gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

はてなダイアリーが更新できなくなったので、泣く泣くこちらに移行。使いづらいようなら、別なサービスへの引っ越しも検討する予定。元ダイアリー:http://d.hatena.ne.jp/gayuu_fujina/

中国がベトナムを挑発:南シナ海で石油掘削を再開 -blogos-

昨年5月、中国はベトナム排他的経済水域EEZ)内へ石油掘削装置「HY981」を派遣しました。掘削地点はベトナム沿岸から220kmの西沙諸島付近で、ベトナム国内では激しい反対運動が起き、中国人2人が死亡、100人がけが、3,000人が国外脱出という騒動にまで発展しました。
当時、中国は海警局など法執行機関だけでなく海軍艦艇も10隻近く派遣し、計80隻余りの船を当該海域に展開させていました。中国の海上法執行機関船艇によるベトナム沿岸警備隊船艇への体当たりによって、ベトナム側にけが人も出ています。こうした激しい衝突にもかかわらず、中国は当該海域の初期探査活動を最後まで完了させました。
そして再び、今月25日に中国は石油リグをベトナムトンキン湾沖へ派遣し、掘削作業を開始すると発表しました。
(中略)
今回の海事局のアナウンスメントの中で、"掘削装置の半径2000m内に入るべからず"という文言があります。これは、国際法に違反しています。国連海洋法条約では、このような装置/建造物が設けることのできる安全水域は半径500mの範囲であると規定しているからです(UNCLOS第60条)。昨年の掘削作業においても中国は石油リグから半径5.5km内への立ち入りを認めず、周囲を3つの非常線(沿岸警備隊、漁船、商用船)で防護し、中国海軍の戦闘機、ヘリ、偵察機が支援するといった物々しさでベトナム側を威圧しました。
(中略)
かつてシドニー大学のJing-Dong Yuan教授は、中国の多国間主義と地域主義に関する態度を次のように表現しました;いわく、"中国は、一国主義的に思考し、二国間主義的に問題を追及し、多国間主義的に振る舞う"。至言だと思いますが、ここ数年、特に南シナ海に限れば中国の態度はさらに踏み込んだものとなっており、「一国主義的に思考し、問題を追及し、振る舞う」というものに変わってきていると個人的に感じています。

http://blogos.com/article/119257/

ベトナム排他的経済水域と言っても、中国の排他的経済水域と重なる部分で、グレーゾーンを突いている。
この場合、相互に話し合いで決着をつけるまでは、お互いに開発などは行わないのが暗黙の了解なのだが、中国は自国に戦力が整ってくると、傍若無人に振る舞い始めた、と言うお話。
日中間で問題になっている、東シナ海ガス田問題にしても、経済的に日本の後ろ姿が見えた2004年に開発に着手し、媚中弱腰だったミンス党政権時代になると、中国は対日高圧外交へと姿勢を変化させて未だに開発を続けている。
こうした、中国の侵略行動に対して、国連が屁の役にも立っていないのは、明らか。
そもそも、このベトナムFEZでの掘削作業開始ってのも、実はオバマウクライナ問題で対露経済制裁を行って、孤立したロシアが中国と接近した結果、ロシアの後ろ盾で中国に対抗していたベトナムが後ろ盾を失い、経済的にも、軍事的にも中国に手も足も出なくなった、と判断したからである。
しかし、中国の思惑は外れ、頑強に抵抗したベトナム政府の時間稼ぎで、アメリカが口を挟んできたことにより、しぶしぶ中国側が矛を収め、小康状態になっていたのが、今までである。
前回の中国・ベトナム間の一触即発振りは、中国が展開した最新鋭ミサイル駆逐艦などの大型戦闘艦だけで、ベトナムの貧弱な海軍は簡単に撃滅されてしまうレベルで、正直、ベトナムが一手間違えれば、中国人民軍に蹂躙されていた可能性は極めて高かった。
しかし、当時はまだ「日米離間」が成功する目が残っており、中国としてもアメリカと直接対立する事態は避けたいという思いから、中国は展開した軍を引いて、ベトナムとの話し合いに応じたのである。
…が、この「中国の経済指標が大幅に悪化した」タイミングで、あえて米中関係の悪化を恐れずに、再度の手を出した、という辺りに、中国の戦略の変化を感じざるを得ない。
どうにも、「勝てる戦争を一発ぶち上げて、国内高揚」とか本気で考えていないか、心配になるわ…。