gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

はてなダイアリーが更新できなくなったので、泣く泣くこちらに移行。使いづらいようなら、別なサービスへの引っ越しも検討する予定。元ダイアリー:http://d.hatena.ne.jp/gayuu_fujina/

X線天文衛星「ひとみ」運用を断念…JAXA : 科学・IT : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

宇宙航空研究開発機構JAXAジャクサ)は28日、3月に通信が途絶したX線天文衛星「ひとみ」の運用を断念すると発表した。
ひとみは3月、地球を周回する軌道上でトラブルが起きて分解、太陽電池パネルが壊れるなどしたため、復旧は困難と判断した。日本の衛星や探査機が本格観測の前に運用を断念するのは、1998年に打ち上げられた火星探査機「のぞみ」以来となる。

http://www.yomiuri.co.jp/science/20160428-OYT1T50173.html

完全に壊れている状態だから、しゃーないだろう。
最初は、デブリが原因の破壊かと思われていたが、どうにも違うらしい。
(1) 計画的な姿勢変更時に、何らかの原因で衛星が自己の姿勢を誤認し、リアクションホイールで姿勢制御しようとして、姿勢異常が発生。
(2) リアクションホイールの制御系が、姿勢異常の為に正常に働かず、リアクションホイールに過剰な運動量が蓄積される。
(3) (2)を危険と判断して、衛星は姿勢制御の為のスラスタ噴射を実行、自己の状態を誤認している状態で、正しい制御ができる筈も無く、衛星を回転させる運動エネルギーを与える。
(4) 回転運動が想定外の負荷を太陽電池パネルや支持架などに与え、応力限界から破断、分離した
…という流れで壊れたのではないか、と推測されているそうな。
んで、最初に自己の姿勢を誤認したのは、IRU(慣性基準装置)と呼ばれる機材で、「ひとみ」はスター・トラッカー(太陽センサ。以下STT)による情報を受け取れない場合、姿勢制御系ソフトウェアの推定値による、一種の「計器飛行」のような制御を行うという仕様になって居る。
その為、「誤った推定値」を保持している状態で、STTによる情報を受け取れない場合、「正常に」誤った処理をしてしまう。
途中で、STTからの情報を受け取ったものの、本体内の推計値とSTTの測定値に大きな誤差があったため、STTからの情報を誤りとして棄却、「誤った推定値」を元に姿勢を制御しようとして壊れた…らしい。
この辺りは、素人の解釈より、公式が出している資料を読む方が確実だろう。
資料:X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)の状況について PDF(3.3MB)
失敗は成功の母なので、こうした失敗を糧として、次の成功に繋げて欲しい。