gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

はてなダイアリーが更新できなくなったので、泣く泣くこちらに移行。使いづらいようなら、別なサービスへの引っ越しも検討する予定。元ダイアリー:http://d.hatena.ne.jp/gayuu_fujina/

【無人コンビニ時代の到来】中国無人コンビニでほぼ盗難ゼロのその秘密、「盗難したら損」の状況を見事に構築|BINGO BOX | GloTech Trends

無人コンビニの話題が世界を駆け巡っている。GlotechtrendsでもAmazon GO, タオカフェ、BINGO BOX, WELL GOなどを既に取り上げ最先端に技術をレポートしている。今回は、無人コンビニの防犯システムについてその最前線をレポートしたい。
(中略)
実は、中国の無人コンビニでは不思議なほど盗難事例の報告が少ない。無人コンビニで監視する人が誰もいないのに、どうして盗難が起きないのかだろうか。先日、レアケースであるがBINGO BOXで盗難事件が発生した。その盗難事件を分析すると、どうして中国の無人コンビニで盗難が少ないのか、その謎が解明できた。
(中略)
BINGO BOXのCEOである陳子林氏は、BINGO BOXのシステムでは世界初の特許を含め16件の防犯システムが張り巡らされていると言う。入り口の認証システム、商品に関する画像認証システム、退出時に持ち出す商品が決済されているかどうかを判定するセンサー、無死角360°カメラなどを含め店内は多数のセンサーが配備されていると言う。
来店者はID認証して入店するので個人を特定され悪さが出来ない仕組みが前提にある。しかし、悪意を持った人はこう考えるかもしれない。入り口でID認証されているわけだから、他人のIDで入店すれば、他人に盗難の責任を押し付けることが出来る便利な責任転換ツールだと。
しかし、BINGO BOXの防犯システムはこんな邪な思考も考慮して設計されている。万が一、泥棒が他人のIDを使い成りすまし入店をしたとしても、認証システムなどが入店した人物とID認証した人物が一致していないことを感知し、店内に不特定の不審者が入店したと言うアラームを出す。この警告が出ると通常にも増して、この人物の動きにフォーカスして洞察することになり、その人物の動き、あるいは他のデータベースと照合しこの人物の本当の名前は誰なのかと言うのを探知するシステムがバックヤードで稼働する。
そして、この人物が商品を支払いせずに退店するとすると、すぐに特定されたこの人物の本当のWechatアカウントへ警告文が届き、持ち出した商品の支払いに応じるか、あるいはブラックリストに掲載し公安に連絡を取るかの選択を迫ることになる。支払いに応じない場合は、WeChatの今後の使用停止を含めて検討し、加えて写真などの盗難証拠とともに警察へ通報される。泥棒は全てセンサーやカメラで証拠を押さえられているわけであるから、心当たりがある限りアラートに応じるしかない。
こうした悪意の盗難は、犯罪者としてアリババが運営する芝麻信用、WeChatが運営する騰訊(テンセント)信用のスコアに大きな悪影響を及ぼすこととなる。(騰訊信用に関しては、アリババの芝麻信用と類似したサービスで、2017年8月にリリースされた、Glotechtrendsで近日記事を掲載予定)
もはや中国では、WeChatpayやアリペイでの信用スコアは生活のいたるところに浸透し、都市部ではアリペイ、WwChatPayなしではもはや生活できない。スコアをネガティブ評価されることの代償はあまりに大きいといえる。
中国の無人コンビニでは、物理的には簡単に盗難ができるが、それをした時の代償を大きくする盗難予防の仕組みをテクノロジーで構築していたのである。
(後略)

https://glotechtrends.com/guard-of-unmanned-convenient-store-170913/

うわ…ある意味、現金の信用が低く、キャッシュレス社会に一早く足を踏み入れた中国だからこそ実現したシステムだけど、民間企業が個人に関する情報を、明らかに「持ちすぎている」とも思う。
SFのディストピアは、そうした過剰な個人情報を、政府が管理していたが、中国の場合、それは単なる一企業が握っている訳だ。
日本で、AmazonとGoogle、LINE、Twitterから全てのアカウントをBANされても、日常生活が不便になるだけだし、金融信用情報が汚れて、クレカが作れなくなったとしても、多少の不便で済むだろう。*1
しかし、中国で、主要企業で共有する信用情報が汚れた場合は、多少の不便では済まないのだ。
現金決済より、キャッシュレス決済の方が信用される国で、現金しか使えなくなる事は、そのまま生活のクオリティにも直結する可能性が高い。
少なくとも、都市部で現金しか使えないなんてのは、コンビニすら使えなくなり、不便極まる事になる。
しかも、現金を発行する国より、クレジット会社の方が信用創造の効果により、多額の資金を動かす事が出来るのだから、一歩間違えると、貨幣発行権を握る国より、実際のマネーサプライの大部分を独占するクレジット会社の方が強い国になる可能性すらある。
…まあ、とは言え「上に政策あれば、下に対策あり」の国で、四半世紀以上前からずっと「違法コピー」「海賊版」「クレカ偽造」のメッカだった中国である。
ID偽造に加えて、簡単な変装技術で、システムを掻い潜る窃盗技術を開発する方が、早いんじゃないかな。
インフラとして膨大な数に上るコンビニのセキュリティ技術を全部更新する費用より、そうした犯罪技術の方が安価にできるお国柄なんだし。

*1:今の若い人は、LINEを切られると友人関係もゴッソリ切れるかも知れないが…