gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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海外販売を禁止してきた米国偵察機、韓国の要請で承認を検討 : 東亜日報

トランプ米大統領訪韓(7〜8日)を控え、先月末に開催された韓米定例安保協議会(SCM)で、韓国がJSTARS(E8C)地上監視戦略偵察機の販売を米国に公式に要請したことが確認された。
JSTARSが導入・配備されれば、ミサイルを搭載した移動式発射台(TEL)や放射砲など北朝鮮地上軍の動向を隅々まで追跡・監視することができる。
2日、政府筋によると、韓国はこれまでSCMで、JSTARSをはじめとする最先端兵器の導入の意向を米国に伝えてきた。宋永武(ソン・ヨンム)国防部長官は、北朝鮮の核・ミサイルに対応するための核心兵器としてJSTARSを最優先で言及したと、同消息筋は伝えた。
JSTARSは、米国が海外への販売を禁止する高度な戦略兵器だ。しかし米国側は、韓国の要請を前向きに検討するという反応を示したという。JSTARSの韓国への販売の可能性を示唆したのだ。韓米はSCM共同声明で、韓国軍の米最先端兵器の導入・開発の協力を強化することで合意したと明らかにした。
軍内外では、韓米首脳間の関連協議を考慮して、米国が前向きな態度を示したと見ている。これに先立ち、文在寅ムン・ジェイン)大統領とトランプ大統領は9月21日(現地時間)、ニューヨークで首脳会談を行い、韓国軍の最先端軍事資産(兵器)の獲得と開発の協力を強化することで合意した。
9月初めにも両国首脳は電話会談で関連内容を話し合った。当時ホワイトハウスは、「トランプ大統領が、数十億ドルにのぼる米国産軍事装備の購入を望む韓国の計画を『概念的に承認(conceptual approval)』した」という声明を発表した。その後、トランプ大統領ツイッターを通じて、「日本と韓国が米国から最先端軍事装備を以前よりも多く購入することを許容する」と再度、明らかにした。
湾岸戦争イラク戦などで真価を発揮したJSTARSは、延坪島ヨンピョンド)砲撃挑発直後の2010年11月の韓米合同演習に初めて投入され、北朝鮮軍の動向を監視した。先月、米原子力空母打撃群などが参加して東海(トンへ、日本海)・西海(ソヘ・黄海)上で行われた韓米海上合同演習でも韓半島に展開した。

http://japanese.donga.com/List/3/01/27/1115320/1

E8Cって、元々中古のボーイング707に必要な機器を搭載して作った機体だから、ボーイング707自体が再入手出来ないので、作るなら後継のボーイング767ベースに…と思ったが、そもそもアメリカでもE8Cの後継機開発で、ボーイング767を母体としたE10の開発が頓挫している。
つまり、E8C自体も入手不可なら、E10も調達できないのだ。
なお、ボンバルディア社のビジネスジェットをベースにした、地上監視機E11Aという機体もあり、これに近いコンセプトで、ガルフストリーム社のビジネスジェットをベースにした後継機開発が提案されているんだとか。
…この流れからすると、アメリカはE8C自体を中古で売る気かな?
ちなみに、アメリカが湾岸戦争スカッド狩りをE8と対地攻撃機のセットで頑張ったけれど、たった25〜50両の輸送起立発射機(TEL)と60程の固定発射基地に対して、41309ソーティもの爆撃を敢行したのだが、終戦まで12両以上残存したと言う結果になっている。
つまり、この記事にある「JSTARSが導入・配備されれば、ミサイルを搭載した移動式発射台(TEL)や放射砲など北朝鮮地上軍の動向を隅々まで追跡・監視することができる。」というのは、大嘘だと判る。
ちなみに、北朝鮮保有する輸送起立発射機(TEL)は、200〜250両程度と言われており、当時の状況のままなら、韓国軍が保有する全ての対地爆弾を費やしても、全然足りない、という結論になる。
この戦訓を得て、ロシアと中国、北朝鮮は大量の弾道ミサイル輸送起立発射機(TEL)保有して、アメリカ軍の攻撃から残置数を稼ぐドクトリンへシフトしてる。
ただまあ、色々と当時の「スカッド狩り」を調べてみると、とてつもなくお粗末な情報共有っぷりで、衛星やE8から、ミサイル発射から3〜5分で輸送起立発射機(TEL)の位置情報が暴露されても、肝心の戦闘爆撃機には経度と緯度という、実に大雑把な情報しか通達されず、スクランブルして該当空域に達するまで40分近く掛かっていたとか。
しかも、発進した爆撃機に対して、爆撃対象の空撮写真すら提供できなかったから、爆撃機パイロットが姿かたちも判らない相手を、自分で探して爆撃しなければならなかったと言う。
発射から15分で15kmも離れた場所に逃げる事が出来る輸送起立発射機(TEL)相手に、これで勝負になる筈も無い事は、アホでも判るだろう。
そして、そんな弱点をアメリカが20年以上も放置するだろうか?
更に言うと、失敗に終わったスカッド狩りだが、一つの戦訓も得ていた。
地上に特殊部隊を展開してのスカッド狩り自体は、成果に乏しかったが、特殊部隊に索敵される事を嫌った為、輸送起立発射機(TEL)の展開領域を狭める効果が確認されたのだ。
何でもハイテクに頼ろうとせず、地上に対して人も併用した戦術を使えば、有利に戦える、と言う事である。
その意味で
関連:アメリカ国防総省、「北朝鮮の核兵器を破壊する唯一の方法は地上攻撃」 - Pars Today
というのは、単純に空爆巡航ミサイルと言った、「綺麗な手」だけで、北朝鮮弾道ミサイルを抑制する事は出来ない、と言う意味で全く正しい意見だと言える。