本のほか欧米や中国などの受注争いが激化しており、ロシアは総額1兆円超の巨額投資でてこ入れを図る見通しだ。しかし、専門家の高齢化など人材難が深刻で、信頼回復への道のりは険しい。
露宇宙庁は7日、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から、ロシアとインドネシア通信衛星2基を積んだプロトンM型ロケットを打ち上げた。しかし、推進装置「ブリスM」が起動せず、失敗に終わった。
2010年12月にロシア版GPS(衛星利用測位システム)「グロナス」を構成する衛星の打ち上げが不首尾に終わって以降、軍事衛星や火星探査機などの打ち上げ失敗が相次いでおり、昨年4月には宇宙庁長官が解任された。国営ロシア通信は、損失総額を約270億ルーブル(670億円)と見積もっている。
信頼性が揺らぐ中、宇宙庁は、7月中旬に日本人宇宙飛行士の星出彰彦さんが国際宇宙ステーション(ISS)に飛び立つ際にも、「原因は全て解明され、改善されている」などと説明する時間を組まざるを得なかった。
資源輸出依存型の経済構造からの脱却を目指すロシアにとって、宇宙開発は近年、国力を注いできた重点分野の一つ。将来を見据え、多角的な宇宙ビジネスへの参入を図ってきたが、相次ぐミスで「発注国は今後、ロシアへの依頼を躊(ちゅう)躇(ちょ)するだろう」(仏専門家)との声が出る事態となっている。
メドベージェフ首相は14日、宇宙開発にまつわる緊急会議を開いて事故原因の徹底究明を指示。巻き返しを図るべく、15年までに6500億ルーブル(約1・6兆円)の政府予算を拠出すると発表した。
宇宙大国の信頼失墜の背景には、多額の資金投入が不可欠である技術開発や研究の充実や、関連設備の更新が、ソ連崩壊後の財政難で停滞したことが現在まで響いている。関連設備の約9割は20年間も使われ続け、老朽化が著しいといわれる。
さらに深刻なのは絶対的な専門家不足だ。90年代の人材流出で宇宙開発に携わる技術者層が減り、次世代の人材育成もできないままに時間が過ぎた。宇宙庁で最も若い担当責任者も62歳というありようで、一線を退いても代わる人材がいないのが実態だという。
ロゴジン副首相は、「このままでは火星探査機は夢物語でしかなく、衛星は地上に落ち続けるだろう」と、暗雲立ちこめるロシアの宇宙産業の危機的状況を嘆いている。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/120820/erp12082020470002-n1.htm

ロシアの信頼性の高い(実績が豊富)なロケットという評価も、裏を返せば新型ロケットへの更新が止まっていたという事だしね。
記事中にもあるが、関連設備の老朽化だけではなく、当時最先端の現場で働いていた労働者の散逸と高齢化、技術継承の断絶と言う問題は非常に深刻だ。
ロシアの場合は、ソビエト崩壊で特に顕著だし、核兵器関連技術で既にロストテクノロジーと化している物もあると言う。(だからこそ大陸間弾道弾の再開発をしている訳で)
冷戦時代の遺産だけで食いつないできたわけだから、当然なんだけど。
実は、日本も他人事ではなく、2001年のH−2A以降、新規ロケット開発が停止している為、ロケット開発の経験者がどんどんJAXAから定年で居なくなっているという話。
一応、イプシロンロケットという固体ロケット開発が進められているが、大型の液体エンジンロケットと違って、固体ロケットはH−2とは開発系譜が異なる。*1
JAXAの予算を実質削減したままだと、早晩H−2A以降の開発能力を喪失してしまうかもしれない。
…まあ、ミンス党にとっては、計画通りなんだろうけど。

*1:M-V系で、こっちはこっちで世界有数の固体ロケット技術継承を目的としたプロジェトクトである