gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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TPP交渉の停滞、日本にとって問題 - Japan Real Time - WSJ

日本は1月に入ってこれまで、環太平洋連携協定(TPP)交渉で米国から市場を開くよう強い圧力を受けていた。しかし、30日には突然苦境を脱したように見えた。
米上院のリード民主党院内総務は、自由貿易協定策定を円滑に進めるための大統領貿易促進権限(TPA)法案に明確に反対し、TPPの早期締結の希望がしぼみ、少なくとも今年11月の米中間選挙が終わるまでは、交渉がストップすることになった。
米国が日本が強く保護しているコメ業界の開放を要求していることから、TPPほど日本国内で感情的に扱われている問題はあまりない。
大和総研の長谷部正道主席研究員ら一部のエコノミストは、TPP参加に伴う経済効果について、国内総生産GDP)を0.66%押し上げ、かなりの規模だが、日本経済にとって不可欠というほどではないとの最近の政府推定を指摘している。ただ、政府当局者は、その潜在的利益は経済押し上げ以上のものがあるとしている。
第1に、TPP交渉での米国からの市場開放圧力がなければ、安倍晋三首相の経済改革が腰折れになる可能性がある。
ある政府高官は30日、TPPによる関税撤廃の期限がなければ、政府がどのようにして農家に行動を取らせるのか疑問だと述べた。日本の農家は以前から、共同で耕作したり農機具を共同所有したりするなどコスト削減措置を取るよう圧力をかけられているが、関税による保護と政府の寛大な補助が続いていることで、農家には何かをしようとする刺激がなくなっているようだ、と高官は話した。
さらに、TPPの停滞によって、欧州連合EU)、オーストラリア、中国、韓国、それに東南アジア諸国連合ASEAN)などと日本が行っている自由貿易交渉もペースがダウンする公算が大きい。
米国と中国がアジア太平洋地域で影響力拡大を競う中で、日本がTPP交渉に参加したのを見た中国などの多くの国は日本との自由貿易協定(FTA)交渉に参加する必要性を感じている。
TPPが中ぶらりんになった今、TPPよりもはるかに大きな経済利益をもたらす可能性のある他の貿易交渉も勢いを失いかねない。
ある当局者は「TPP、それに同時にEUとのFTAも実現できなければ、日本に取って大打撃になる」とし、米国のそれよりもはるかに高いEU関税の撤廃がもたらす利益を指摘した。
最も重要なのは、TPPの失敗によって、アジアは一段の経済成長のためにどうしても必要とされる改革を行えないままになる可能性があることだ。例えば、TPPでは国営企業の総点検が行われることになっており、政府の管理を外すことで中国などの国の経済力が自由になり、経済成長をアジア市場に依存している日本などの国にとって極めて重要なより高い成長率が解き放たれる可能性がある。
しかし、TPP交渉を進めるために安倍首相が一方的な譲歩をすると見る政府当局者はほとんどいない。ある当局者は「TPPは安倍首相にとって重要な道具ではあるが、あくまでも道具にすぎない。首相の政治的力を強めるポジティブな結果を生み出すと見られる政策がこの道具によって影響されることはないだろう」と語った。
この当局者は、貿易交渉が一時的に動けなくなるのは珍しいことではないとし、「重要なのはオバマ政権が中間選挙後に交渉をまとめると約束することだ」と話した。

http://realtime.wsj.com/japan/2014/01/31/tpp%E4%BA%A4%E6%B8%89%E3%81%AE%E5%81%9C%E6%BB%9E%E3%80%81%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AB%E3%81%A8%E3%81%A3%E3%81%A6%E5%95%8F%E9%A1%8C/

過去のTPPによるGDP押し上げ効果や経済効果の試算を見たけれど、得られるプラスより国内で失われるマイナスのがでかくて、実際の経済効果はGDP比1%にも満たない誤差レベルなのに、内需や国内産業はメチャクチャに荒らされるとか、馬鹿馬鹿しい。
そもそも、TPPの話が出てきた頃(2006年)と、状況が変わっている。
2007年の世界同時不況で、経済のグローバル化が、一国の経済活動*1が世界中を巻き込む経済リスクを産んでいる事が明らかになり、欧州もアメリカも、自国の内需を守るブロック経済の方に軸足をこっそり移しつつあるのに、なんで日本だけ世界の趨勢と逆行しなきゃならんのかと
また、日米FTAで十分な話を、わざわざTPPとか大きな枠でやろうとするから日本にとって飲めない条件ばかり要求されるし、しかも「条件交渉は既に終わっているのだから、丸呑みしろ」とか無茶言われてるんだから、むしろTPPに拘って不利な条件を飲まされてから、個別FTA交渉に挑むより、縛りの大きいTPPはさっさと「おじゃん」にして、個々のFTA締結に向けた取り組みに本腰入れた方がメリットが大きい。*2
あとは今更、オバマに点数を稼がせても日本にメリット無いんだから、さっさと切れよ。

*1:サブプライム問題がアメリカ1国の信用格付け会社の問題だったのに、グローバル化で欧州全体で理財商品に化けて欧州危機を招いた

*2:基本的に後から結ぶ条約や協定は、その時点で最も有利な内容をベースに交渉開始するから、TPPで不利な条件を飲んでいると、そのまま個別FTAでも同条件を飲まされる事になる