gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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アメリカの「核の傘」がなくなったら…を想像できない困った人たち(川口 マーン 惠美) | 現代ビジネス | 講談社

(前略)
1970年、NPT(核不拡散条約)が発効し、現在では200近い国が加盟している。これは、文字通り核の拡散を防ぐ条約で、NPT加盟国はこれにより、「核兵器国」と「非核兵器国」の2種類に分けられた。
(中略)
国連でNPT(核不拡散協定)が採択された1968年、インドも、そして、日本もすぐにはそれに署名をしていない。将来、核武装をするかもしれないなら、NPTに加盟して「非核兵器国」になるわけにはいかなかったのである。
(中略)
西ドイツと日本は同じ敗戦国といえども、アメリカの扱いはずいぶん違っていた。
西ドイツには軍隊を作らせ、ソ連の核の脅威に対抗するため、核まで持ち込んだアメリカだったが、日本に対しては自衛以外の一切の軍備を認めなかった。ましてや核武装に関しては、芽の出る前に摘むともいうべき厳しい妨害工作が施された。
なぜか?
第一の理由は地政上の違いで、アメリカは、少なくとも当時は、中国の核に脅威を感じていなかったこと。また、ひょっとすると、原発投下に対する日本からの報復を恐れる心理も働いていたのかもしれない。
いずれにしても、アメリカは日本に核を持たせる気はなかった。そこで、日本をNPTに加盟させるため、あらゆる圧力をかけた。
日本は、NPTに加盟しなければ、原発用のウランの供給を止められそうなところまで追い込まれた。経済成長の道を一直線に突き進んでいた日本にとって、原発の安価で安定した電気は生命線だ。アメリカにエネルギーの首根っこを抑えられ、王手を掛けられる光景は、第二次世界大戦前夜と何も変わっていなかった。中国の原爆の脅威を感じつつ、日本政府は深いジレンマに陥った。
結局、熾烈な交渉の末、アメリカは日本の核武装を諦めさせるために、日本を自らの「核の傘」で守ることを約束する。日本にとっては、抑止力という意味で効き目は絶大。他人のふんどしではあるが、反対する理由はなかった。
これを受けて、佐藤栄作内閣の下で「非核三原則」が決まった。核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」である。原爆の被災国日本の生き方としては良い選択であったかもしれないが、これこそが、その後、国防を人任せにして戦争反対を叫ぶという矛盾した空気が広がっていく端緒になったともいえる。
(中略)
この決断は、被爆国であることとも憲法9条とも関係がなかった。平和国家のイメージに合うなどという理由でもない。
(中略)
一方、そんな有難い「核の傘」を持たなかったインドが、丸腰になれるわけはなかった。NPTに加盟しなかったのは、当然のことである。
1998年、インドが2回目の核実験を行った時、広島、長崎の被爆者や反核運動家たちが大挙してインドに行き、抗議活動を展開した。その時インドは、「日本は自らは核兵器を持っていないが、アメリカの核の傘に守られている。インドはどの国の核の傘にも守られていないので、自分で守る以外にない。そのような日本が一方的にインドを非難する資格があるのか」と反論され、グーの音も出なかったという。
ところが日本には、そういう経緯も国際情勢も、一切無視している人たちがいる。“NPT加盟国は平和を愛する国。中国が核を保有するのは、NPTで認められているから当然。NPTを拒否するインドは悪”という論理は、かなりピントが外れている。
(中略)
皆がNPTに加盟すれば核がなくなるというのは、間違った認識だ。
(中略)
インドとの協調は、日本の安全保障に関わる問題でもある。
(中略)
アメリカの核の傘の下にいる間はいいとして、もし、それがなくなった時はどうすればいいか、そろそろ真剣に考えるべき時期が来ている。
(後略)

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50419

日本のNPT批准の経緯が非常に判りやすくまとめられている。
実際、日本のNPT批准の大前提に「アメリカの核の傘が機能する事」が挙げられており、万が一アメリカが中国の対日核攻撃に、報復核攻撃しないような事態が万一発生すると、日本はNPTを脱退して、核保有への道が開く事になる。(この経緯をすっかり忘れている政治家も多いのがアレだが)
日本に兵器級プルトニウムを、研究向けにアメリカが売却したのもこの時期(冷戦期)であり、おそらくは当時の日米政府間で、NPT批准に関して何らかの取引があったのだろうと想像できる話だ。
…まあ、それがオバマのバカタレのせいで返却する羽目になったのは、残念な事ではあるが。
このエントリでは、「想像できない困った人たち」と言ってるが、実際の所は「日本人であるかも怪しい連中」か、「そうした連中に思考誘導された人達」だと思う。
…て言うか、きちんとニュースを見てて、実際に漁船と海警による侵略を受けている真っ最中に、本気で「中国は侵略してこない」とか思っている奴が居たら、今までよっぽど他人から害意を向けられてこなかった幸せな人生を歩んできたか、個人的に良い中国人との関係を結んでいて、個人と国の違いを理解できない残念な人か、思考能力に疾患を抱えている人かだと思う。